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バスケなめんなよ 2話

やる気がないの?

3年生は引退し、新キャプテンも決まりいよいよ新しい時代が始まりました。

私は涼に色々と聞いてみました。

私「新キャプテンはどんな感じなの?」

涼「…わからん」

私「はぁ?わからんて何だよ!2年の中では一番上手いのか?」

涼「2年の中ではね…でも俺と大翔の方が全然上手いからやりづらい…」

大翔(ひろと)と言う子は、涼がミニバスから一緒にやっていた子です。
前にも出てきましたが、もう一人ミニバスから一緒だった三井もいます。

私「やりづらいって…実力主義じゃないのか?年功序列なのか?」

涼「俺と大翔はスタメンで出ると思うけど、残りの3人はおそらく2年生から選べれるはず」

私「んっ?残りの1年3人はどんな感じなんだ?」

涼「もう一人ミニバスで一緒だった三井は部活休んだりしてる…一応経験者の槙野(まきの)はまだ基礎が全然で、中学からバスケ始めた金剛(こんごう)は絶賛急成長で、ポストプレイを今教えたりしてる感じ」

私「三井はなんで部活休んでんの?」

涼「う~ん…ミニバスの時も結構休んだりしてたからなぁ~良くわからん」

私「またわからんって…自分たちが2年になったらスタメンで出なきゃまずい訳だから、ちゃんと声掛けしておけよ!」

涼「分かってるよ!って言うか、2年生さぁ…もっとこうしませんか?とか、こういう風に動きましょうよ!とか色々話しかけたり、コミュニケーションを取ろうと思っても全然リアクションが無いんだよ…マジでムカつく!やる気あんのかよ!」

私「いや、先輩なんだから涼たちに色々指示とか出したり、声出せ!とか言うんじゃないの?」

涼「いや、そういうのも全くない…先生がいつも2年生に、もっと声出せ!とか、もっとみんなとコミュニケーションを取らないとマズいぞ!とか、ダラダラ走らないでDF早く戻ろう!とか言ってるんだけど、全く出来てないんだよね…出来ないのかやらないのかどっちなのかも分からない…」

私「……お前、そんな部活に居て大丈夫なのか?」
涼「…………バタン(自分の部屋に戻るドアの音)」

私「に、逃げやがったwあの野郎!」

涼が言っている事の意味が分からなかったので、週末に行われる練習試合を観に行くことにしました。

新体制で初の練習試合


涼の中学校以外に市内の中学校が2校参加する練習試合で、市内1位と2位であろう学校が参加していたので、かなり分かりやすい結果になるのでありがたかったです。

まず、1位と2位が対戦すると聞いたのでギャラリーに上がり観戦の準備をすることにしました。涼のチームの保護者でこの試合を見ていたのは私だけでしたw

来ていた保護者は、タバコを吸いに行ってるか車で携帯をいじってました。
まぁ、自分の子供が出てないからそりゃあ観ないよな。

知らなかったのですが、タバコを吸う場合は学校の敷地外に出て吸わなくていけないらしいのですw
なんか大の大人が集まって道路でタバコ吸ってるのはいかがなものかと笑っちゃいましたw
ちなみに駐車場に停めてある車中での喫煙もNGなので、まぁそうなるのかと納得はしました…

試合はと言うと、まだチームが出来たてと言う事もあると思いますが、ミニバスに毛が生えたような印象を受けました。

これで市内1位、2位の実力なのか…
私は困惑しました。

印象に残ったのは、顧問の怒号とそこほめる所なの?
と言う箇所での「よーーーし」とかでしたw

この試合を観て、市内のレベルがある程度分かりました。
「市内の中学バスケのレベルはかなり低いんだな」とww

同時に、つい先日引退した3年生たちはそれなりにレベルが高かったと言う事も分かりました。
次は涼の学校の試合です!楽しみすぎる…

鳥川中学校の出番

そして、涼の学校の試合が始まりました。

スタメンは
フォワード2年(キャプテン)
フォワード2年
センター2年
シューティングガード1年 大翔
ポイントガード1年 涼

の5人で始まりました。

2分くらい観ていて思いました……

これは一体なんのスポーツをやっているんだ?
サッカー?バレーボール?
バスケじゃないよなwww

PGの涼はボール運びをしようとするのですが、キャプテンが勝手にドリブルで爆走し始めました…

そして、ジャンプシュート…ゴールの上を通過…これを何回も繰り返すのです。
そのほかにも、トラベリング、キャッチミス、ボールをもったら即シュート、ダブルドリブル、オーバータイムetc

もう10点差が付いています。流石にタイムアウトを取るベンチ…
涼を見ると落胆の表情をしており、心ここにあらずと言う雰囲気でした。
流石に顧問も交代を命じていました。

out
キャプテン
センター

in
フォワード2年
センター2年

えっ!もうキャプテン交代なのwどういう事?
私は理解が追いつきませんでした。

しかし、キャプテンが居なくなった事で涼がボールを運べるようになりました。

それによって、パスを回して走りこんでシュート(パスラン)等の基本的な攻撃ができるようになり、次第にシュートも決まるようになってきました。
とは言え、状況は良くなっておりません。

