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滞在先どうする?問題

留学先の学校が決まったらいよいよ渡航準備です。何より大事なビザの申請、航空券をとったり、荷物を整理したり、留学保険に入ったり……やることはたくさんありますが、その中でも大切なことの1つは「滞在先を決める」ことでしょう。留学生の滞在先候補はいくつかあります。

・学校指定の寮に入る
・ハウスシェア(またはフラットシェア)する
・ホームステイする
・自分で物件を探して一人暮らしする

学校指定の寮に入る

1番シンプルで、1番てっとり早くて、1番定番なのが学校指定の寮に入ることです。大きい大学であればキャンパス内、またはキャンパスのすぐ近くに、大学が直接運営している寮(student accommodation)があります。小さいカレッジや、大学運営の寮が定員いっぱいの場合には、大学が提携している民間運営の寮に入ります。私の通う Royal Welsh College of Music and Drama の場合は後者にあたり、Liberty Living というところが運営している寮(調べたら今は Unite Students 統合されたようです)にほとんどの1年生が入りました。

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イギリスの学生寮はフラットシェアの形式が多く、ベッドルームは1人1つ使えて、キッチン・リビングを4〜6人で共有します。シャワーとトイレが各ベッドルームについている(En Suite)ことも多いです。2〜3人でのルームシェア、バス・トイレも共有、キッチンなしで学食…というアメリカの寮(個人的印象です)と比べて、寮生活でもプライベートスペースが確保できるのはイギリスの寮の良いところ!

ロンドンなんかだとまた少し違うとは思いますが、イギリスでは「地元の大学に行く」よりも「大学に行ったら親元を離れる」のが一般的だと思います(その代わり休みにはすぐに実家に帰るけど)。「親元を離れて自分で生活してみる」ことまで含めての「大人になる第一歩の大学生活」という位置づけ。なので新入生のほとんど全員が寮に入っているし、寮生活は新しいコミュニティでの新生活の第一歩という印象です。フラットメイトは最初の友達だし、学科で友達ができたらフラットに友達を呼んだり呼ばれたりして過ごします。そういった意味でも「1番てっとり早い」のが寮生活です。

ハウスシェアする

学校指定の寮が満員の場合は、留学1年目からハウスシェアというのも選択肢の1つです。「留学1年目から」とつけたのは、1年間の寮生活を終えたあとは1年目に出会った友達とハウスシェア(またはフラットシェア)に移行するのが鉄板ルートだからです。例にもれず私もこのルートをたどりました。

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ハウスシェアの最大の利点のは、家賃が安くあがることだと思います。私が 寮に住んでいたときの家賃(水道光熱費・wifi込)は週あたりおよそ£120、月に換算すると£530くらいでした。一方、寮を出てハウスシェアをしてからの家賃は月£310、水道光熱費・wifiはシェアした3人で割って1人あたり月およそ£50(水道£12、電気ガス£22、wifi £16くらい)だったので、あわせても寮にいるより£150以上(日本円換算で20,000円以上)安くあがっていました。この差は大きい!

もちろん、安くあがる分、寮より不便な点はたくさんあります。まず1年目でハウスシェアしようとしたら、物件を探すのもハウスメイトを探すのも自分です。寮が定員オーバーの場合はもちろんこの点は学校がサポートしてくれますが、寮に住むより学校から遠くなったりする可能性があります。寮では、万が一フラットメイトと相性が悪い場合に相談して比較的すぐ部屋をうつることができますが、ハウスシェアでは気軽にできません。寮は24時間セキュリティの場所が一般的ですが、自分で家を借りる場合は(そういう物件を探さない限り)そんなサービスもちろんなし。それから当然、水道光熱費などのライフラインまわりを自分で業者や不動産屋(or 大家さん)とやりとりして手続きしなければいけません。

あとは、イギリスは家具・家電つきの物件が主流なので、故障などの際は不動産屋にメンテナンスの手配をお願いしますが、これが良い不動産屋に当たらない限り全く来ません。私も1度、洗濯機が壊れてしまったことがありましたが、修理を依頼してから故障をチェックする人が来て、最終的に直せないから新しいものを届けてくれるまで約2か月かかりました。しかも、新しい洗濯機が届いた際「工事の人もあとから行く」と言われたものの全く来なくて、そのままロックダウンに入ってしまったので、しびれを切らした友達が自分で設置していなかったら洗濯機なしで半年以上過ごす可能性すらありました。恐ろしい…。その点寮は、コンシェルジュ経由ですぐメンテナンスが来るので不動産屋よりは信頼できます。

