見出し画像

ルーヴルの朝

早朝にホテルから出ると
空気は朝の清々しさを感じるが空はだいぶ明るい
目的がないただの散歩の行き先は
とりあえずルーブル美術館の方へ向かうことにした

日本と比べると頼りなさのある信号機や
歩きタバコで人目を気にせず吸い殻を
道端に捨てるパリの人を横目に進む

途中どうやら今日ストライキか何かがあるようで
ライフルを持った警備隊員が道を塞ぎ
ここは通れないと促される
もう少し先のノートルダム大聖堂まで
行きたかったけどしたかなく来た道を戻る
完成された街並みは歩いているだけでも
映画の世界に迷い込んだような感覚だった

初めてのパリの街並みは
美しい古い建物が規則的に連なり
シャンゼリゼ、モンマルトル、オペラなど
通りの名前すら美しい

話に聞いていた通り渋谷から新宿くらいの
距離の間に観光名所が詰まっていて
ここだけでフランスを満喫したといえそうだ

ホテルに戻るとカウンターにいたホテルマンに
朝の挨拶を軽くしてロビーでノートを開いた

夜10時でも沈まぬ太陽
あなたが愛したこの街は
歴史の尊い美しさをまとっていた
セーヌ川から響く鐘の音と
路上で奏でられるバイオリンが
広い空を色付ける
道端のゴミも石畳の坂に窮屈に並んだ車も
引き立て役にしてしまう美しい街
私は今あなたが見たものと同じ景色を見ている
願わくば一緒に見たかった

ノートに走らせたペンを止め
朝食をとりに向かった


この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?