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バウアーはこの映画を観ました:駅馬車

お疲れ様です。
バウアーです。

映画の過去作を振り返れば、
自ずと白黒映画の存在に気付くようになります。
CGどころか、
カラーではない映画。
目に見える世界はカラフルなのに、
映画はモノクロの世界。
既に色そのもので世界が二分化しているようにも
感じ取れます。

これまで自分は過去の名作を積極的に
見てきましたが、
白黒映画はゴジラシリーズ以外で
手を出していませんでした。
それならば手を出そうと、
名作の白黒映画は何かと思い、
今回の作品を手にしました。

①駅馬車(Stagecoach)

まずはジャンル確認から。
この映画は西部劇に属します。
米国の南北戦争の時代。
先住民族であるネイティブアメリカン。
無法者が跋扈する時代。
強い開拓者精神を持つ白人。
日本人には馴染みのない要素が沢山あります。

ピンとくる西部劇のイメージは、
銃を持った主人公と悪者が一騎討ちをするような
シーンかもしれませんが、
それは「続・夕陽のガンマン」が広めたイメージでしょう。
この映画にも銃撃戦のシーンはありますが、
それだけではありません。

映画のタイトル通り、
駅馬車が登場しますが、
メインはその駅馬車に乗り合わせる人物たちによる群像劇。
何の因果か分かりませんが、
乗り合わせた人たちが色々な背景を持ちながらも、
駅馬車の道中でドラマを展開します。

駅馬車という、
狭い空間を共有するからこそ生まれる、
一時的な濃密な空気。
良くも悪くも、
人柄がにじみ出て、
混ざり合うことで空気が作られる。
それを感じられるのが本作です。

②個人的に気になった点

この映画の存在を知ったのは、
お気に入りのYouTubeチャンネルの、
WatchMojo.com」で紹介されたランキング動画でした。
最高のアクション映画TOP50」の動画内で、
ランク入りしていた作品の中で、
一番縁遠いと感じたので今回触れてみようと決意しました。

自分が感じたのは、
現代では再現不可能と思えるほどに、
アクションシーンに迫力を感じたことです。
映画の後半で主人公たちが乗っている駅馬車が
先住民族に襲撃されるシーンがあるのですが、
このシーンには迫力があります。

特に主人公のリンゴ・キッドが駅馬車を引っ張る馬の群の
先頭にジャンプし続けて向かうシーンが凄かった。
複数頭の馬が連結装置によって繋がっている中、
さらに実際に馬が走っている中でジャンプを続けるのは
現代のスタントでも厳しいレベル。
生々しいスタントで、
見ていて冷や冷やするシーンでした。

また映画の最後のクライマックスシーンでは、
西部劇でピンとくる決闘が出てきますが、
そこに至るまでの流れが良かった。
直ぐに敵対して撃ち合いが始まるのではなく、
決闘に至るまでの過程のゆっくり、
じっくりと演出しています。

この作品は白黒映画なので、
黒の濃淡や劇中に登場する篝火で、
夜間の雰囲気を堪能できます。
夜の決闘には、
敵を相対するまでの静かな過程があり、
少しずつ緊張感を高めてくれました。

③芸達者な俳優・女優さんの味わい

映画ファンならこの映画の出演者リストを見て、
芸達者な方々が揃った作品だと唸ることかと思います。
また出演者リストを見ずとも、
この作品を見た後には味わい深い何かを感じられるかと
思います。

そんな出演者の中でも、
トーマス・ミッチェルの存在の大きさを
感じずにはいられない人は少なくないはず。
刑事コロンボを務めた最初の俳優さんですし、
この映画の中では飲んだくれの医師である
ジョサイア・ブーンとして登場し、
強烈なインパクトを残しています。

また主演のジョン・ウェインは、
当時は出演作はあるものの、
知名度では無名の俳優さん。
後に数々のヒット作に出演し、
俳優としての輝かしいキャリアが実現しました。
そういう意味では、
この作品はジョン・ウェインの出世作と
言えるのかもしれません。

おわりに

本作は西部劇映画の名作と名高い作品ですが、
それを深く感じることができました。
時代が背景もさることながら、
現代のCGやカラフルな映像とは違った、
自分自身で探りを入れていくことが白黒映画の
楽しみ方ではないかと感じました。

もしかしたら現代の人からしたら、
少々話の展開が急すぎたり、
ご都合主義強めに感じる部分もあるかもしれません。
ですがそれらを差し引いても、
ちゃんとクライマックスで盛り上がる流れが
しっかりと用意されていますし、
最後は心の中に広がる旨味成分を味わうことが
出来ることでしょう。

慣れないジャンルに挑戦するときに、
その中でも名作と言われる作品に触れるのは、
初挑戦で成功体験を掴むという点では王道でしょう。
本作は西部劇、
白黒映画に馴染みのない人でも楽しめる、
素晴らしい作品ですので、
一度鑑賞することをオススメします。

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