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⑥/⑥「デキる人、頭の良い人」は『人間偏差値が高い人』_顧客の「新」を考えない会社は成功しない

会社は「新」が大好物です。

新事業、新製品、新市場、新サービスなど、戦略を考えるとき必ず出てくる言葉です。

しかし、この「新」とは、自社にとっての「新」であって、顧客にとって「新」でない場合が多いのではないでしょうか?

今日は、顧客にとっての「新」とは何かについてお話したいと思います。

まずはロジラテ思考のファーストステップ What、何が起こったのか?から始めます。

1.What_自社にとっての「新」なのか?顧客にとっての「新」なのか?考えない会社


中長期、年度方針を立てるとき、上司から言われることは
「新戦略を考えろ!」です。

・注目されている市場、製品、サービスは、何があるのか?
・当社の新しい技術やサービスはないのか?

上司から厳しく戦略を立てろと言われると、目の前にある市場の変化や他社の動向に目を奪われます。

しかし、打ち上げ花火のような戦略戦術を実践したところで、
お客様が何故それを買うのか?
という購買ストーリーがないと、成功するはずもありません。

以前、コンサルをさせて頂いた会社のお話です。

その会社は、機械部品を販売する商社でした。

しかし、不景気のあおりを受けて本業の売上があがらず窮していたとき、A役員がこんなことを言いました。

「これからは、新しいことに着手していかなければ生き残れない」
「既存の業界だけに囚われていては、成長はない。」
「そこで売電事業に参入したいと思っています。」

結果はどうだったのか?

事業部を立ち上げたものの一向に売上が上がらず、頓挫しました。

そこで、何故失敗したのか営業マンに聞いてみると、こんなことを話してくれました。

「これって会社は本気だったんですかねぇ。。。」

「売り方も製品知識もないのに、どうやればいいんでしょうか?」

「ダメだったら、俺たちは干される運命なんですよね?。。」

次はロジラテ思考のセカンドステップ Why、何故そうなるのか?で分析していきます。

2.Why_「新」事業は、なぜ失敗したのか?

この事業で決定的に欠けていることは2つあります。

一つ目は、顧客にとっては「新」ではなかったことです。

当時、売電事業が始まり、色んな企業が参入していました。

A役員は、既存の取引先に売り込めば売れると考えたようですが、顧客にとっては条件の良い業者は他に幾らでもあったので、当然そちらに流れていきまいした。

結局、自社にとっては「新」でも、社会においては「新」でもなんでもなかったということです。

二つ目は、この会社の「強み」を活かす方法を議論していなかったことです。

この会社の「強み」は、様々な機械に精通するエンジニアリング営業でした。

売電事業に、この「強み」をどう活かして顧客に喜んで頂くかという議論は一切されずに参入してしまいました。

この2つの理由を、纏めると

「自社の強みで、誰をどのように喜ばせるのか?」

という顧客のストーリーが、まったく語られずに着手してしまったことになります。

次はロジラテ思考のサードステップ How、どうするれば顧客が喜ぶ「新」を見いだせるか?についてお話しします。

3.How 顧客が喜ぶ「新」とは足元にある


私達が何かモノを買う場合、頭の中で色んなストーリーを考えます。

例えば、スタバでコーヒーを飲むとき
「ゆったりとした空間で、コーヒーを飲みながらアイデアを考えよう」
「コーヒーの香りを楽しみながら、ソファーでPCを開きながら仕事しよう」

例えば、タワーマンションのモデルルームを見学したとき
「このリビングから見える東京タワーを見ながらワインを飲みたいなぁ」
「この夜景を見れば、日常のハードワークから解放されるんだろうなぁ」

いずれも、頭の中にストーリーと動画が浮かんでいるはずです。

このストーリーこそが顧客の欲求であり、提供する商品やサービスのヒントが隠されています。

次は、実際に顧客のストーリーから「新商品」を見出した事例をお話しします。

これは私の体験なのですが、ちょっと面白い話なのでご紹介します。

1)顧客はどこにいるのか?

1980年後半、某油圧機器メーカーで市販用ダンパーの商品企画を担当していたときの話です。

エンジニア達はサスペンションのプロフェッショナルで、自動車メーカーのエンジニアとダンパー開発に携わる最高レベルの技術スタッフでした。

丁度そのころ車の改造が流行し、様々な市販パーツが販売され始めた時期でした。

そこで我々も商品化に向け、営業から情報を吸い上げたところ、上がった情報はこんなものでした。

●顧客は、「速く」、「乗り心地よく」、「カッコよく」なる市販パーツを求めている。

●当社の熟成した技術で商品開発すれば、必ず売れるはずだ。

これを聞いたエンジニア達のモチベーションが上がり、実車テストを繰り返して、一年後に最高のサスペンションパーツ完成し市場に投入しました。

ところがです。。。。結果は全く売れず、在庫が増えて行くばかり。

販売店に行って意見を聞いても、こんなことを言われました。

「お客様に勧めると、良さは分かって貰えるんですが売れないんですよ」


2)顧客が集まる現場に行ってみた


当時の車好きの顧客は、どんな人達かというと。。。
暴走族に近い人達で、毎週末に仲間同士で集まって車自慢をしていました。

今だったらこの手のユーザー向け商品開発なんて、コンプラに抵触すると思いますが、当時の私はそんなことはお構いなし。

怖さはあったものの、どんなニーズがあるのかという好奇心が先に立って、彼らのニーズを直接聞くために彼らの集会に行くことにしました。

彼らの話はこんなことでした。

「仲間より速く走るのは当たり前でしょ」

「それより、どんだけカッコよく車高下げれるか?だよ」

「俺の車は、ショートホープ(タバコです)一個分の車 高だぜ」

「だけどさ。。。車高下げるとダンパーがすぐ壊れるんだ」

もともとノーマル車は車高が5CM縮んだら壊れるのに、5CM以上も車高を下げれば壊れるのは当たり前です。

私達が考えていた顧客の「新」とは
「高い走行性能と、乗り心地の実現」

しかし、ユーザーが求めていたニーズとは、
「車高を下げても、壊れないダンパー」

つまり、私たち作り手は、
・マーケットを自社の「新」で、現場を見ていた
・自社の「新」で商品を作れば、必ず売れるはず

と考えていたました。

3)顧客の「新」は、現場にある

不満を言ってくれるお客様は、非常にありがたい存在です。

なぜなら、欲求を言語化してくれているからです。

でも本当の「新」とは、顧客自身が言語化できていない不満や欲求の中にあります。

これを見出すためには、やっぱり現場に出向き、顧客の欲求ストーリーを発見するしかありません。

皆さんはいかがお考えでしょうか?


【最後に】
この記事は、全ての物事をWhat▶︎Howに分解するロジラテ思考で書いています。ご興味ありましたら、是非ロジラテ マネジメント マガジンお読み下さい。

What(現状) 何が起こって
Why(仮説) 何故それが起こって
  (課題) 仮説から解決すべき問題を見出して
How(戦術) どうすれば、その問題が解決できるのか?



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