と、いう感じで、ハウスシェアは寮に入るよりも、留学生にとってもイギリス人にとっても1段ハードルが上がるので、ほとんどの学生が1年目は寮、2年目からシェアのルートをたどります。もちろん寮の利便性から、多少高くても2年目も寮に入る人もいます。

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ホームステイする

「留学=ホームステイ」のイメージを持っている人って多いんじゃないでしょうか。なんとなく語学留学だとホームステイが一般的な気がしますが、学部留学・大学院留学の場合にはそこまでメジャーではないかもしれません。でもいないわけではなくて、私のカーディフで出会った唯一の日本人の友達はカーディフ在住の日本人ファミリーにホームステイしていたし、同じコースのアイルランド人の友達はホームシックに苦労した結果、1年の途中で寮を出て以降、卒業までホームステイをしていました。

ホームステイのメリットはステイ先の家族との交流でしょう。ステイ先の家族と団らんしたり出かけたりすることで語学力を自然と伸ばすことができたり、逆に自分と同じ出身国のファミリーと過ごすことで安心感を得られたりします。学校の友達ではない人たちとの共同生活だから、学校のコミュニティから一息つけるし、ステイ先がご夫婦だったり子どもがいる家族なら、大人が一緒に住んでいる安心感や家族ならではの空気感でホームシックを紛らわすこともできます。また、ステイ先との契約の内容によっては、料理や家事をやってもらえるのもメリットの1つといえるかもしれません。

ステイを受け入れているお家に限りがあること、それから少なくともハウスシェアよりは予算がかかること(具体的な数字はわかりません、ごめんなさい)がデメリットと言えるでしょうか。それから、ステイ先と相性が悪いと地獄です。なかなか気軽に別のファミリーに変更できなかったりするので、ある意味ギャンブルだったりします。

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自分で物件を探して一人暮らしする

ここまでの選択肢、すべて誰かとの共同生活でしたね。そう、イギリスの学生、一人暮らしは全くもって一般的ではありません。大学で親元を離れるとなったらワンルームアパートに一人暮らしが主流の日本とは真逆です。そこには内装のリノベーションを繰り返して古い建物を保存しているから一人向け物件が少ないだとか、家族やパートナーと一緒に住むことに重きを置く習慣だとか、いろんな事情があると思われるのですがここでは割愛します。

とはいえ一人暮らしができないわけではありません。まず、シャワー・トイレと小さいキッチンがベッドルームについた、studio flat(いわゆるワンルーム)形式の「1人暮らし向けの学生寮」というものが存在します。民間企業が運営している student accommodation が提供していることが多く、当然お値段が張りますが、学生寮の良いところを残したまま共同生活のストレスを取り除けるのがメリット。同じコースの友達の男子2人は「もう共同生活は嫌だ!」と言って2年目からこれに移っていきました。私もきっと、ハウスシェアした友達が誘ってくれなかったら、こうしていたんじゃないかなぁと思います。

学生寮ではなく、自分で studio flat(ワンルーム)や 1 bedroom flat(1DK)を借りて住むこともできます。学部を卒業してハウスメイトがみんな地元に帰ってしまった今の私がこれにあたります。家賃はハウスシェア時代のおよそ2倍、£600(約84,000円)になりましたが、東京で同じくらいの家賃で一人暮らししていた倍の広さの物件に住めたので全然ありです(何度もいいますがこれはカーディフ基準です、ロンドンだとこの倍はかかります)。前述の通り一人暮らし向け物件はあまり多くなく値段も割高ですし、学生には貸し出していないところもあるので探すのは一苦労ですが、キッチンもお風呂も自分の使いたいときに使えるのは最高に暮らしやすいです。

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簡単に、イギリスの学生の滞在先事情をまとめてみました。最終的には個人の好みと生活習慣と予算との兼ね合いだと思いますが、私は最初は寮でシェア、次にハウスシェア、そして一人暮らしと段階を踏んで良かったなぁと思います。日本にいるとなかなか共同生活をしないので、自分は共同生活するとこういうところをストレスに感じるんだなぁとか、そういう発見があったのも良かったです。新しい土地で新しいことをする、まさに醍醐味かなぁと思います。

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