漠然とした不安
不安解消法やヨガ、マインドフルネスを効果的なツールとして、最大限活用するにはどうすればよいのでしょう?
「不安」を解消しようとするのなら、
不安とはなにか?
これがわからないと、解消しようにも、取り除こうにも、 さまざまな戦法は功を奏さず、
「今・ここ」に意識を向けるのなら、
人間がなぜ、「今」を感じることができないのか?
その理由を知らなければならない。
と、思いませんか?
1. まずは「不安」について
a.
不安は特定の刺激を欠いた恐怖反応である。1)
どうゆうこと?
と、逆に不安になるこの一文。
「不安」というのは、
漠然としたなにか
であって、
特定ができるなにか
でないがゆえに「怖れ」という反応で表現されるのですよ
と言っていると思われます。
よくわからないから、なんだか怖い
それを言葉にすると
「不安」
という表現になるイメージでしょうか。
私たちが意識できたり、特定ができる、
「不安なもの」「不安なコト」は
意識にあがる前、意識的に感じられるよりもずっと前に、何かしらの「情報」として脳に入力されることから始まるらしいのです。
脳には、1秒に何千という情報が、視覚や音、香りなどの感覚として、また、五感だけではなく、内臓感覚なども入力されていて、
そして脳は、毎秒毎秒、受け取った情報を解析して、それに伴った反応/表現をするために働いています。
それは、生きものにとっていちばん大事なこと=「生存」を維持するためです。
私たち人間は「生きている」という状態が、なんとはなしにずっと続いていて維持できている、と思っています。
心臓が動いて、呼吸をしている。
しかも無意識に。
ですが、これも脳が働いてくれているおかげ。
脳は、瞬間、瞬間に入ってくる情報の入力と解析をして、内外環境の変化に即座に適応すべく働いていて、
それは全て、生存維持のためです。
b.
それでは「不安」の存在理由はなんでしょう?人類の進化のなかで、「不安」はどのような役割を果たしてきたのでしょうか?
結論から言えば、不安の機能は「アラーム」です。2)
最近読んだこの本の中で、不安を「アラーム」と言っていて、驚きました。
目の前の草が動いたのは、奥にライオンがいるからではないか?この葉っぱを食べたら、体を壊すのではないか?このような、まだあきらかではない生存の危機を察知し、事前に対策を取れるようにアラームを鳴らすのです。
「まだあきらかでない生存の危機を察知し、事前に対策を取れるように」
一瞬、一瞬、情報を入力し解析するという仕事をしている
これが、 a. でお話した、脳の働きです。
不安は生存の危機を避けるアラームではありますが、
ライオンがいるのではないか?
この葉っぱを食べたら?
というのは、人間の想像性でしかありません。
本当の意味で生存の危機を察知するアラームならば、そんなこと考える余地もなしに作動するはずです。
(このあたりは鈴木氏の見解とはちょっと違うかもしれませんが..)
「漠然とした不安」がキーワード。
生きものは
・「警戒」という本能的能力と、
・ほんのちょっとだけ先の予測・先読み を使って、
生存の危機を察知しようとし、
特定できない情報/刺激が脳に入力されて解析できなかったときには、
自らにブレーキをかけることによって危険を回避しようとする。
こんなアラームシステムを持っています。3)
「漠然とした不安」は注意信号というわけです。
c.
さて、まとめましょう。
・「不安」の原点は、特定できない、漠然としている情報/刺激
・脳は一瞬に入ってくる数千の情報の処理のために働いている
・漠然とした情報/刺激が入力された場合は、生命維持のため、注意信号=アラームが働く
生命維持のために必要なシステムだとすると、「不安」はあって当たり前。
漠然とした情報/刺激でしかないものが、
どうして「不安」となり、
そしてまた「悩み」となるのか?
生きもの全てに備わったアラームなのにも関わらず、
どうして人間だけが「不安」を感じ、それが「悩み」に繋がるのか?
それには人間の「想像性」が関連しています。
そしてこの人間の想像性と意識が、
「今・ここ」を感じられないことにも繋がっています。
ということで
長くなったので、ここで一度締めましょう。
続きは、
2. 「今・ここ」
で。
後注
1) 有田 p.18
2) 鈴木 p.64,65
3)中原 p.2
参考文献
有田秀穂『脳内物質のシステム神経生理学』
鈴木祐『最高の体調』
中原敏憲 『BASE論解説』
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