見出し画像

【ざまあみろ】その他 by 都築郷士

ほとんど身動きもせず、じっと坐りつづけておりながら、その苦痛はあたかも目標のない徒歩の旅に似ていた。何処まで歩めば救われるのかも分らぬ単独者の歩みに似ている。かつて彼はそういう感じを、何処かで味わったことがあった。たしかに彼は、それと同じ無意味さで、道を歩いていた。-『日本の悪霊』高橋和巳

【ざまあみろ】

子供の頃、「心臓恐怖」と云ふ
病名を見て
それこそ 芯から震へ上がつた
まだ「パニック障害」と云ふ名詞が
訳語として定着してゐなかつたのだらうか、
今現在それらふたつを
見比べてみても
前者の方が、リアルでずつと怖い。
大人になつて振り返つてみると
私は幼少よりその病氣のケがあつたのだ
(ぢやなけりやそれこそそんなに「恐怖」は無からう)。
まるで心臓がどくどく活動してゐるのが
恐怖といふ感情の本体になつてしまふ..
今なら「怒り💢ますよ!」と言つた所だ、
余りに身体感覚に露骨にフィットし過ぎてゐる表現が
コワいのである。

冬三日月ぎらり誰タレぞか首洗ふ くにを
#haiku

まあでも 私は
長じてパニック障害らしきものは克服してしまつた。
退治の方法は簡単であつた - パニック障害
そんなものは實在しない、と
思ふやうにしたのである。
これは
覿面であつた。パニックよ
ざまあみろ、である。そしてそれは
過去の自己に対する
ざまあみろ
でもあるのだ。ざまあみろ!

©都築郷士

【肌へ・三首】

スーパーの特売品なるパック入りみたらし團子頬ばつてなごむ くにを
#tanka

俗に云ふアメリカン珈琲薫りなく代はりに裸足の臭氣嗅がれた くにを
#tanka

かさかさの向かう脛に塗るアロエ水貴方氣づいたヘチマのよりも! くにを
#tanka

【虚言箴言】

「いやあ、今朝早くの話なんだけどね..」- この間でどんな咄しを創れるか、あなた實際にやつてご覧なさい。だいたいの方は巳れのストーリーテリングの才の貧弱さに、参つてしまふだらう。- ラ=ロシュフコー (大噓)

と言つた贋・ラ公はもちろん、その方面の才能有り余る人、だつた。

筆者近影。

【どゝいつんだ?おらんだ】

都都逸の神
ゐませぬ代はり
天神さまよ
無問題
(くにを)

菅公はがちがちのカタブツだつたのだらうか。高名な「東風吹かば」の御歌には、やるせない憤りだけではなく、典雅さも、むろん感じられる。まあだけど受験の神様にされちやつたからねー。マジで行かんとね。

と言つた噺でサゲるとしやう。ほんぢやアデュー!

祟る神もう冬の雷暮れる雷 くにを
#haiku オマケ。あと一丁、

焼き林檎あつたまるとはこの感じ くにを
#haiku

おしまひ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?