見出し画像

📸写真のチカラ

一瞬をとらえる。
過ぎ去る瞬間は二度と戻ってこない。
その儚さがなんとも心地よい。


写真は人の心を動かす。


あのときの感動、
あのときの悔しさ、
あのときの嬉しさ、

全てが一枚に封じ込められている。




私が高校一年生の頃の話。

毎週末、両親は弟たち(当時中学生)の野球応援に駆け付ける日々。私も時間があれば、彼らの姿を見に行った。

グラウンドには私のような選手の兄弟(姉妹)がたくさんきている。そこで仲良くなった一人がちーちゃんだ。

ちーちゃんは私より一つ年上で、写真部に入っていた。立派な一眼レフをもっていて、試合の写真を撮っていた。カメラに縁のない私は、ゴツイ機械を操るちーちゃんがとてもかっこよく見えた。

年度末になると、一年分の写真を本にしてプレゼントしてくれた。弟たちの一生懸命頑張る姿が写っていて、とても嬉しかったのを覚えている。アルバムの隅々まで彼らを探したのも良い思い出だ。

打った瞬間、ファインプレーの様子。全て一瞬の出来事。それらが全て記録として残ることのありがたさを感じた。ちーちゃんには感謝の気持ちでいっぱいだった。

私がというより、どこの家庭も同じかもしれない。自分の家族(兄弟)の名前があるだけでも嬉しいもの。ほんの一行名前が載っているだけで、片っ端から雑誌を買った。新聞に掲載された日にはお祭り騒ぎ。どんなに小さくとも、家族にとっては素敵な宝物。

名前や写真を見つけた瞬間の喜び。穴が開くのではないかと思うくらい見たページ。読み込んだ雑誌の数々。まるでその様子、宝探し。写真は凄まじいパワーをもっている。


写真って凄いな、かっこいいな。

そんなことを当時思っていた。




まさか数年後、私が撮る側になるなんて、誰が想像しただろう。


大人になって、カメラを買った。自分でも大いに驚いた。

きっかけはなんてことない。仕事で必要になったから。
でもそれが、私の人生を大きく変えた。


ありがたいことにたくさんの人に感謝される。
さらに写真は人との縁をも結んでくれた。


もちろん、感謝されたくて撮っているわけではない。

その先に、誰かの笑顔があったら。
その先の、誰かの喜びに繋がったら。

その思いで今、私はカメラを構えている。

かつて私が彼女に抱いた『ありがとう』の気持ちが、間違いなく連鎖している。

ちーちゃんもきっと、誰かに喜んでほしいと思って撮っていたわけではないはず。選手のかっこいい姿、今しかない瞬間、彼らの頑張りを残したかった。その先に誰かの笑顔があったらいい。そう考えていたと思う。

ちーちゃんが今どこで何をしているかわからない。でもこれだけは伝えたい。あなたの優しさ、あたたかさが今の私に繋がっていることを。


―――


ちーちゃんの撮った写真は、私たち家族にとって宝物です。今でも時々見返すことがあります。

時を戻すことはできません。しかし、写真は当時の思い(感情)を生々しく思い出させてくれます。嬉しかったこと、悔しかったこと、全てが目の前で起こっているかのようです。

撮った写真にどんな力があるかわかりません。ただ私は、ちーちゃんの写真からたくさんのパワーをもらいました。少しでも彼女のようになれていたらいいなと思っています。

まさかきっと私がシャッターを切っているなんて、彼女が聞いたら驚くことでしょう。元気でやっているといいな。

写真のチカラは無限大。だからこそこれからも、マナーを守って撮影を続けます。


この記事が参加している募集

カメラのたのしみ方

いただいたサポートは野球の遠征費、カメラの維持費などに活用をさせていただきます。何を残せるか、私に何ができるかまだまだ模索中ですが、よろしくお願いします。