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子どものやる気と4つのスイッチ

ここだけの話なんですが、実は今日、子どものやる気スイッチを押す方法をお伝えしようと思うんです。

私、実は発達領域で作業療法士をしておりまして。
ええ、子どもと遊んでその子の発達を促進させる仕事です。
運動学・神経心理学・発達学・解剖学なんぞを嗜んでおります、なんて。

子どもは何かに困っているといって自分からは来所しないので、基本的には保護者さんの心配事、または乳幼児検診で発達がゆっくりなので作業療法を利用してはどうか、という話で来所に繋がります。

そして、保護者さんの心配事や困りごとへの対処法は大体以下の3つの方法を取ります。

①それは杞憂であると知識で伝える

②もしくは、こんな背景で難しいのだと理性化を使って説明、今後の発達の展開まで伝える。

③実際にセッション中での子どもの変化を通して説明する。


とこのようにセラピィを展開していきます。

子どもセラピィでは、主に遊びを通して子どもの発達を促していくため、躾けたり、強要したりということはしません。
遊びの中でお願いすることはありますが、

主訴が一応あるので、セラピィの中でも、お子さんに「これしてほしいな〜」と思うことはあるのだけれど、それは子どもにとって「よくわからないもの」であったり「興味より怖さが勝る」ということもよくあるので、なんとか子どもさんのやる気スイッチを押してあげる必要があります。

簡単なバージョンで言えば、その子のスキなこと(例えば、物なら電車・ボール、ピタゴラスイッチ、運動等)とセラピストが提供したい感覚・運動・認知的な要素を混ぜていきます。


子どもの目的:ボールを樋に沿って転がす、ピタゴラスイッチ
セラピストの目的:はしごを登ってもらうことで、不安定姿勢で身体をはしごに合わせて使うという感覚・運動体験。チャレンジ。工夫。

といったように、目的を共有することで手段は「しかたないなぁ」と思ってもらい、気づいたらできてた。おー。じゃあ、次やってみよっかな。となってもらえるという仕組みです。

ただ、これだけではやっぱり難しいこともあります。なぜなら、そこまでスキが明確になっていない子もいるから。

そのため、手を変え品を変え、やる気スイッチを見える形でセラピスト側から提示する必要があります。


そこで、今回のやる気スイッチの登場です。元ネタは脳科学者の池谷裕二さんの「のうだま」という本にあります。


4つのやる気スイッチは以下の4つ。


①bodymovement(身体の動き)
②experience(新規性)
③reward(報酬)
④ideomotor(なりきる)

頭文字をとってberiberiとよんでます。

では、説明していきます。



①bodymovement(身体の動き)


これはどういうことかというと、やる気ってやる気がでてから、行動すると思っていませんか?

これ実は逆で、行動するからやる気が出るということが言われています。
まさに目からウロコ。

でも、あなたも経験あると思います。身体を動かしていたら、どんどんやる気が出てきたことってありますよね?

例えば、洗い物が溜まっているとする。いやだなぁ、やるの。やる気になったらしよう!とグズグズする。
でもちょっとだけ、水を出しに行こう。じゃあついでに皿を1枚だけあらってみようかな。あれ?いけそうだぞ、じゃあ2枚3枚ええい、鍋もフライパンも全部やってやるぞ。なんだったらレンジの油汚れも全部掃除してやる〜!スッキリした。

こんな経験ありませんか?

脳には淡蒼球というまさに淡い青い色をした部分があるのですが、ここがやる気と関連していると言われており、そこが運動したら働き出すというデータがあるそうです。

ここでは、活動を細かくしてすごく小さい「水をだす」というトリガー行動を作るという、ほかの技も使っていますが、基本的には身体を動かすからやる気がでてくるということに準じています。


②experience(新規性)

私は、このnoteで自分がワクワクすることを通じて、皆さんにもワクワクを提供したいという使命をもってやっていますが、まさにこの②experience(新規性)はわかりやすいワクワクの「やる気スイッチ」だと思います。
単純に未経験なものは、「あれっ?」と興味関心を持ちますし、こうすることで好奇心が高まり、やる気に繋がるのは共感されやすいのではないかな、と思います。

③reward(報酬)

人間には報酬を予測することができる力があります。これをすれば、こんな報酬がある。だから、やるぞ!となります。子どもセラピィでは、単純に物を提示するというようなご褒美てきなものはできるだけしないようにしています。お預けっぽくなるのは人を人として見ないようで嫌です。なので工夫をします。

人の報酬も色々あるのです。



1)生理的欲求、2)生物学的欲求、3)心理学的欲求
この3つ。

これは遊びで満たされます。


1)生理的欲求
単純に生理的に感覚的に求めたものが満たされる。例えば、抱きしめられて触覚ニーズが満たされるとか。お腹が満たされるとか。そのようなものです。

2)生物学的欲求
「できて楽しい」というような動物が生きていく上で、技能を向上させることで生きる力を高めていくというような考え方です。

3)心理学的欲求
これは「褒められてうれしい」というような社会的な承認欲求などを含めた欲求です。

遊びはこのどれかが満たされていないと成立しません。
同時に成立するものもあるし、遊びのレベルが上がっても、下位の感覚遊びを楽しんだり(例えば、大人の私たちも、イルミネーションをみておちついたりしますよね、これは単純な視覚遊びで視覚のニーズを満たしている、没頭することで落ち着く、安心するというような行為です)

このどれがその子のニーズとしてマッチするかな?というのをいつも考えながら関わることは、遊びの展開を楽にしてくれます。そのためには、評価と事前の情報収集ですね。

④ideomotor(なりきる)

小さい頃、憧れのヒーローやヒロインになりきって遊ぶことはありませんでしたか?楽しかったと思います。
単純に憧れのものと同一化するという、純粋な焦がれが動機になるともいえますし、実は、もう一つわかりやすい理由があって、なりきるっていうことは、運動のプランニングをそれほどしなくていいっていうことなんです。新しいものやことに対応するときは、自分のいま持っている力で対応しないといけないのですが、参照になるもののイメージが固まっていれば、そこはクリア。
単純に運動機能だけにフォーカスを当てることができます。
そんな理由もあるかもしれません。

私は、こまったな〜と思ったときは、「あの先生」ならどうするかな?とおもってなりきって行動することがあります。そうすると自分がむしろプレイヤーではなく、コントローラーのようになってうまく行動ができることがあるのです。一回やってみると面白いかもしれませんね。

こんな風に、動機、やる気スイッチを押す方法をお伝えしてみました。

これはもちろん、大人でも使えるので、ぜひあなたもやってみてください。おすすめです。

あなたのワクワクが満たされますように。

それではまた明日。

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