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【選手育成】将来を見据えて選手を伸ばす

高校野球の場合その3年間だけを考えた育成をしがちですが、選手にはその先の選択肢(大学・社会人・NPB…)もあるため、将来を踏まえ先を見据えた育成も選手のためには重要な考え方になります。

目先か?将来か?

高校野球は夏の大会を1年間の最終目標として日々の厳しい練習を行ないますが、”目の前の勝利”と”将来の成長”のバランスを考えることも重要な要素です。

高校野球は、大会の年間スケジュールが秋・春・夏の3大会で非常に少ないです。大会と大会・試合と試合の間に時間があるので、その分時間をかけじっくりと練習ができ練習試合も多く組めます。練習試合では、勝負だけでなくさまざまなことを試す機会が取れます。
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もし1年間の中で大会が多いと、(試合で得られる経験・成長はあるが)目の前の試合の勝利が優先になり、例えば
 ● フォームを改善したいが、試合が近いのでこのままにしておく
 ● フォームを改善したいが、フォームを崩し試合で活躍できないと
      レギュラーを外されるかもしれないのでこのままにしておく

 ● 試合が続くので、今週は体力を落とさない調整程度の練習にする
と成長のための練習が勝利優先でなかなかできなくなり(成長のための変化をすることに臆病になる)現状維持の状態で時間だけ経過してしまう可能性が高くなります。

**********************************************************************************目の前でマイナスが起こっても、先を見据えて将来大きなプラスになるような”成長のための練習”を意識したほうが良いです。

例えば選手が「プロ野球選手になりたい」と言ったときに、”無理!あきらめなさい!”と伝え選手がその3年間に勝つためだけに高校野球生活を過ごした場合、仮に高校野球で一定の成功を収めたとしても”チャレンジをあきらめることが成功に近づく…”とあきらめたことが成功体験となり、その後の人生の岐路でもチャレンジしない・あきらめる人間に育ってしまいます。それは避けたいところです。


育成の方向性

3年間の間で使える細かな技術よりは、将来大きく伸びる可能性を高める基本能力の向上を重視して日々の練習メニューを組んでいきます。

◉ 長所・個性を伸ばす

すべての面で優れた実力を身につけることができればよいですが、高校3年間という限られて時間の中では難しいです。
すべてに優れた能力がなくても誰にも負けない強みがあればそれをセールスポイントとして試合に出場することができるので、選手個々の長所・個性を伸ばすことを重要視します。

 (例) 打撃能力での能力比較例
   すべてが一流のA選手 ⇒ ミート率10 パワー9 選球眼10 小技9
  一芸は負けないB選手 ⇒ ミート率3 パワー10 選球眼4 小技3 
  まとまっているC選手 ⇒ ミート率7 パワー6 選球眼7 小技6

この図では”一芸は負けない”B選手は打撃のパワーが誰にも負けない選手なので、”ここが一発が欲しい…”という場面ではとっておきの代打として出せる”他に代わりがいない選手”となれます。

選手が自分の長所・個性を伸ばすことに注力して取り組める環境を作ることができると、例えば上記例B選手の場合 ”打撃でのパワー(飛距離)”がウリなので、それ以外の守備・走塁等に関してはミスが出てもあまり気にしなくて済むようになります。ただし、打撃に関してはトコトン追求し「もっとこうすればよかった…」とより良い結果を生み出せる方法はなかったか?と分析を進め、より高いレベルを自ら追求するようになります。

試合の中では相手チームの長所に目が行きそこに脅威を感じることは多いので、長所を伸ばすことは”対戦相手にプレッシャーをかける”という点でも非常に効果が大きいです。
上のレベルで野球を続けていきたい…という場合も、圧倒的な長所がある選手のほうがスカウトの目に止まる可能性が高いです。

◉ 積極的にチャレンジできる環境

様々なことに興味をもち積極的にチャレンジできるような環境を作ることで、各選手がさまざまなチャレンジの中から自分に合うものを取捨選択し可能性を広げていくことができるようになります。

積極的に取り組める環境になると、練習の中でのコミュニケーションも多くなり前向きな議論や前向きな質問が多くなります。
 (質問例)
      「盗塁の時の一歩目の意識はどうしてますか?」
      「バットのサイズはどのように決めていますか?」
       「なぜこの場面でこの判断をしましたか?」
質問の答えの中で自分に生かせそうなことを積極的に取り入れるようになり、各選手がレベルアップしていきます。

◉ ”プレーの言語化”を訓練する

自分が行なったプレーに関しその根拠を5W1Hで説明できるよう訓練すると、一つ一つのプレーを考えてするようになり精度が上がります。

一番重要なことを先頭にもってくるニュース記事を書くときの慣行である。When(いつ) Where(どこで) Who(誰が) What(何を) Why(なぜ)の「5W」に日本においては、 How(どのように) の「1H」を含む「5W1H」であるべきであるとされる。

