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ダメパパが私立小学校受験に挑んでみた2 ~学校選び編~

そんなこんなで始まってしまった私立小学校受験の道。

幼稚園年中の夏という時期から早くも娘を受験戦争の波に投げ入れるのは、果たして娘にどれだけの影響を与えるのか。その影響が娘にとってプラスなのかマイナスなのか、現時点では全くわからない。わからないが、どう転んでも娘にとっていい方向になるようにしないといけないのが親の務めだ。そんなことを娘のおっとっとを勝手に食べながら思った。

※本記事は事実と異なる点を織り交ぜながら書かれております。
※本記事は小学校受験のためのハウツー記事ではなく、あくまでダメパパ視点の思いが書かれた記事となります。そのため小受に気乗りしない配偶者の考えを量るときの参考にしてもらえればと思います。

【ダメパパ私立小受験記まとめ】

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イトー家の紹介

【僕】
30代後半。都内勤務のサラリーマン。公立小、小学校は公立。中学校受験にて私立中学に進学。一貫校であったため、大学まで受験を経ずに進学、卒業。

【妻】
僕と同い年。某私立小学校に入学後、同学校で大学まで過ごす。OLとなり、現在は育児休業中。

【娘】
4歳の年中。幼稚園に在園。妻の頑固により小受に挑戦することに。本人は何もわかっていない。

【息子】
1歳半。1歳になったタイミングで保育園に入れず、家で過ごしている(故に妻は育児休業を延長中)。

【その他情報】
神奈川県在住。ローンありの持家に住む。世帯年収は900万円ほど。

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妻から小受の話を聞いた後に僕は思った。小学校だろうが中学校だろうが、受験は子供だけではなく親も大変だ。子供のメンタルケアだったり、塾への送り迎えだったり……塾に通わせるなら当然費用だってかかってくる。家計も調整しないといけない。考えることが山ほどあるのだ。つまりとても面倒くさい。

そもそも僕は子どもの将来については、親が考えることではないと思っている。もちろん、親としてのサポートはする。しかしながら、まだ何者になりたいかもわからない子供に対して、親が考える「素晴らしい道」に誘うことは、親のエゴでしかない。自分の意志で行きたい道を選んだのであればサポートを惜しまないが、本人の意思が定まっていない幼少期にそれなりの金と時間を浪費することはどうなのだろうか。そんなに余裕のある生活はしてないぞ、うちは。

もちろん私立小学校受験を否定する話ではまったくない。公立と比べて私立小学校の方が設備も整っているだろうし、各教科ごとに専門の先生がつくこともあるらしい。子供が興味をもっているものが”これ”だから、”これ”にもっと触れさせてくれる小学校で学んでほしい、といったように本人の興味関心が明確になっているのであれば、その興味関心を伸ばせるように私立小学校に行ってほしいというのは、至極真っ当だ。

しかし、いまのところうちの娘には集中するほどの興味関心ごとがないので、このケースには当てはまらない。だから今回の小学校受験の話も全く気乗りしないのだ。

そして気乗りしないことほど面倒くさいことは他にない。全くやる気がおきない。
なのに妻ときたら「私も調べるけど、一週間後までに娘に合いそうな学校を探してみて」と僕に課題をだしてきた。

初手からいきなり面倒な作業が舞い込んできた。だいたい、こういうのは言い出しっぺが探すものだろう。

「なんで僕が探さなきゃいけないんだ……」

そのように妻に抗議したが、

「だって私立小を目指すんでしょ?だったらあなたも色々調べてもらわないと」

ばっさりと切り捨てられた。

驚くべきことに妻の中では、僕が小受を承諾したこと=僕も父親として精一杯小受に向き合う気になってくれた、という理論ができあがっていたのだ。

僕の中で小受の承諾は「あーはいはい、勝手にやってくれていいよー。うんうん、お金かかるんだよね、好きにしなー」という感じで、投げやりな承諾だったのだが、妻の中では違ったようだ。(ちなみに、この意識の差は受験が終わるまで続くのでことあるごとに妻と衝突することになる)

