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アートの役割を考え、新しい作品を提案する(香里ヌヴェール学院高等学校)

この記事では、ベネッセアートサイト直島が学校や団体、企業の様々な目的やテーマに応じて実施した、2023年度の教育プログラムについてお伝えします。

プログラム概要

2日間の体験を通して「アートの役割」を考え、その役割を果たすような作品をグループで提案するプログラム。

■開催日時
2023年10月24日(火)~25日(水)
■参加者
2年生13名+先生2名+カメラマン1名+添乗員1名
■問い合わせ日
2023年1月10日(火)
■認知経路
メール問い合わせ

スケジュール

■1日目

  9:42 宮浦港着
10:15 BASNレクチャー
11:00 ベネッセハウス ミュージアム(対話型鑑賞)
12:45 昼食、午前中の振り返り、本村周遊プラン作成
14:15 家プロジェクト、ANDO MUSEUM
16:00 グループワーク(アートの役割を考えよう)
17:00 終了、ベネッセハウス チェックイン

■2日目

  9:30 ヴァレーギャラリー、李禹煥美術館
11:15 昼食
12:00 地中美術館、プレゼン準備
14:45 プレゼンテーション(新しい作品の提案)
16:00 自由時間@宮浦港
17:00 離島

特徴

プログラムの特徴

・振り返りの時間やグループワークなど、考えたことをアウトプットする時間を細かく設けることで、最終プレゼンまでに思考を整理できるようにした。
・最終プレゼンは福武財団の職員も参加し、生徒たちの提案内容に対して客観的な視点からフィードバックをもらえるようにした。

参加者の反応(提案内容より)

■指でフォトフレームの形をつくっているオブジェ

【アートの役割】
会話を生む、人と人を繋ぐ役割

直島は海外のお客様が多く、アートは言語の壁を越えて人同士を繋ぐことができると考えた。

【作品概要】
海辺にオブジェを展示し、作品と一緒に写真を撮る人、撮られる人同士の交流を促す。

・ベネッセハウス ミュージアムの≪黄色と黒のボート≫を観て、絵画の世界と実際の世界との繋がりを感じた経験が印象に残っており、絵画とリアルな世界との繋がりを感じられる作品にしたいと考えた。オブジェ側から見える風景を描いた絵画を食事会場やホテルの客室に展示し、それを観たお客様がオブジェを探しにいく、という仕掛けを考えた。
・海辺を設置場所として選んだのは、直島で見た海が綺麗で印象に残っているから。

■動物の形をしたオブジェを山の頂に展示する

【アートの役割】
シンボルのような役割、見る人に安らぎを与える効果や想像力を掻き立てる効果があると定義

【作品概要】
犬の形をしているが、太陽光が当たると猫の形をした影が出るオブジェ。鑑賞者の想像力を膨らませられるようにした。

・安らぎを与えるモチーフとして犬と猫を採用。
・展示場所は山の頂の想定。自分たちは直島にシンボル的なアートがありそれを目的に研修で大阪から来ることができた。遠かったが、だからこそ達成感を得ることができた。2日間を通してアート作品を観るためにたくさん歩いたことも印象に残っている。鑑賞者に作品を観る達成感を味わってほしいので、展示場所はあえてアクセスしづらい場所にした。

■学生の無力感や虚無感を伝えるインスタレーション

【アートの役割】
日常を見直すきっかけを与えてくれる役割

護王神社への行き来で見た木漏れ日を綺麗だと感じた。これまでの日常生活では注目していなかったが、きっとこれからは地元に帰っても木漏れ日を綺麗だと感じることができると思ったことから、日常を見直すきっかけを与える役割があると考えた。

【作品概要】
学生が抱く無力感や虚無感を伝える/自覚させる、光を使ったインスタレーション


・学生は将来の可能性がたくさん開かれているにも関わらず、具体的なアクションを起こせていないことが多い。そこから、環境と自分自身とのギャップから生じる無力感や虚無感を表現する作品を考えた。
・場所は薄暗い部屋の隅を想定。複数の穴が空いたたまご型の光源を設置し、そこから漏れ出した光が壁を照らすと様々な職業の人の影が浮かびあがり、将来への可能性を示唆しているように感じさせる作品。
・鑑賞者を励ます意図はなく、自分たちが抱える無力感に気付き、それでもいいと認めてくれる装置としての役割を担わせたい。

企画担当者からの評価

■満足度

5 / 5 点

■理由

多角的に物事を考えるきっかけを与えられたから。

■再利用意向

4 / 5 点

■コメント

・生徒の興味を広げられた。
・アートに特化した生徒でなくても興味を持つきっかけになる。

まとめ・考察

・対話型鑑賞、自由鑑賞、グループワークをすべて同じ班分けで行っていたため、2日間の体験を共有するところから提案まで結び付けやすかったのではないかと思う。
・プレゼンから参加した職員の質疑応答では、各グループの提案内容と2日間の体験がどう結びついているのか、改めて言語化する機会になっていた。(大黒)


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