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僕は猫

僕はどうやら猫という生物らしい
興味はないけどスコティッシュフォールドという
種類だそうで同じ仲間は耳が垂れているらしいけど
僕の耳はピンと立っている

僕の主は背の大きな男の人で
撫でてくれるしブラシで毛をとかしてくれるし
何よりこのピンと立った耳が好きと言ってくれる
大好きな人間だ

僕が生まれて間もない頃に主とその彼女に
連れられて今の家にきた

彼女も優しくしてくれるし遊んでくれるから
子分にしてあげることにした
抱っこくらいは許してあげよう

お気に入りのキャットタワーのてっぺんで
丸くなりながら主と彼女が見える体制で
のんびり寝るのが僕の日常だ

ある日早朝から二人が出掛けていき
翌日の夜まで帰ってこなかった
二人は疲れ切った顔をしていたけど
まとう空気が温かく幸せそうで
僕はすぐ二人におでこを擦り付けに行った
二人は夫婦というものになったらしい
彼女のことはママと呼んであげることにした

しばらくしてママのお腹が膨らんで
ある日の夜に辛そうな顔をして家を出て行った
1週間くらいしてママは僕よりも小さな生き物を
大事そうに抱き抱えながら帰ってきた
赤ちゃんというらしい
主が言うには僕はお兄ちゃんと言うことらしい

子分がまた増えてやれやれだけど
お兄ちゃんとして見守ってあげることにした
僕の尻尾を掴んだりするからその時は
制裁が必要だけど

赤ちゃんはみるみるうちに僕より大きくなり
四足歩行仲間だったはずがいつの間にか立って歩き
立派になったなと思っていた頃
子分がもう一人増えた

お気に入りのキャットタワーからの眺めも
賑やかになったのもだ

今の僕の楽しみは子分たちが寝静まった後
抜け駆けしてリビングでソファに座る主の膝の上で
ゆっくり寝ることだ
主は「子供たちとママを見守ってくれな」と
大きな手で撫でながら僕に言う
まったく世話のやける子分たちだ

あなたたちの人生を見守る僕は猫
立ち耳のスコティッシュフォールドだ


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