📗本当に書きたいものー好きなことで生きていくー

幼い頃からものを書くのが大好きだった。というより、考えることが好きだった。半分、空想の世界に入り浸っていたといっても間違いじゃない。

ひらがなを覚えるその前から、気が付けば紙に殴り書き。両親は止めなかった。好きなようにやらせてくれた。おかげ様で小学校に上がると、作文が大好きになった。佳作をとったこともあった。中学でも何かで表彰された。自分の書いた作品を、全校生徒の前で発表することもあった。褒められて嬉しかった。自信があった。私は書いて生きていくのだと心に決めていた。

書いても書いても筆が止まらない。泉が湧き出るかの如く言葉が浮かぶ。今こうして書いている時間が幸せで仕方ない。

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書かなくなったのはいつだったかな。厳密にいうと、書く時間を確保できなかった。中学生になったあたりだろうか。部活に定期テストに追われ、気が付けば受験。いい高校に進学して、いい大学に入る。親を安心させるような企業に就職する。いつの間にか、自分のやりたいことや夢を考える時間はなくなった。もちろん、書くことも忘れた。

本当は書きたかった。ずっとずっと書き続けたかった。でも、それが当時はできなかった。もしかしたら、時間を割くことはできたのかもしれない。でも、不器用な私はできなかった。目の前の受験ばかりに気を取られた。人生のレールから外れることを物凄く恐れた(浪人、就職できないことが怖かった)。次第に、好きなことに蓋をして過ごすようになった。

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四大に進み、大学の授業の中で、書くことに触れる機会があった。書きたいという意欲がまたやってきた。でも、どうしたらいいのかわからなかった。書くと一言にいっても、多くの選択肢がある。ありすぎたゆえ、私は何を書きたいのかわからなかった。作家なのか記者なのか何なのか。書きたいのに、世間知らずの私はわからなかった。

大学卒業後、無事に就職も何とかなった。ライフワークを続けていたら、運よく野球の記者の仕事を受けるようになった。書きたいという思いがあったこと、野球が大好きだったこと、思いが合致した。きっと私は記者になりたかったんだ。そう思った。同時期に、私はかなねーさんになった。

記者の仕事は数年続けた。現場に行くのはとても楽しく、貴重な経験を積んだ。充実した時間を過ごし、将来を考える良いきっかけになった。でも、何かがひっかかった。

目の前の事実を伝える。素晴らしい仕事に違いはない。でも、書きたかったのはそれじゃない。違和感を覚えたものの、答えはすぐに出なかった。書いていてなぜかワクワクしなかった。自分が楽しくなかった。申し訳ない気持ちでいっぱいだった。本当は、書くのが好きじゃないのかもしれないと思うこともあった。向いていないのではないかと、何度も悩んだ。

記者として何かを書きたかったわけではない。

それだけがわかっていた。

その後、しばらく書くことから離れた。自分の書きたいものがわからず、筆をおくしかなかった。自分が楽しくないものを残しても、仕方がないと感じたからだ。好きな野球観戦と、記者時代に手に入れた一眼レフとで撮影を楽しもう。本当に書きたいものは、好きなことを続けていれば見つけられる。自分の意志を信じて進むことにした。

筆をおいた理由はもう一つある。それは、本当に好きなもので勝負することが怖かったのだ。図太そうに見えるかもしれないが、意外と小心者である。一番得意だと思うことで、想像する評価を得られなかったとき、簡単に折れてしまう。一番自信のあるもので『だめだ』と現実を突きつけられて、ショックを受けない人間なんていないだろう。だから、日頃から野球選手は凄いと思うのだ。好きなもので本気で勝負し、時に折れながらも突き進む。あの強さと勇気を、当時の私はもてなかった。

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カメラをはじめてから、写真展を開催するようになり、何となく自分の活動が軌道にのってきた。好きなことが複数できたのも、私にとって大きかったのだと思う。一つのものを全うすることも素晴らしいが、色々な選択肢があっても良いのだと、視野が広がった。撮ることと書くことを一緒にやりたい。次第にそう思うことが増えた。

