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初出 読売新聞「風韻・潮声」2006年 1月

近頃不揃いで不規則なカットを要求される事が多い
人の手が入っていることを感じさせず
偶然性とデザインという相反する要素を両立させるのが難しい
ある理容師は「目を瞑ったまま刈って下さい」と高校生に注文され
実際にそうやってカットしたという😮
かつて男性の髪は一糸乱れない整然とした美しさが求められていた
その後長髪ブームの洗礼を受け
より自然で自由な表情を持つようになった
昔、生まれつきの癖毛をからかって「天然パーマ」と呼んだものだが
今では、人為を感じさせない、毛先をランダムに動かした天然に近い髪が
若者に求められているようだ😅

「天然」と言えば現在では芸人などに尊称(?)として用いられる事が多い
それは修練を積んだ芸の対極として想定外のリアクションをする人や
居るだけで可笑しみを誘うというような人に与えられているようだ
この「種」を最初に発見したのは欽ちゃんだろう
素人を舞台に上げ、計算外の面白さを引き出し
それに対応する玄人の凄さを見せたのである
この頃では「天然」も増えすぎ、本物か偽物か
真贋の判定が必要なほどである😅

不完全なものに、自由の美を発見したのは桃山時代の茶人だろう
絢爛な完成された美に対して、茶人は対極の美を
ひび割れた水差しや、歪んだ茶碗に見いだし
その感性を誇った😍

朝鮮茶碗の写しの名手、森田十雨さんのぐい呑みです

そんな感覚が、現在の無造作な髪型や「天然」に生きているのだろうか😅

追記 今はその反動で短く刈り上げたキッチリとした髪型が人気ですが
時代の反作用は対極に動くようです
無作為の美は、「日本が西洋に400年先駆けて発見した美である」
と柳宗悦は記しました😅

明日に続きます😅

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