Wikipedia

 例 ”チャンスでタイムリーヒットを打った理由”を質問

(根拠のある解答例)
最終回同点で満塁の場面で相手内野手が前進守備をしていた。これはホームでアウトを取って1点もやらない…狙いになる。
相手投手は球が速くないが変化球のコントロールが良いので、低めの変化球を打たせて内野ゴロか三振を取りに来る…と考えた。2ストライクまで低めの変化球は捨て、高くなった球を外野まで飛ばし犠牲フライで1点…と考え打ちに行った。結果ヒットになって良かった。

◉ 目標への執着心を持たせる

新チームスタート時に設定した目標を絶対実現する!という意識を高めるために、毎日のようにでも目標の振り返り・意識の共有の機会を作ります。意識が高まれば、目標実現のためには”なんでもやる”という行動力がついてきます。
  (例)   帰宅後、毎日必ず素振りをする
        朝早く起きて、毎日必ずトレーニングを行なう
これは夜中・朝方に練習をする…ことがポイントではなく、そのとき必要と思ったことを後回しせず行なう… ということです。”情熱の量の差が練習量に結びつく”という感じです。
目指す明確な目標があると、選手は”このままで目標達成できるのか…”不安な気持ちと戦いながら日々練習をします。この気持ちを持ち続けることが上達のエネルギーとなります。

◉ 負けず嫌いを育む

負けず嫌いな選手は野球以外の日常の些細な勝負でも負けることを嫌がり、負けると、勝つまで挑む・コソ練する等勝つための努力を惜しまなくなります。。
このマインドが上達につながるので、特にチームに”負けグセ”がつかないようにすることが重要です。(例 負けたら罰走)

◉ 必ずできる! とポジティブ思考にする

選手は不安な気持ちと戦いながら日々練習しますが、その中でも”目標を達成することは、自分なら可能だ!”と信じることができるよう、都度目標の振り返り・意識の共有の機会の中でポジティブな言葉を出すようにしていきます。

ポジティブば言葉を出しながら、各選手に夏の大会での活躍する自分を具体的に想像し目標へ向かって突き進む気持ちが高めるようにしていきます。

※ よく食べる

日常の練習に耐えうるだけの体力を支えるには、食事が重要になります。
目意を達成するために”よく食べる”ことも重要であることを認識して毎食食べるように話を行ないます。

※ (特に)NPBを目指す選手がいる場合

まず「NPBに入るには、どうすれば良いか?」を理解することから始めます。”高卒からプロ”か?”大卒・社会人からプロか?”ある程度決めておきます。自分の目標到達点(時間軸)が変わってきます。

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● 高校3年時にドラフト指名を受けNPBに入る

高卒で指名される場合は、1年目から一軍で試合出場…というよりは年齢が若く伸びシロを期待され3~5年くらいの間に頭角を現してほしい… という狙いでの指名が多いです。
しかし、思ったように成長がみられないと3年目でも戦力外になるリスクが伴うので、指名の可能性はあるが3~5年の間で活躍できる選手になるか?不安がある場合は、プロ志望届を提出せず大学・社会人野球に進む…という選択肢もあります。

● 大学・社会人野球を経由してドラフト指名を受けNPBに入る

大学・社会人野球で指名を受ける選手になるためには、
  大学野球 → 年2回あるリーグ戦で活躍する
         日本代表に選ばれる
         大学卒業年度である4年目の秋にドラフト
 
 社会人野球 → (会社に就職なので誰でも入れるものではない)
         都市対抗・日本選手権で活躍する
         指名解禁となるのは3年目の秋のドラフト
となります。他に独立リーグへ進む道も考えられます。
大卒・社会人で指名される場合は、1年目からある程度一軍で試合出場すべく頭角を現してほしい… という狙いでの指名が多いです。
しかし、思ったように結果が出ないと早い段階でも戦力外になるリスクが伴うので、入団1年目から活躍できる選手になっているか?がNPBに入る判断ポイントになります。

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どのタイミングでプロに進むべきか?の判断は難しいですが、”プロで活躍する自信があるのであれば、行ける時にプロ野球選手になっておいた方がいい”と言えます。

NPBを目指す場合には、どういう選手がNPBとしてふさわしい選手なのか?を理解しておく必要があります。

ドラフトに指名された選手の特徴を調べる

直近ドラフトでの指名選手の”身長”・”体重”・”成績”・”プレースタイル”
を調べ、そこから
   NPBにはどうすれば入れるか?→自分に足りないものは何か?
を見いだし、そのために必要な目標・努力内容を明確にしていきます。

ドラフト指名選手には、体が小さくても 
      足が速い(例  50m6.0秒等)  
      速い球を投げる(例  MAX150Km、2塁送球1.8秒)
等、圧倒的な長所を持っていることが多いです。
また、直近どのくらいの成績を残しているか?(例 県大会で上位進出・後攻通算30本以上の本塁打・球速140km後半を計測…)も調べておくと、スカウトが目を止める基準も見えてきたりします。


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