音声コンテンツの「企画」ってどう立てるの?【Dのお仕事 -企画編①】
ども。「audiobook.jp」note編集部/音声コンテンツD(ディレクター)のバシサンです。
普段は、audiobook.jpでラジオ的な番組をつくっています。
前回は「音声コンテンツのディレクターって、なにやってるの?」で、音声コンテンツDがどんなお仕事をしているのかザックリご紹介しました。
しかし! ザックリしすぎたので不完全燃焼じゃい!🔥
――というわけで、今回から不定期連載としてDのお仕事の詳細や各工程でのバシサン的なノウハウを書いていこうと思います。
今回は、番組づくりの起点。「企画」についての第一弾。
どうぞお付き合いくださいませー。
※あくまでaudiobook.jpオリジナルコンテンツにおいてのディレクターの仕事をベースに書いております。
■「企画」は誰でもやったことがある?
さて、この記事をお読みの方のなかには、「自分も音声コンテンツをはじめたい!」と思っている方もいるかもしれません。
そんなときにまず知りたいことって――
「マイクってどんなのが必要?」
「どんな機材で録音すればいい?」
「編集ってどうすればいいのかな?」
といったことでしょうか?
たしかに収録する段になったらそのへんのことも考えなければいけません。
が、ちょほいと待った!✋✋✋✋
どんな音声コンテンツにするにしろ、「企画」は超大事。
これはお仕事で番組をつくるのでも、お仕事とは関係なく個人で始めるのでも同じです。
個人で始めるなら「そんな面倒なことしなくても……」と思うかもしれません。
でも、音声コンテンツに興味をもって自分も始めてみようと思っている人には、せっかくなら長く続けてほしい。
なので、改めて言いましょう。企画、超大事。
たしかに「企画を立てる」というとめんどくさそうだし、難しそう。
でも、実はほとんどの人が日常生活のなかで「企画を立てる」をやっているんです。
「私は経理事務の仕事なんですけど?」という人でも、「米俵を庄屋の蔵に運ぶ人足なんだけど?」という人でも、絶対にやってます。
■「企画」が超大事なワケ
いきなりですが質問です。
「企画を立てる」って具体的に何をすることでしょうか?
ちょっとだけ考えてみてください。
よーい、スタート!
はい、お疲れさまです!
皆さまいろいろ考えてくださったと思いますが、バシサン的な「企画」の定義は、何をどうする(したい)のかを決めることです。
たとえば、「今週末の休みをどう過ごそうかな?」と考えるのは、週末の過ごし方の「企画」を立てているということになります。
金曜あたりになると、「明日は、午前中に洗濯と家事を済ませて、ランチを外で食べて趣味の映画観て、買い物して……」なんてこと考えますよね?
それは「休日」を「好きなことをして過ごす」という、企画です。
そして、大枠のやりたいことが決まると、時間配分やどこに行くかなどの詳細も詰めていきますよね。
音声コンテンツも一緒。
何をどうする(したい)のかを決めて、詳細をつくりこんでいくわけです。
では、この「企画」がないとどうなるでしょう?
休日の過ごし方の例に戻れば――
なんとなーく朝起きて
めんどくさーと思いながら洗濯と家事をして
てきとーにご飯食べて
日がなボーっとしているうちに休日が終わる……。
はい。つまらない休日のできあがりです。
音声コンテンツも一緒。「企画」がないと、何をしたらいいかわからないし、つまらない番組になります。
そして企画がふにゃふにゃな番組は、迷走した挙句に出演者のやる気もなくなっていき、あえなく終了……という末路になったりもします。
そんなわけで「企画」を立てることは超大事、なのです。
■シンプルに「2W1H」で企画を立てる
また、「面白い音声コンテンツをつくりたい」というのは、残念ながら企画としては成立していません。「楽しい休日にしたい」というだけでは、何をどうすればいいのかわからないですよね?
