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R3MAY【金管楽器】低い音の話

おはようございます。チューバ奏者の河野一之です。

序章

昨日の高い音の話の続きとして今日は低い音の話

僕自身は昔から低い音を鳴らすだけということに関しては苦労をしたことがことありませんでした。

恐らく頭の中の音のイメージなんかがしやすい人間だったようで「ある音域以下になると出ない」なんていうことはあまりなく苦労はしませんでした。

でも低音域に苦手意識がありますという方も決して少なくありません。

今日はそんな方へ向けたお話。

低音域の奏法のイメージ

これまでいくつか低音域に苦労しているとご相談を受け、実際にその方がおっしゃる低音域まで演奏していただいていると気づく共通点がいくつかありました。

1、その方が「低音域」だと考えている音域に行く直前の音、または実際にその音域になった途端に、首や顔を中心とした姿勢自体を動かしマウスピース&唇の位置を極端に変える。
2、息が吐けていない

この2点です。特に大きい理由は1で、マウスピースに当たる唇の角度や当て具合をわざわざ変えてしまい息を吐いているのに唇が振動しない、つまりその音域の音が鳴らないという事態が起きています。

これはなぜかと考えた時に高音域でも同じような現象が起きているなと思いました。

音=振動=空気の振動する速さ=唇の振動する速さ

まず例えばドという音に対して、レという音は2度高い音なので振動数(周波数)が高い音ということです。

この時金管楽器でいえば唇の振動数を上げてマウスピースの中の空気の振動数を上げる→楽器の中の空気の振動数を上げる→楽器が共鳴して音が鳴るという現象が起きています。

これが僕たちが「楽器を吹いている」という動作になります。

そして楽譜上では音符が一段高い位置に設置され、視覚的にも音が上がったのだなとわかります。

ここに人間の五感の中でも大きな役割を持つ視覚のトラップが存在します。僕たちは楽器を吹いていて、楽譜上で音符が上に行ったり下がったりすると顔や姿勢も上下に動かしてしまい口から出る空気、それを受け振動する唇の振動を邪魔してしまいます。

マウスピースを使い唇を振動させながらMPを上下に動かしてたり横や角度を変えてみたりしてみてください。唇の振動が邪魔をされて止まる時がありますよね。これが罠です。

高い、上の、Highと言った言葉や図形でも下から上に行く記号を見ると僕たちはどうやら上を向きたくなります。
低い、下の、Low、という言葉や図形、記号も同じです。下を向きたくなります。なぜならそういう”意味”を持つ言葉、図形や記号だからです

これが楽器の演奏中に行うと呼吸や唇の振動の阻害につながりある音域になると出ないという風なことになるのです。

条件

マウスピースの中で唇が振動していれば理論上どのな音でも鳴ります。

でもマウスピースの中で唇の振動が邪魔されるような姿勢、マウスピースへの顔の当て方をしていればもちろんなりません。また顔の形が千差万別なのと同じでこの”当て方”も人それぞれです。

また2、息が吐けていない

と書きましたが、例えば高い音であれば唇の振動数を上げなければいけないので唇をより早く振動させる風=つまり速い息が必要です。

低い音であれば唇をより遅く振動させなければならないので遅い息が必要です。

一度試してみて欲しいのですがブー!っとバジングを早くするほうが、ゆっくりバタバタと唇を振動させるよりも息の量が少なくて済むのがわかると思います。

つまり音域が下がれば下がるほど

息の速さは遅く&息の量は多く

ならないと唇を振動させることができないというわけです。

大体大まかに、1オクターブ下がるごとに入れる息の量は倍ぐらいに考えた方がいいと言われますが、大袈裟ではなくそのぐらいの量をまず入れてみて、その後にコントロールをし調整をしていくといいでしょう。

息のコントロール

高い音同様、息を速く、遅く、多く、少なく出すためのトレーニングは必要です。

こちらにまとめてあるのでぜひご覧ください。

まとめ

視覚からくる音の上下で姿勢を変えないように、変えるのは息の速さや量です。

どうしても息の速さや量というのは目に見えないし図に表しにくいので意識をしにくいですがそれゆえこちらに意識を持っていきトレーニングを続けていけば解決の糸口は意外と早く見つかるはずです。

皆さんの何か日々の演奏に少しでも役立ちますように

Thank you

Kazz


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