見出し画像

「10分で80個のアイデア」を出すディレクターの思考術【Dのお仕事‐企画編③】

こんにちは。「audiobook.jp」note編集部/音声コンテンツD(ディレクター)のバシサンです。
audiobook.jpでラジオ的な番組の企画、構成、収録、編集などやっているアラフォーディレクターです。

前回は「企画のおもしろさは「切り口」で決まる!」で、より面白い番組を考えるための企画の味付けの仕方をご紹介しました。

さて、今回は企画編第三弾。
企画の味付けの幅を広げるための「アイデアのひねり出し方」についてあれこれ語ります。
どうぞお付き合いくださいませ。

※あくまでaudiobook.jpオリジナルコンテンツにおいてのディレクターの仕事をベースに書いております。


■アイデアは「パッとひらめくもの」じゃない!

画像4

「いいアイデアない?」
「ひと工夫がほしいよね」
「もうちょっとフックになるものがあるといいんじゃない?」

企画系のお仕事だけでなく、いろいろな業種、ビジネスシーンでこんな言葉を投げかけられます。
企画とは縁遠いイメージのある経理や総務のお仕事でも「業務を効率化しよう!」となると、それに対して「何かいいアイデアない?」という話が出てきますよね?

そんなとき「アイデアなんてそんなポンポン出ないよぉ…」と内心思う人も少なくないはず。
ですが、アイデアが出せないと思っている人のほとんどが誤解していることがあります。

それは「アイデア=パッとひらめくもの」という誤解です。

突然、ひらめきが天の啓示のように舞い降りる!
いきなり石油が噴出するみたいにすばらしい考えが湧きでる!

……なんてことは、まずありません。

アイデアは勝手に出てくるものではなく、いろいろな思考の結果として出てくるものなんです。

わかります。わかりますよ。
「いやいや、次々とアイデアが出てくる人もいるじゃないか」って思いますよね?

そういう人はアイデアの出し方を知っていて、思考の時間がものすごく短いだけなんです。

あえて加えるなら、アイデアの出し方を知っていて、それを何度も繰り返した果てにいろんなアイデアのパターンを蓄積しているから、さも「その場で瞬間的にアイデアが生まれている!」と錯覚してしまうんです。

アイデアを出すためのとっかかりになる「思考の入り口」「思考の広げ方」を知っていれば誰でもアイデアは出せます。要はやり方と慣れの問題なんです。

■「連想」でアイデアを広げよう!

画像5

さて、番組Dとして私もいろんな場面でアイデアが求められます。

番組全体の企画を考える段階はもちろん、番組タイトルを考えるとき、構成台本をつくるとき、編集でどんなジングルをつくるかというときにだって「アイデア」は必要になります。

そんな私がアイデアをひねり出すときに何をやっているのか。
よくやるのがマンダラートという方法です。

思考ツールとしては有名なので「それならもう知ってるよ」という人もいるかもしれませんが、私なりのやり方や解説も加えたりしますので、既知の人もちょっとお付き合いくださいませ。

●用意するもの
・紙
・ペン

●やり方
(1)3×3マス(=9マス)の四角形を書く
(2)中心のマスにテーマを書く
(3)30秒以内に周りのマスに関連しそうなワードをどんどん埋めていく

どんな感じか、実際に書いたものを見てみましょう。
今回は音声コンテンツっぽく「フリートークのお題」というテーマでアイデアを出してみたい思います。

(1)3×3マス(=9マス)の四角形を書く

画像1

(2)中心のマスにテーマを書く

画像2

(3)周りのマスに関連しそうなワードをどんどん埋めていく

画像3


図形も字も汚いですがこのくらい雑で全然OKです(笑)

さて、ここで私がこのマンダラートを書いたときの「思考」をちょっと解説しましょう。

🖊趣味 → 趣味の話なら盛り上がりそうかな?
🖊動物 → 好きな動物にまつわる話とか動物園の話とかあるかなー。
🖊旅行 → 行ったことある場所、旅行したい場所の話
🖊ニュース → 面白いニュースなかったかな?
🖊SNS → 最近SNS界隈で面白そうなことなかったかな?
🖊グルメ → 美味しかったものとか外食とか料理とか?
🖊感心 → 最近「へー」って思ったことなかったかな?
🖊最近エピソード → 自分とか身近な人の出来事で面白かったことあった?

……と、こんなことを30秒の間に考えながら書きました。

見てわかる通り、アイデアとしてはかなり浅いし、なんだか漠然としています。でも「思考の入り口」としてはこれで充分

マンダラートの良いところは、こうやって出てきたアイデアのとっかかりを、同じやり方でどんどん深められるところです。

たとえば、同じように9マスを書いて、今度は「趣味」を中心に置きます。

趣味にまつわる関連ワードがどんどん書き込んでいけば、「あ、自分の趣味でこんな話ができるな」とか「人の趣味のアレが理解できないんだよな」とか「趣味にしてみたいこと」とか、趣味にまつわるいろいろなトークのとっかかりをつくることができます。

同じ要領で、最初に出てきた他の関連ワードを深めるもよし。「趣味」で出した関連ワードをさらに深めるもよし。

3×3のマスと中心にテーマを書く時間&次のテーマをどれにするかを決めるのに30秒。マンダラートを埋める作業で30秒。

一回のマンダラートづくりで(中心マス以外の)8個のアイデアが生まれるので、10分で80個のアイデアが生みだせることになります。


■マンダラートのコツは「考えず」やる!

画像6

マンダラートの最大のコツは、とにかくマスを埋めること!

「ありきたりじゃないかな?」「これは使えないかな?」といったことは考えず、とにかくひたすらマスを埋めちゃいます。

30秒という時間でいちいちそんなことを考えていると全部埋まらないので、とにかくアウトプットをすることに全力を注ぎましょう

そんなに雑な方法でいいの?と思うかもしれませんが、じつは「アイデアが出ない」という人の一番のあるあるが、アウトプットに慣れていないということ。

言い換えれば、アイデアを出す前に自分で勝手にストッパーをかけているんです。

「こんなアイデアしょぼすぎて書き出すのも恥ずかしい…」
「自分のアイデアの貧困さを直視したくない…」
「言葉が稚拙すぎて自分でもバカみたいに思ってしまう…」

どうです? 覚えがないですか?
正直、企画にまつわるお仕事を始めた当初、私はそんな風に思っていました。というか、今も節々で思っています(笑)

でも、雑でもいいし、まとまっていなくてもいいので、まずは頭の中に浮かんだものを即座に外に出す。その感覚に慣れていかないといつまで経ってもアイデアは出せません。

前出した私の「フリートークのお題」というテーマで書いたマンダラートだって、凡庸の塊みたいなアイデアじゃないですか?(笑)

でも、それでいいんです。

最初から洗練されたアイデアなんて出てこないので、まずはどんどんアウトプットして、そこから深めていくことで面白いアイデアが生まれてくるんです。

ちなみにマンダラートはデジタルツールでもつくれるし書き込みもできますが、個人的には紙とペンが圧倒的にオススメです。

デジタルツールだと綺麗には書けますが、どこかで「思考もキレイに整えなきゃ」みたいな感覚が出てしまうので、あえてアナログでやるほうがアイデアの広がりが持たせられます。


さてさて。ちょっと長くなってきたので、今回はこのへんで。
次回は、まだまだ書き足りない「アイデアのひねり出し方」の続きをご紹介します。
引き続きどうぞよろしく<(_ _)>


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?