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🦅⚾️それでも前へ進む~革新を遂げた帝京大学のその先~

10月18日、バッティングパレス相石スタジアムひらつかにて首都大学1部秋季リーグ戦の最終戦が行われた。

注目は第2試合の帝京大学―桜美林大学の一戦だった。というより、そうならざるを得なくなった。関東大会の出場権が、この試合で決まるからだ。

第1試合の東海大学―武蔵大学の試合は、不戦勝により武蔵大学の勝利となった。これで全ての歯車が狂ってしまった。帝京大学が桜美林大学に勝利をすれば、武蔵大学は試合をすることなく4年生が引退。逆に、桜美林大学が帝京大学に勝利をすれば武蔵大学の関東大会出場が決まる。意味するのは、帝京大学の5年ぶりの関東への道が閉ざされるということだ。

不可抗力と呼ぶべきか。本来の試合数から5試合に縮小されただけではない。どうにもできない現実に直面した選手らは、不安の気持ちでいっぱいだっただろう。目の前の試合に集中するにも、心はどこも穏やかではなかったと察する。

首都大学1部リーグ
10月18日 第2試合 平塚球場
試合終了
帝京大学ー桜美林大学

帝京大 000 000 000=0 H3 E0
桜美大 020 000 00X=2 H7 E0

[帝] 大津、中川、岡野佑ー後藤
[桜] 森田南、多間、根岸、飯村、松葉ー徳田、新納

三 磨、河原木(桜)
二 相良(帝) 中野(桜)

試合の結果は上記の通り。桜美林大学が好継投で、帝京大打線を完璧に抑え込み、秋季リーグ戦初勝利を飾った。これにより、武蔵大学の2年連続の関東大会出場が決定した。

第1試合がもしあったら。帝京大学が武蔵大学との直接の対決の際に、延長に持ち込まなければ。最終戦できっちり勝ちを呼び込めたら。たらればを考えれば止まらない。しかし、彼らは絶対に口にはしない。色々な思いを抱いたであろう。たくさんの不安を抱えただろう。悔し涙を流す選手もいる中、冷静に現実を受け止めていた。いや、実際のところ受け止め切れなかったかもしれない。それほど今年にかける思いは大きかった。

今年の帝京大学は、以前noteで記事にしたように、一味違った。チーム一丸というべきか、皆が同じ方向を向いた。目標がきちんと共有されていて、先輩後輩間のコミュニケーションが図れていた。オープン戦を通じて、私はこれらを肌で感じた。投手と野手の温度差なく、常に勝利を追求した。

主将である後藤 将太(奈良大附④)を森元 啓雄(京都翔英④)、相良 朋慶(西城陽④)、角田 之仁(銚子商業④)の力強い3人の副主将たちが支えた。昨年は長い間、帝京大のリードをつとめた塚畝 諒(現:三菱重工神戸・高砂)がいた。その跡を継ぐ重圧は凄まじかっただろう。それでも多種多様の帝京大の投手陣を、自由自在に操った。後藤主将だったからこそ、チームが盛り上がった。そういわざるを得ない今シーズンだった。

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後藤 将太 主将(奈良大附④)


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森元 啓雄 選手(京都翔英④)


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相良 朋慶 選手(西城陽④)


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角田 之仁 選手(銚子商業④)


投手陣は中川 航(聖望学園④)、大津 亮介(九産大九州④)や金田 悠太朗(厚木北④)、岡野 佑大(神戸国際大附③)を中心に試合を組み立てた。特に今季、活躍を遂げたのは3年生で背番号18を背負う岡野の存在だった。一回り以上大きくなった体は、真摯に練習に取り組んだ成果だ。堂々とした投げっぷり、動じない精神。帝京大3年ぶりの背番号18の登場に、輝きを見せた。

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中川 航 投手(聖望学園④)


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大津 亮介 投手(九産大九州④)


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金田 悠太朗 投手(厚木北④)


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岡野 佑大 投手(神戸国際大附③)


帝京大学は初戦の筑波大戦に競り勝ち、日体大戦では惜しくも敗北。武蔵大戦で延長の末、勝利を手にし、盟主の東海大戦でも勝利をおさめた。残るは最終戦、そして関東大会の道をあと一歩のところまで切り開いた。そんな矢先での出来事だった。誰もが絶句したに違いない。

もちろん勝負の世界だ。勝たなければ終わりの世界での敗戦。それ以上でも以下でもない。どんなに惨いと周囲がいおうとも、これが現実なのだ。こんなことってと、多くの人を不安にさらした。だからこそ、真っ当に生きること。人として大切なことを忘れてはいけないと、身に染みた。そして神様がいるのであれば、どこに目をつけているのだろうと。これが私の正直な気持ちだ。

あの一戦から数日が経った。実感はわいたのだろうか。私はいまだに、どこか遠くの世界の出来事のような気がして仕方がない。でも、新チームが早くも始動している。彼らは止まっていない。

生きていれば色々なことがある。でも、だってといいたくなることもある。その気持ちを押し殺して、どれだけの人が涙をのめばいいのだろう。それでも現実を受け入れた人を、私はこれからも応援したい。もちろん今は進まなくてもいい。立ち止まって、のんびり考えてもいい。そうといっても、彼らは逞しく前を進んでいる。

去年の礎をつなぎ、チームを進化させた4年生。その気持ちは必ず後輩たちに伝わっていると私は思う。この悔しさ、辛さは強さとして絶対にあらわれる。そう信じているから、彼らのことをこれからも全力で応援したい。

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