そこで必要なのが「具体性」です。
おー、なんだかちょっと「企画」について語っている感じがでてきました(笑)
企画に具体性を持たせるのに手っ取り早いのは
「誰が」
「何を/で」
「どうする/させる」番組
この3つを埋めること。
つまり、Who(だれが)What(なにを)How(どう)の「2W1H」を考えるわけです。
たとえば、この記事を書くにあたってバシサンが考えた「企画」は
「音声コンテンツD(私)が」
「番組制作のノウハウを」
「解説する」記事
そして、その「企画」のとおりに、今まさに記事を書いているわけです。
では、実際の音声コンテンツの場合はどうでしょう?
たとえば、audiobook.jpで配信中の『高山直の「EQラジオ」』という番組の場合。
この番組も最初は――
「EQの専門家が」
「EQ(=こころの知能指数)を」
「解説する」番組
というシンプルなところからスタートした番組です。
そこにいろいろな要素を盛り込んでできているのが、今配信している『高山直の「EQラジオ」』です。
こんな感じに、「2W1H」で考えることで必要最低限の具体性を持たせ、番組としての骨子をつくることができるわけです。
個人で音声コンテンツを始めたい方も、まずは「2W1H」でどんな番組にするかを考えてみると、芯の通った番組になってやりやすくなりますよ♪
■逆算で「企画」を割り出してみる
ここでちょっとした企画づくりの練習法というか、企画をつくる目線を身につける簡単な方法をご紹介。この練習法をやっていくと、企画づくりの足腰がしっかりするので、試してみてください。
その方法とは、今ある世の中のコンテンツを「2W1H」で逆算してみるというもの。
私は『100分 de 名著』というTV番組が好きなのですが、この番組をとことんシンプルにして2W1Hに当てはめてみると――
「文学研究者が」
「名作古典を」
「解説する」番組
MCの伊集院光さんのトークも番組にとって欠かせない要素ですが、とことんシンプルにするとこの番組の骨子はコレになります。
今度は、『M-1』を2W1Hで逆算してみましょう。
とことんシンプルにすると……
「お笑い芸人が」
「漫才で」
「勝負する」番組
こうなります。
この練習のポイントは「あれ、なんか物足りなくない?」というところまで、とことんシンプルに削ぎ落してみること。
そうすることで、その番組やコンテンツの本質が見えてくるし、次にお伝えする要素の大切さもつかみやすくなるからです。
■○○で「企画」にエッジを立てる
さて、実際に『100分 de 名著』や『M-1』を見たり、『高山直の「EQラジオ」』をお聴きになったりした方は「2W1H」だけで説明するとちょっと違和感があると思います。
その違和感、正解です。
なぜなら、企画にはもうひとつ超大事な要素があるからです。
それが「切り口」です。
『100分 de 名著』を例にとってみましょう。
「文学研究者が」
「名作古典を」
「解説する」番組
このシンプルな企画だと、正直、あまり面白そうではないですよね。
なんだか難しくて退屈そうな印象すら漂っています。
しかし、ここにひとつ「切り口」を加えるとこうなります。
「文学研究者が」
「名作古典を」
「“100分で、わかりやすく”解説する」番組
まさに番組タイトルどおりの企画になりました。
ご覧になったことがない方もいると思いますが、この番組は、ひとつの古典的名著を4回にわたって25分ずつ=計100分でわかりやすく解説する、というものです。
ただ「解説する」のではなく「“100分で、わかりやすく”解説する」。
めっちゃ難解そうな古典の解説に、たった100分で、しかもわかりやすく、という「切り口」を持たせることで、エッジの立った企画になっているわけです。
もちろん、そもそも2W1Hの時点でエッジが立ちまくる企画もあります。
でも、音声コンテンツの企画を、考えやすく、とっつきやすくするには「シンプルな2W1H」に「エッジを立たせる切り口」を加えるという方法だと思います。
さてさて、Dのお仕事 企画編第一弾も少々長くなってきたので、今回はこのへんで。
次回は、「切り口」をテーマにあれこれご紹介しようと思います。
どうぞよろしく<(_ _)>
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