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子どもの発達・発達障害・感覚統合

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いつも仕事で関わっている、子どもたちの話。 そのご家族の想い。 作業療法士として、子育てのヒントや子どもの行動の捉え方について発信していきます。
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2020年9月の記事一覧

子どもの運動発達 その5 【つかまり立ち〜伝い歩き】

今日はつかまりだち〜伝い歩き(9〜12ヶ月)をお話します。 前回までの、ハイハイで自由に動く楽しさや興味を高めていくことで、1歳の独り歩きにつながっていくというお話でした。 ついに一人歩きまであと一歩のところまできましたね。 覚え方:くっと(9っと)つかまり立ち(9ヶ月) 机の上になにがあるのかな、わくわく。見てみようとついに立ち上がります。おすわりやハイハイで培った抗重力伸展活動と、骨盤周囲の安定性から、ついに!立ち上がります。 立ち上がった後は、伝い歩きが始まり

子どもの運動発達  その3 【おすわり】

今回は、おすわりについてお話していきます。 前回までの復習。 6ヶ月までには、首が座りボトムリフティングとエアープレインを繰り返し行うことで、体幹の前後方向の安定性を獲得して寝返りをうてるようになるというお話でしたね。 おすわり(7ヶ月)覚え方:ナナ(7)ちゃんおすわり上手と覚えます。 おすわりの最初は、手を使って姿勢を安定させるため、手がうまく使えないこともありますが、徐々に手を使わなくても安定して座れるようになるため、両手が自由に使えるようになると、より自由な手の動

子どもの運動発達 その4 【はいはい】

今回はハイハイについてお話します。 ここで復習。前回はおすわりまでのお話をさせてもらいました。 発達の法則では、頭から尾の方向へ発達が進むので、首から骨盤方向へ安定性が下がっていき、それがおすわりという形で結実するという話でしたね。 それでは、ハイハイいってみましょう。 ①ハイハイ(8ヶ月) 覚え方は、8181(はいはい)で8ヶ月です。 8ヶ月になると、移動手段としてのハイハイが行われるようになります。それまでにも5656(5〜6ヶ月)での寝返り(狭義の移動)や、ずり

子どもの運動発達 その2 【首の座り・寝返り】

今日は4〜6ヶ月。 定頸と寝返りについてのお話です。 ・子どものからだの発達には順序性があります。(運動発達の原則) ・動きの意図的なコントロールは頭部から尾部へ発達します。 ・運動のコントロールは身体の中心を縦に通る正中線から外側へ向かって発達します。
 ・神経系が成熟し、多様な刺激を受けてそれに適応していくことで数々の動きを身につけていきます。 ・そのため、焦って難しいことをさせるのではなく、いまできていることを積み重ねて質を高めていくことが、次の発達につながっていきま

「なんでやってくれないの〜!?」

これは、子どもに関わる多くの人が感じていることではないでしょうか? 理由は沢山あると思いますが、一番は「大人がやって欲しいこと」と「こどもがやりたいこと」にギャップがあるからです。 そこで今回は、私がこどもとセッションでしている方法をご紹介します。 こどもはやりたいことをする存在大人はこの子の将来にとって困るかもしれないから、できることが増えるように、お手伝いしたいなぁと思って関わります。 つまり大人は、未来志向型。 でも、こどもは今が全て。未来のことなんて考えていま

感覚が変わると、人生が変わるかも。

「心が変われば人生が変わる」あなたもこんな言葉を聞いたことがありませんか? 心が変われば、態度が変わる。 態度が変われば、行動が変わる。 行動が変われば、習慣が変わる。 習慣が変われば、人格が変わる。 人格が変われば、運命が変わる。 運命が変われば、人生が変わる。 ①心→②態度→③行動→④習慣→⑤人格→⑥運命→⑦人生の順に変化が起きるというフローを示しています。 なので、まず最初の心を変えてみよう。気の持ち方を変えてみよう。そしたら人生も変わるかもっていう話です。 で

子どもの運動発達 その1 【0〜3ヶ月】

赤ちゃんが生まれてから歩くまでの大きな流れを説明するシンプルな話、覚え方とともに。 ①首がすわるまで(0〜3ヶ月) ②4ヶ月 首の座り(定頸) ③56ヶ月 ゴロゴロ(5656)寝返り ④7ヶ月 ナナ(7)ちゃんおすわり上手 ⑤8ヶ月 はいはい(8181) ⑥9ヶ月 クッ(9)と、つかまり立ち ⑦1歳 歩きはじめ ざっとこんな感じ。 学校の勉強ではただ覚えるだけで終わってしまうことも多い正常発達。 でも、運動発達は、その後の人生をつなぐ大事なもの。
 実際はそれぞれの

