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インナーコミュニケーションは『伝え方が3割、話の質が7割』 #A06

インナーコミュニケーションの現実


私たち組織人は、上司と部下や外部の人達(顧客、他部署)の人達とコミュニケーションをとって仕事をしていますが、特に重要なのは社員同士、経営層と横断的に理念の共有、意思決定や情報の共有をするためのコミュニケーションです。

最近はこれをインナーコミュニケーション(正式にはインターナルコミュニケーション)と言うそうです。

皆さんは上司部下とのコミュニケーションは上手くとれているでしょうか?目指す姿の達成に向けて問題点、課題、戦術を共有して、一丸となって活動できているかということです。

今日は皆さんに興味深いデータをお見せしたいと思います。これからお話するデータは、某中小企業でインナーコミュニケーションについて私が実態調査したものです。

(インナーコミュニケーションの実態調査)
以下のグラフは、某商社社員130人のうち幹部25人、社員41人を実態調査した結果です。

「コミュニケーションが取れているか?」については、「なんとかできている」も含めると上司部下共に97%の人がYESと答えていました。

これを見た時、私は「これ本当?」と感じたのですが、改めてヒヤリングすると本当にそう感じているようだったので、随分仲のいい会社なんだと思いました。

しかし、「問題点の共有」「課題の共有」に焦点を充てて分析し始めたとき、段々雲行きが怪しくなってきました。まずはこのグラフをご覧下さい。

このグラフを見て、勘の良い方ならあれ?おかしいぞと思ったはずです。

「課題」は、沢山の「問題点」の中から「課題」を見出していくものですが、このグラフでは「問題点を共有できている」は35% 、課題を共有できている」は55%と数字が逆転しているのです。

成果をあげる組織は「問題点」と「課題」を共有している

更に深掘りしてみると、面白い事実が浮き彫りになってきました。
次のグラフは、メンバーの日報を分析したものです。
(例えば8月を見てみると)
1)日報の件数は261件
2)この中で問題点を挙げた日報の件数245件       (93%)
3)さらに問題点から課題に落とし込んだ日報の件数51件  (20%)
4)さらに51件の課題に対して上司がコメントした件数20件( 8%)
5)さらに上司の週報に部下の課題を取り上げた件数4件   ( 2%)
となっていました。

前のグラフと見比べると面白いことが分かります。
●問題点の共有が35%しかできていないと答えているが、日報では93%も問題点があがっている。
●課題の共有が55%できていると上司は答えているが、日報では課題に落とし込まれているものは20%しかない。
●上司はメンバーの日報に8%しか、コメントしていない。

以上から言えることは、インナーコミュニケーションが最も重要な要因は何かというと
1.組織全体で、「課題」と「問題」を共有できていなければインナーコミュニケーションが機能しているとは言えない

2.上司は部下の報告に無関心では成果は生まれない。何故なら目指す姿を達成するための「核となる課題」は、メンバーの報告の中にある。

インナーコミュニケーションを活性化させて成果をあげる方法

まずはメンバーからあがった情報に反応することです。やることは簡単です。

たった一言「情報ありがとう」と言うだけです。日報、週報、出張報告書はコメント欄に「報告有り難う」「報告ご苦労様」と前置きしてからコメントを書き込むだけです。

この会社で、これを実施したところ、日報件数がかなり上がるようになりました。メンバーからもモチベーションがあがったとの声もあがり、非常に効果があることがわかりました。

次に行うことは、報告や議論のフォーマットを決めることです
「何があって」
「何故それが起きたのか」仮説と課題設定
「何をする」戦術、これを箇条書きにして報告させることです。

余計な文章は不要。箇条書きで報告で完了です。

後は、この「何が、何故、何を」に元にして、「核となる課題」の設定と戦術について議論するだけで、目指す姿の達成に大きく近づきます。これを実施した結果、メンバーの報告の質がかなり上がったとのことでした

次回は、この実践編をお話したいと思います。

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