涼のおぼつかないドリブルを相手チームが放っておくわけありません。
高い位置から当たられ、ボールを失い始めました。
涼はドリブルが下手なくせに「俺はPGをやる!」と、いきり立ってるだけですからねww
まぁ、そのうち上手くなるし、特に問題はないと思いますが…

ただ、この日の試合の朝に

私「おまえボール運ぶの?」

涼「当たり前じゃん!おれガードだよ?何言ってんの?バスケやってたんでしょ?」

私「やってたから聞いてんだよ!多分、相手は高い位置からDFしてくるぞ。相手は2年生だからお前よりパワーもあるし、スピードも経験もあるはずだから気をつけろよ」

涼「ダイジョブだって!余裕で抜けるでしょ!」

私「…抜けるならいいけど、お前がその位置でボールを奪われたら一生勝てねぇーぞ。だから、大翔と一緒にボールを運べよ。会場に付いたら大翔にきちんと話をしておけよ」

涼「抜けるって!」

なぜあんなに自信があったのかマジで理解不能ですが、伝えておいて良かったとホッとしました。
涼は大翔にボール出しを要求し、涼がボールを運ぶ体にして大翔を走らせパスをしボールを運ぶようになりました。

ボールは運べるようになりましたが、ここで違和感を覚えました。
涼と大翔が全然シュートを打っていない……
まさかとは思うけど、年功序列?先輩だから言えないのか?気を使ってるのか?

と、その時ベンチから

顧問「涼と大翔がシュートを打て!」

顧問もだいぶイライラしていたようですw

その言葉のおかげか、涼と大翔は積極的にゴールを狙うようになりました。
それなりに良い動きや良いゴールもありましたが、2年生がまったく機能していないのでどうする事も出来ない状況です。

そして、キャプテンがコートに戻って来たことにより、さらに状況は悪化しますw

トラベリング、キャッチミス、訳の分からないシュート…もうメチャクチャです。

メチャクチャなのはキャプテンだけではありません。
2年生のほとんどがメチャクチャだったのですwww
ただその中にちゃんとバスケが出来ている子もいました。
しかしその子は、スタメンでもなく、残りの1分位しか出ていませんでした。
何かあるんだろうな…練習態度が悪いとか、休みがちとか……もったいないな。

そうこう考えてるうちに試合は終わりました。

6分を2Qやって

相手チーム  鳥川中学校
  32      12

なかなかの負け方をしてくれました…

そして鳥川中は
次の試合も同じような内容と点差で負けました。

2試合ともに点差以上の差を感じました…

2年生は1年間何をやってきたのだろうか?

それより気になったのが、試合後のミーティングで顧問が話をしているのに、部員たちは返事をしません…そして、リアクションもありません…

これ一体どういう事?
私は帰ってからきちんと涼に聞いてみようと思いました。

午後からは謎のクラブチーム練習?

涼は午後から市内のクラブチームの練習があるとの事だったので、せっかくだから観に行く事にしました。

このクラブチームは、大会等には参加せずに週に2回練習だけを行うと言う意味不明な組織だと妻から聞かされましたw

まぁ、世の中の状況もあるからそんな感じにしているのだろうと、あまり気にしませんでした。

練習内容はJBAが推奨している内容そのものでした。
まぁ、チーム力を上げる必要が無いから特に問題は無い練習なのでしょうが…なにか違和感があると言うか…誰の為にやってるのだろうか…と言う感じを受けました。

まずは説教!!

家に帰ってきた涼に今日の練習試合について聞いてみました。

私「まずさぁ、顧問がお前らに話をしてるのにどうして返事できないんだよ!大人を舐めてるのか?いつも言ってるよな?相手が話してる時は目を見て返事をしろって」

涼「返事したし…」

私「聞こえないんだよ!だから顧問にも指摘されてたじゃん。そんなんだから下手だし弱いんだよw」

涼「……」

私「いいか、バスケで勝ちたいならバスケ以外の事をきちんとやれ!」

涼「……どういう事?」

私「返事、挨拶、行動のスピード、ダラダラ歩いて練習をやらない、切換えの速さ、相手への気遣い、顧問が集合をかけたら全力ダッシュで集まる、ゴミが落ちてたら拾う、練習の準備を手際よくやる、目上の人にきちんとした態度で対応する、その他色々」

涼「はぁ?そんなんで強くなるわけないじゃんw上手くならなきゃ意味ないでしょ!」

私「上手くなったから勝てるんじゃないんだよ、強くなったから勝てるんだよ!もっと言うと勝ったから強いんだよ。いいか、今言った事は中学校の時に俺も実践してきたことなんだよ。涼みたいに最初は意味不明って感じだったけど、実践していくにつれて考え方や練習への取り組みや人に対しての考え方が変わってくるんだよ。俺がそうだったから言ってるの。絶対お前も変わるからちゃんとやってみろ。俺はバスケしか知らないけど、これをやると強くなるんだよw」

