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R3MAY【金管楽器】高い音の話

おはようございます、チューバ奏者の河野一之です。

序章

吹奏楽に出会い、チューバに出会い6年目、高校3年生の頃にはなんとかHigh Bbぐらいまで出ていました。でも小学生の頃からずっと歯列矯正は続けていてそれでもチューバを日々のんびり吹奏楽部を楽しんでいました。

なので歯列矯正、しかも歯の内側ではなく、外側にするタイプのものでしたが矯正をしていてもある程度のチューバの演奏はできることを知っています。

そして、小学生の頃から発達してきた下顎により反対咬合(受け口)だった自分の顎を治すため東京医科歯科大学附属病院にて下顎の骨を切除
(顎の痛みよりも全身麻酔から目覚めた後、尿管を抜くのが人生最大の痛みだったのはここだけの話。男性の方が痛いそうです。)

顎の骨の切除をするための手術は確か数時間、その後顔がアンパンマンのように腫れ上がるのは別の話として、たった数時間でこれまで十何年間で形成されてきた体の形が変わってしまうのです。

ここで驚いたのは脳でした。

僕の感覚的にはたった数センチの骨の切除なので大して変わったところはなかったのですが、いざ退院し先生の許しが得た後に楽器を吹いてみると音は鳴る、よかった!となったのですがそこからが大変でした。

でも出来ることはかなり狭まり、プラス成長の仕方がわからなくなりました。

これらは脳や感覚の誤差なので自分の意識下では正直わかりません。何が言いたいかというと

脳や感覚、身体は「まだ下顎が出ている、受け口の状態」という風に情報が残っているのです。

でも実際は骨を切除し、矯正もしたので顎の形は普通の人類に近い形になっています。

このたった数センチ、されど数センチの誤差に僕は気付かぬままその後数年間楽器演奏で苦しみます。

その後の修行はすでに記述した通りです。

High Cも鳴らせなかった

顎を切った後僕はHigh Cも鳴らすことができませんでした。

そして大学4年間で広げられた音域は4度、High Fぐらいまでです。しかも美しく音楽のために鳴らせるというよりか”鳴ればいい”ぐらいだっと思います。この時ははこれが限界でした。

でもそこから今33歳、つまり10年後、限界だったHigh FからDouble High Cぐらいまでだったら余裕で使えるようになりました。その上でさえ毎日基礎練習などでは鳴らすようにしています。(曲に出てこないので使用していないという意味です。)

ここから本題です。

それどうやるの?

高い音、と自分が感じる音域を普段使いできるようになるためには様々な要因が必要ですが、その中でも最も大事なのは

高い音と思わない、Double High Cであってもただのド=C

このように思えるようになることが最も大事です。

こう思えるようになるために様々なトレーニングをします。

1、呼吸のトレーニング
息を早く出したり、遅く出したり、量を多く&少なく出せるようする。つまり息をコントロールするための練習をする。

2、マウスピースの中で唇が振動するようにする。
高い音が鳴っている状態というのは、マウスピースの中で唇がその高い音の振動数で振動している状態です。

その振動が唇→マウスピース→楽器の順に空気を共鳴させ”高い音が鳴っている”という現象が起きます。

なのでマウスピースの中で唇が自在に振動しなければ音はなりません。これは低い音も大きい音、小さい音も全て共通します。

普段の生活にない動き

音符が読める!とかいうのも特殊技能かもしれませんが(日本の音楽教育が残念)、この金管楽器を吹く!というのは普段の僕たち日本人の生活にない動きをするためにあれこれ”できないこと”が増えます。

しかも、金管楽器が生まれたのは西洋、彼らの言葉である英語やドイツ語フランス語などと比べて音の数が段違いです。

それゆえ様々な季語や熟語など音の少なさをカバーするような意味でいろんな言葉を作ったのが日本語かもしれませんが、どちらが良い言語というよりかは

音が多い言語→様々な舌の動きによる発音+息の速さを量を変えて行う発音

こういうものが日本語よりも段違いに多いのです。そういう言葉を生まれた時から使っている人たちが発明してきた楽器というのは大前提にあってもいいかもしれません。

なので金管楽器の演奏では僕たち日本語を話す日本人が想像をしている息の操作よりも段違いに幅広い操作が必要になります。

なので呼吸のトレーニング、またその呼吸を増強するための呼吸筋のトレーニングは高い音=速い息を持続させ唇を高速で振動させるのにとても効きます。

僕がこれを聞かれた際は二つおすすめがあります。

1、プランク
おすすめは細く長く、1日にたくさんやるのではなく、少なくてもいいから毎日ちょっとずつやることです。

2、息の速さや量をコントロールするトレーニング

僕が気軽にやったり生徒さんにやってもらうのは

A4の紙やティッシュペーパーを顔の前に両腕で持って垂らし、それを息だけで吹き、反りを持続させたり、何度も何度も息でアタックをかけ反りと戻りを繰り返させたります。

こうすると目に見えるので自分の息圧が簡単にわかります。これも細く長く毎日少しずつ続けましょう。

ダイエットと体のシェイプアップにも効果的です。(多くのチューバ奏者はグルメなのでインナーマッスルはバキバキなのですがポンポコリンも多いです・・・)

楽器ばかり吹かない

「高い音が出ない」という状況を改善するためにひたすら楽器ばかり吹くのはお勧めできません。

上記した呼吸筋のトレーニングも効果的ですし、マウスピースだけ、バジングだけ、歌うこと、休憩することも「高い音」を自在に操るのには必要な練習方法です。

Aという練習をして効果がなかったら
①量が足りない②やり方が悪い③休憩が必要のどれかです。

まとめ

大変残念ながら「高い音がでないなー」ともじもじ悩んでいても出るようにはなりません。

1番速いのはすでに出ている人に聞く、何事もそうですが誰かに聞く=レッスンを受けるのが1番速いです。

またはやり方を変えたり、継続をしてみたり大前提に

今までのやり方をしていたから高い音が出ていない

ということに気づくべきです。

一人でも多くの奏者が自分の出したい音、音楽をできることを祈ります。その手助けになりましたら幸いです。

僕ももっと練習します!

Thank you

Kazz


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