不機嫌そうな君 【聴覚の話】

「べらべらとしゃべる男はあんまり好きじゃなかったのにな〜」 車の助手席で平気でそんなことを言う君に対して僕は平気で喋り続ける。 疲れているんだろうか、僕は全く疲れないけど。 「疲れてるの?」 「ううん」 「あれかな、僕の声が低いから?」 「うーん、でも私耳があんまりうまく聞こえないから電話でもよくブチ切れちゃうもんね……」 「それ、聞こえにくいんじゃなくって、フィルタリングが悪いっていうんだよ。カクテル効果って知ってる?」 「知らなーい」 注)カクテル効果と

「苦手なこと」は「本当はやりたいこと」なんじゃないかな。

あなたにも自分ができなかったこと、苦手なことで、いつまでもやりたいと思っていることはありませんか。 今回は、上手くできなくても、好きなものがあってもいいんじゃないかな。と、そんなお話です。 どうしようもなくスキなこと。 僕にはあります。悔しいから羨ましいからとかじゃなく、できるようになりたいと想うこと、憧れているもの。 
できないことだけど、いつかうまくできるようになりたいなぁと夢みていること。 「できないからこそ、やれるようになりたい」と思っていること。 好きな

子どもファーストの考え方 【子育ても実習生を育てるのも方法は一緒】

私は発達領域で作業療法士をしています。 いわゆる発達障害をお持ちの子どもたちの発達を応援する仕事です。 今回は、今自分の職場に作業療法の学生が勉強に来ているので、その話をもとに、作業療法でしていることを説明していきたいと思います。 (#教えるプロセス,#自立,#治療構造,#その人らしく) 作業療法士のたまご いつかは子どもたちやご家族に、価値のあるものを提供できるようになってほしいので、大切に育てたいと思います。 

もちろん、独り立ちするための実習なので最終的には「自

子どもを見習えば、楽しく生きられる

散歩のときにみる朝日や、雨上がりの晴れ間から差す眩しい光。 子どもが遊んでいる姿をみると、それを見たときのような眩しさを感じることがある。 まるで後光が指しているようだ。ぱぁぁぁぁっと目を輝かせて、夢中になり繰り返し繰り返ししているのをみると思わず顔がほころぶ。 新しい世界を知るたびに、ワクワク目を輝かせている。 そんな姿をみて、たいていの大人はニヤける。頬が緩む。 というか、子どもは光だ。未来の希望だ。大切な宝だ。 その反面、羨ましくも思ってしまう。今の自分はそ

池谷裕二さんの文章がスキ

わたしは、脳科学者の池谷裕二さんの文章が好きです。 ファンです。なぜって? すごく優しい気持ちになれるからです。 お子さんを観る視点も、説明の仕方も優しくってとても読みやすいんです。 最近では、テレビでもコメンテーターとしてみかけるようになりました。 でも正直、コメンテーターの彼より、文章を書いている池谷裕二さんが好きだな〜と思ったりします。 テレビでは、本のあの感じがうまく出せていないので、もどかしく思ってしまうのです。なぜか変な親心をだしています。迷惑なファンです

「あなたはスキップできますか?」 弱みがあなたをつくったのかもしれない

よく強みを伸ばそう!と強みの話は聞くけれど、案外「弱み」についてはなくそうとか、ネガティブに話されることが多いので、「弱い」ことってそんなに悪いことかな?という話をしていきたいと思います。 「あなたはスキップうまくできますか?」スキップがうまくできない人の話、たまにテレビでやっていますね。ヒザ神とか変なネーミングでものすごい運動音痴な人がいたりします。冗談でやってなくてそれができるってすごいなぁと思います。そして、おもしろい。 かの有名なおもしろ番組、探偵ナイトスクープで

「ずうっ〜と始まってね!」 【子どものことば】

「ずうっ〜と始まってね!」 いつものように、仕事でお子さんと遊んだときのお話。 「じゃあ、また来週ね〜バイバーイ」子どもの帰り際、声掛けするとそのお子さんがこういうのです。 ほのぼのした感じではあったのですが、動きが一瞬止まり、皆の頭から一様に「?」マークがでていました。 私はすかさず「オッケー!ずうっと始まっとくね!」と返します。 ご家族は「ちゃうやろ〜」と笑いながら話していましたが、エレベーターに乗り込む二人を見送りながら私は「いいなぁ」と思いました。 こんな風