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ロングトーンの話

おはようございます。

河野企画代表、チューバ奏者、指揮者の河野一之です。

数ある基礎練習の中の一つロングトーンの話。

ロングトーン

ロングトーンとはそのままの意味で音を長く伸ばす練習方法でもとはLong Tone。

おそらく最初に楽器を持ち音が出るようになってからやる練習としては一番初期のもので「音を長く伸ばしてごらん」と言われればそれはもうロングトーンとなる。

正確な定義は無いけれど、ロングトーンを舌を付き音を区切っていけばTounguing(タンギング)となるし、同じ倍音内の音を繋げて演奏すればLip Slur(リップスラー)となるので基礎練習の大元と言っても良いかもしれない。

まして僕らチューバ奏者はオーケストラや吹奏楽はじめどのようなアンサンブルでも金管楽器のもっとも低い音域を担当する事が多い=和音の根底の音、根音やアンサンブルのサウンドを決める土台の役割が多いのでこのロングトーンはよく行う。

今日はそんなロングトーンについていくつか書いてみる。

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実はリズムが大事

ロングトーン、音色のトレーニングや音程のトレーニング、息をまっすぐ伸ばすトレーニングとしての効果は多くの方が語っているので書かないがその実、リズム感を鍛えられる練習でもある。

例えば多くの場合、4分音符=60のテンポで4/4拍子で2小節間つまり8秒間=8拍のロングトーン、これをはじめに1,2,3,4と4拍取ってから演奏をし始めると思う。しかしここでリズムをしっかり取らないと

・息を吸うタイミング(リズム)
・演奏し始めるタイミング(リズム)

ずれる。息を吸う拍数も設定し、演奏し始めるタイミングもメトロノームのビートにしっかり合わせて行う事が大切である。

これがしっかりするとフライングや遅れて出たり、fpのような入り方、後押しをしなくなる。

もし自分のリズム感を試したかったら鳴っているメトロノームの音を裏拍にと感じてやってみると良い。

4.02〜から見てみてください。

尺=長さ

また尺もとても大事だ。つまり伸ばす長さである。

例えば8拍と設定をしたら8拍で音がなくならなければならない。中途半端に8.4拍とか9拍とか伸ばすのはルール違反になってしまう。

始まり良ければ全て良しとはならない。曲も出だしから最後の音まで美しく演奏するには、始まりだけではなく終わりまで集中が必要だ。

もし8拍以上伸ばしたいのであれば例えば

・12拍のロングトーン、14, 16,20,24....と拍数を決めて音が「均等」に伸ばせるようにする。
お好み焼きやもんじゃもネタや生地の厚さがまばらだと火の通りがまばらになって美味しく無いのと同じで音も自分の決めた音量、音色、音の始まりと終わりが演奏できるようにする。

慣れてきたら

・音量を変える。
もし8拍のロングトーンで余裕を感じてきたら例えば音量をあげてみたり逆に音量を下げてみたりする。f, ff, fff, p, pp, ppp, fpなどなど

この中で特におすすめなのが

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クレッシェンド・マークやディクレッシェンド・マークがないので代用したけれど、徐々に大きくし頂点まで達した後にまた徐々に音量を下げていく練習。さらに逆に小さくしていき大きくしていく練習も大いに有効。

この練習のコツは
1、息でコントロールする=呼吸筋を使う。
2、唇の振動をスムーズにできるようにする。

説明するね。

まず1。
”クレッシェンド=音を徐々に大きくする”、”ディクレッシェンド=徐々に小さくする”なのでこの公式が使える。

なので息の”量”を増やしたり減らしたりというコントロールが必要になる。そのために息を吸ったり吐いたりする時に動く筋肉に意識を向ける
(言葉だけじゃ絶対わからないので下のリンクで色々見てみて)

この説明や図であまりイメージできにくかったら逆に息のコントロールをしにくくする方法を考えてみる。

・喉を締める
・腕や首に力を入れる
・猫背やえびぞりのように姿勢を変える
・少ない量の息でやろうとする

この逆をしたら吸える。

トレーニング方法は

1、メトロノームとともに、まず息だけでやる。
初めの4拍徐々に吐き出す息の量を増やし、次の4拍で徐々に減らしていく。
この時最後の拍の時点で息が吐き終わっているように
2、マウスピースで全く同じ事を行う
3、マウスピースでバジングをしながら同じ事を行う
4、楽器で行う

こんな感じ。

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慣れてきたら2

さらに別のパターンとして音量と並行して音域も変えよう。

例えばペダルと呼ばれる低音域や高音域で行っても良い。

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目的を持って行おう

いつでも

なんでロングトーンをするのか

という疑問やそれに対する答えを持って行おう。

・ただ毎日やっているから
・習慣だから
・やれと言われたから
・やった方が良い気がするから

これだと目的地のないまま歩き続けるようなものなのであまり効果がでない。一つだけ例外は「好きだから」やっている分にはOK。

例えば

・決められた拍数の間、美しい音色で演奏するため
・出したい音程で演奏するため
・息のコントロール力を強化しより自由な演奏を実現するため
・リズム感を鍛えるため

とかなんでも良い。自分のその時その瞬間に必要だ!上達させたいと思った目的にそって上記した様々なロングトーンをトレーニングに使用してみれば良い。

最後に

ロングトーンは正直どんな音でも良いのであれば寝っ転がってテレビでも見ながらでも”ただ音を伸ばす”ぐらいだったらできる。

そのぐらいシンプルゆえに奥深い、まるで料理の出汁(ダシ)のような練習だ。

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どれだけ具材や見かけを良くしても、出汁が不味ければその一皿は台無しになる。でも具材や見かけが少なくても出汁の効いたシンプルなお味噌汁はそのいっぱいで人を幸せにする。

そんなロングトーンを僕もしたい。
なので一緒に練習していこう。

また良かったらこちらも使ってみてほしい。

Thank you

Kazz



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