アート鑑賞を介したコミュニケーションが楽しいと思えた - 株式会社ベネッセコーポレーション【体験者インタビューVol.9】
【体験者インタビューVol.9】
こんにちは、ベネッセアートサイト直島 エデュケーション担当の大黒です。
ベネッセアートサイト直島でのプログラム体験者の声をお届けするインタビュー企画・第9回となる今回は、「株式会社ベネッセコーポレーション」の堀籠葉子さんにお話を伺いました。
■プロフィール
大黒:ベネッセアートサイト直島のプログラムを体験されたきっかけを教えてください
堀籠:直島には、ベネッセに入社してから研修などで何度か行っていたので、馴染みはありましたが、東京からは遠いので、当時そんなに関心はありませんでした。けれど、2019年の瀬戸内国際芸術祭の時に色々な島を巡り、アートに関心を持つ方々とお話をしたことをきっかけに、会社で発信しているアート活動をもう一度見返すことになって。直島という瀬戸内海の島に現代アートがある意味について考えたり、それを観て会話しながら様々なものの見方を学んだりすることって、これまでの仕事や人生の中で意外とやってこなかったので、面白さを感じ、それからベネッセアートサイト直島に関する様々なイベントに参加するようになりました。
大黒:2021年にはオンラインでの対話型鑑賞体験会に参加してくださいましたね。実際に参加してみていかがでしたか?
堀籠:そうですね。社内で対話型鑑賞のオンライン体験会があると知り、日頃話したことのない人ともアート鑑賞を通して話せるのがすごくいいなと思い、参加しました。実際に参加してみると、一つのアート作品を観ていても、一人ひとりの視点や考え方があって、同じものを観ているのに、意見や見方が全然違うことに驚きました。仕事の中でも、一つの事象に対して様々な意見があるし、日常生活においてもそれがあることは分かっていましたが、同じものを観ているのに違う視点がたくさんある、ということはアート鑑賞を通して特に感じた部分ですね。
大黒:対話型鑑賞を体験した後、ファシリテーターの養成講座も受講されていますね。
堀籠:アートを観てそれぞれ違う意見や考え方を持っていることは分かったけれど、今度はそれを自分が引き出せる立場になってみたら、自分の考え方も見方も、またちょっと違うステージに上がれるのかなと思って。また、ベネッセアートサイト直島のファシリテーターや美術館のスタッフの皆さんがすごく上手に鑑賞者の意見を引き出している様子を見て、そのスキルを身に付けることで仕事にも活かせるかもしれないと思いました。仕事の中でも複数人でアイディアを出したい時に、意見が出なかったり、議論が堂々巡りしたりすることってあると思うんです。そういう時に、それぞれの考えを明らかにしたり、視点を変えたりするファシリテーターの問いかけの観点を持ち合わせていれば、仕事でも役立つんだろうなと思っていました。
大黒:それがその後のファシリテーター認定への挑戦に繋がるのですね。2022年に直島にて、実際に対話型鑑賞のファシリテーションをされていましたが、いかがでしたか?
堀籠:アートを通じて色々な人とコミュニケーションをとったり、一人ひとりが持つ思いに触れることができたり、それが自分にとって楽しいと思えたので、ファシリテーターという立ち位置になることを突き詰めたいと思って挑戦しました。実際にやってみるとやっぱり難しかった。一つの意見を深く掘り下げるのが難しいなと感じました。けれど、参加した方が「対話型鑑賞が楽しかった」と言ってくださったのと、初めは全然話さなかった方が徐々に話すようになってきた様子が一番心に響きました。問いかけることで変容が見られたり、最後は面白いって言ってくださったりして、やっぱり楽しかったですね。
大黒:他にもベネッセアートサイト直島の様々なプログラムに参加いただく中で、印象に残っている場面があれば教えてください!
堀籠:新入社員研修でも対話型鑑賞のファシリテーターをやらせてもらって、オンラインでしたがこちらの問いかけに対して様々な意見が出て、時間が足りなくなるくらい新入社員の皆さんと意見を出し合えたのが印象に残っています。アート鑑賞をきっかけに自分の意見を出し合う、そういうツールとしても活用できるんだということに驚きました。すごく楽しかったです。2022年には瀬戸内国際芸術祭のボランティアとして研修に参加したのですが、現地で一緒に作品の案内を担当した方とアートについて話をしたことも印象に残っています。初めてお会いした方でしたが、アートをきっかけに色々と話をする中でその方の考え方を知れたり、自分になかった世界が広がったりしたのは、楽しかったですね。作品を観て他の人がどう感じるのか、それを一緒に観ている人同士で話し合うことで、アートだけではない観点に触れられますし、そこに対話型鑑賞の可能性があるのだと思っています。
大黒:ベネッセアートサイト直島のプログラムに参加する前後で、堀籠さんご自身に何か変化はありましたか?
堀籠:これまでは作品をさーっと素通りしながら観ることも多かったのですが、一人で鑑賞する時は「自分はどう感じるかな?」と考えたり、友人と一緒であれば話しながら考える時間が増えました。作品を観て考えているんだけれど、それは自分自身のことを少し振り返って考える時間になっているのかなとも思います。
大黒:今後、対話型鑑賞のファシリテーターとして挑戦したいことはありますか?
堀籠:アート鑑賞に程遠い人にこそ、対話型鑑賞を体験してもらいたいと思っています。アート鑑賞を通して自分や周りの考えが見えてくる経験をしてほしいなと思っていて、その時のために今は社内で発信されている対話型鑑賞のイベント等に参加させてもらって、自分のファシリテーションスキルを磨きたいです。私は、対話型鑑賞は、これから社会に出る方や、いままでと違う仕事をスタートさせる方に体験してもらいたいと思っています。対話型鑑賞を通して自分の意見や考えを張り巡らせてほしいという気持ちはありますし、この後、どうプラスに働いていくのか、その変容も気になります。
大黒:最後に、ベネッセアートサイト直島のプログラムで「こんなことがしてみたい」ということがあれば教えてください!
堀籠:ベネッセアートサイト直島には多くの方が訪れていますが、ぜひ一歩踏み込んだ鑑賞体験をして帰ってほしいです。アート鑑賞は楽しいけれど、対話型鑑賞をすることでもっと違う世界というか、違う面が見える。ベネッセアートサイト直島に来たらそういう体験をしてほしいですし、それを持って日常生活に戻ってほしいなと思います。今は日本全国に様々なアート作品がありますし、対話をしながら作品を鑑賞することで、自分の考えや自分の生きる道が変わるかもしれないと思っています。
堀籠:対話型鑑賞のファシリテーターとして、作品鑑賞を通して自分の意見を話すことが自分を振り返るきっかけになったり、自分の人生とまではいかなくとも、何か考えるきっかけに繋がったらいいなと、そういうインパクトを与えられるようになればすごく良いなと思っています。小さくてもインパクトを与えられるファシリテーターを突き詰めてみたいです。
おわりに
今回は「株式会社ベネッセコーポレーション」の堀籠葉子さんへのインタビューをお届けしました。ご協力ありがとうございました!
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