涼「……あぁ分かったよ」

私「……(こいつやらないなw)」

今日の練習試合について

私「で、今日の練習試合どうだった?」

涼「別に…」

私「お前やっぱり一人でボール運べないんだなw」

涼「チッ…大翔と運べたからイイじゃん」

私「まぁそうだけど、いずれは一人でキープしながら運んだりしないとガードやってる意味なくないか?」

涼「分かってるよ!」

私「それはそうと、2年生ってあれが本気なんだろ?」

涼「そりゃそうでしょ…」

私「顧問はバスケの経験無いんでしょ?バレーボールだったよな?」

涼「うん…でも、先生は一生懸命教えてくれてる」

私「そうか。じゃあ大丈夫なのかな?これから1年どういう練習するか知らんけど、この1年無駄にしたら涼たちが3年の時の最後の試合は絶対結果出ないよ」

涼「…じゃあどうすればいいんだよっ」

私「徹底的にフットワークをやれ!そしてハンドリングとドリブルも!スリーメンをやって早いパスで全力ダッシュでキャッチミスしないように毎日やれ!」

涼「……それだけでいいの?そんなんで強くなるの?」

私「バカwこれは基礎だから。足腰を鍛えてDFが出来るようにしておくのが一つ。ハンドリングはBリーガーだって毎日やってるくらい大事なんだよ。ボールが手につくようになって結果ドリブルも上手くなる。で、止まった状態でのドリブルが出来るようになれば、動きながらのドリブルも少しは出来るようになるから、そうしたらダッシュしながらドリブルしたり、フロントチェンジ、ビハインドバック、レッグスルー等をやり続けるんだよ。そして、走力、スタミナ、パス精度、キャッチ精度、レイアップ、速攻の意識を徹底的に植え付けるためにスリーメンを1時間とかやれば、1年後かなり良い状態になってるぞ!」

涼「スリーメン1時間……無理でしょw」

私「じゃあお前のチームは1年棒に振る事になるな。まぁ俺の青春じゃないから別に良いけどさww」

涼「2年生がそんな練習出来るとは思えないし、1年生だって……」

私「なら棒に振れ!やる前から泣き言言ってんじゃねぇよ!みっともねぇーなー」

涼「………」

私「あと、ゲームしてる暇があるならバスケの動画観ろ!NBAじゃなくて高校バスケ動画を!NBAはトラベリングがぬるいから今はまだそんなに注目するな!で、バスケの練習方法の動画を探せ!フットワーク、基礎、スリーメンとか」

涼「チッ!分かってるよ!」

確かに入学したばかりの涼が2年生のいるバスケ部の練習内容を決定する事は難しいと思います。

でも、顧問の先生には熱意が伝わるのではないかと思い、涼にきつく言いました。

私の振り返り

思い返せば、私がバスケ部に入部した当初はとにかくフットワークでした。

もちろん、パスやドリブル等の基礎も徹底的にやらされましたけど、気が狂いそうになるくらいフットワークをやり続けました。

体育館が1つだったので、使えない曜日は2人1組ペアになり1階から4階までペアの足を持ち、足を持たれた方は腕だけで上がるトレーニングをやったり、廊下や外でドリブル、パス、フットワークをやり続けました。
それらのトレーニングが早く終わった人からシュートフォームを正すための練習を行いました。ボールを持たずにエアシュートを何百回と繰り返し、部員に見てもらい手が下がってるとか、足がおかしいとか、手首が堅いとか…永遠にやってました。

私は人より覚えが悪かった事もあったので、家に帰ってからドリブル、シュートホームの練習を毎日やり続けました。

ドリブルは左手を徹底的に練習し、シュートホーム練習は部活で500回位やっていたので、家では500回より多くやり続けました。
ウチは貧乏だったし、バスケゴールをつける土地の余裕もありませんでした。
当時の顧問の先生にそれを話したら

当時の顧問「ゴールなんて家にあってもやらない奴はやらないんだよ!それより、毎日出来ることを続けろ!」

そう言われ、少し気持ちが楽になった事を今でも鮮明に覚えています。

すごくいい事を言ってくれる顧問だなぁと、皆さん思うかもしれませんが…これがとんでもない顧問でしてw
それについてはもう少し先でお話ししたいと思っております。

話を戻しますが、おそらく涼たちはこのような練習はしていないと思います。

もちろん家に帰ってバスケの練習をしている部員もいるとは思えません。
いるならもっと上手くなってると思いますw

そんな話を涼にしてからは、仕事の関係もあり涼と部活の話をする時間が全くなくなりました。

出張族なのと、結構飲みに出る事が多いので、登校する涼に「気をつけてな!」位しか関わる事が出来ない日々が続きました…

次回は部活にとって最も重要と言われている
夏休みに突入します!!!
鳥川中バスケ部は、どんな夏休みを過ごすのでしょうか!






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