旅の記憶 1994・夏 イスラマバードの記憶
30年前の夏
僕はパキスタンの
イスラマバードにいた
イスラマバードの街を歩く
行き交う車
オートリキシャのタクシー
行き交う人々
街の喧騒という言葉がふさわしい情景だが
今ひとつ記憶が蘇らない
子供に声をかけて
撮らせてもらったであろうこの写真
よそよそしい感じがするから
コミュニケーションは
取れていなかったのだと思う
旅の写真は
時として強烈な記憶として
その時のことが蘇る
この写真を見て
この時のことを思い出した
歩き疲れて戻ったホテルの部屋
この時は1人だった
炎天下の中を歩き続けた後の体に
天井のファンの風が心地良かった
ベットに横になり天井を見上げると
壁に生々しい穴が見えた
換気扇を外した後だろうか
ぽっかりと空いた穴を
パキスタンっぽいななんて思いながら
ベットに横になったまま
シャッターを切る
その時の少しひんやりした空気感
街の喧騒が少し和らいだ
静かな部屋
僕はあの時確かに
イスラマバードにいた
続く
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