自分の考えたことや意見は、TwitterやInstagramで発信していた。しかし続けていくうちに、それだけは物足りなくなった。もっと長い文章を書きたい。もっと思いの丈をぶつけたい。そこでnoteを開設した。もう人の評価なんて気にしない。私は私の書きたいものを残していく。いきなり決心がついた。

私は、自分の思いや考えを残したいんだ。

長かった。気が付くまでに時間がかかりすぎた。自分の書いたものを読み返してみればすぐわかるのに、どうして今の今まで気が付かなかったのだろう。不思議で仕方がなかった。自分の体験したこと、経験してきたこと、思ったこと、感じたこと。これを私は書きたかったのだ。ずっとずっと昔から。

いつの間にか世間体、体裁、人の評価や顔色を気にして、本当に好きなこと(得意なこと)を考えなかった。怖くて勇気がなくて、蓋をするしかなかった。目を背けてばかりだった。人間らしいといえば聞こえはいいが、ただの臆病者である。

フォトエッセイを作りたい。

自分の撮った作品で、自分の思うことを書き残したい。私の着地点だ。今もnoteで自由に書いているが、必ずそれを形にする。そう決めている。どうやって、どうするか、わからない。でも、真っすぐ進むことに違いはない。

人は笑うかもしれない。そんなの無理だよバカげているという人もいるかもしれない。でも決めた。大人になって、様々な経験を積んできたからこそ得られた答えだと思う。皮肉だけれど、月日が経たなければ、思いつかなかったかもしれない。

目標を見つけられたのは、言うまでもなく家族や周囲の人の力があってのこと。一人だけでは、間違いなく見つけられなかった。ここに至るまで、かなり大回りをしたけれど、それが私なのだと思う。

やるしかない。

語彙もへったくれもないけれど、やるしかない。自信とか怖いとか、成功だとか失敗だとか、恐らく考えている暇もない。せっかく見つけた目標。私は絶対、達成する。

―――あとがき―――

好きなことをして生きていきたい。笑いますか。でも、それが私の本音です。好きなこと『だけ』ではなく、好きなことをして生きるというのがミソかな。

安泰な将来しか見ていなくて、やりたいことなんてどうでもよかった。いや、考えられなかったんだよ。そうやって生きてちゃいけないって思ってた。でも、どこかで満足してなかったんだよ。葛藤していたらだいぶ時間が経っちゃった。皮肉だね。好きなことで勝負するって、本当に怖い。それでも書きたいって気持ちがあるから、今こうやって文字に起こしてる。

書きたいなって思えるのって奇跡だと思う。だって、何もない毎日を送っていたら書きたいことなんて見つからないでしょ。野球行って写真撮って、試合で色々なこと感じて。それで自分の考えが浮かぶ。友達と会っているときも、家族と話しているときもそう。日々が充実していなきゃ、書きたいことも思いつかない。だから、周りの人の存在がどれだけ重要なのかよくわかる。

今だって怖いよ。でもさ、やるしかないんだよね。あとね、書くことも撮ることも引退がないからよかったかなって思う。だって会社員って定年があるでしょ。でも、書くことも撮ることも自分が『やめよう』って思うまでできるんだよ。凄くない。一生現役でいられるんだよ。

始めるに遅いことなんてないなんてよくいうけど、本当のところ遅すぎたって毎日思ってる。もう少し早く気が付けばって後悔するけど、仕方ないんだよね。気が付かないでこの世を去るよりマシかな程度に思ってる。

これ書いていて、相変わらず書きたかったんだなって改めて思った。どんなことがあっても、書くことだけは奪われたくない。それくらいにね。目標達成までの道のりは長いのか短いのかよくわかんないけど、やれることを私のペースでやってみようと思うよ。何だか楽しくなってきたな。みんなのおかげだね、ありがとう。