「いやいや、君が調べた小学校でいいよ。どこでもいい。あっ、近くに〇〇小学校(学区内の公立)ってところがあるからそこがいいんじゃない?うん、そこにしよう。学費も安いし近いし、娘にも合うよ!」

と気だるそうに答えたら、妻は死ぬほどぶち切れた。

「はぁ?私にだけ押し付けないでよ。ちゃんと考えて。なんで私だけが考えないといけないのよ」

「いやいや、君が言い出したことじゃん……」

「あなただって小受を目指すことにしたんでしょ。だったらしっかり考えてよ!」

一通り口喧嘩がはじまるも、そこは令和のがんこちゃん、ドンドンズズンと頑固っぷりを発揮。結局こちらが折れることになる。やはり妻の中では小受を承諾した時点で、僕のことは私立を目指す同士だと思っているようだ。ハラショー。

そんなこんなで志望校を調べる課題がだされた。ふざけやがって……

***

私立小学の志望校はどのように選べばいいのか、とりあえずその点を妻に聞いてみた。

通える距離、学費と家計のバランス、これらの点を前提におきつつではあるが、最も重要なポイントは「その学校の教育理念や建学の精神が、子供の性格や家庭の教育方針にあっているか」ということだそうだ。

私立小学校はそれぞれ教育理念を掲げている。

「うちの小学校ではこういう考えや精神をもとに子供達に教育をほどこします」

このように掲げられた学校の教育理念が、家庭の教育方針や子供の性格とマッチしているかという点が、学校選びのポイントらしい。

なるほど。確かに家庭の教育方針と学校の目指す教育に不一致が起きていたら本末転倒だ。自分の子どもに与える教育にこだわりがあるからこそ、そのこだわりである教育方針をさらに子供に与えてくれるであろう学校に入れることが小受のよくある姿なのだろう。

しかし、娘が生まれて6年目となるが、教育方針を妻と語ったことなんてない。つまり家庭の教育方針なんてものはない(と僕は思っている)。

そもそも教育方針ってなんだ……?普段、漠然とではあるが、娘には当たり前のことを当たり前に教えているつもりだ。でもそれは将来的に一人で生きていける最低限の力が身についてくれればいいという考えからであって、具体的に「こういう人間になってほしい」ということを目指すような教育方針とはちょっと違う気がする。気がするのだが……

考えだすと止まらなくなった。そもそも”教育方針”なんて大層な言葉で飾るからわからなくなる。もっと簡単に思考を整理すると、僕が考える「将来的に一人で生きていける力を身につけてもらいたい」というのも、教育方針なのではないか?子供にこうなってもらいたい、という想いが詰まっているのだ。教育方針が「こういう人間に育ってほしい」ということなのであれば、僕が子どもに求める将来像も教育方針といえそうだ!

ということはどんな状況下でも一人で生きていける力を身につけられる、そんな学校があれば、その小学校は僕の教育方針とマッチする学校と言えるのではなかろうか。大自然の中で、鹿や猪といった獲物を捕りながら食し、命に感謝しながら、今、その時を必死に生き延びていく。サバイバルな技術や思想を身につけられる学校……そんなモンハンみたいな小学校を探せばいいんだ!

***

「良い学校あった?」

一週間後、妻が僕に聞いてきた。しかし僕は、生きるか死ぬかを教えてくれるモンハン小学校を見つけられなかった。っていうか冷静に考えたらそんな学校にいれたくもないなって思った。

ようするに、志望校をほとんど探していなかった。全くやる気のない小学校受験なのに身を入れて調べられるわけがない。この一週間の検索履歴といえば
「妻 小学校受験 やめさせる」
「公立小学校 いいところ」
「モンハン小学校」
「妻 こわい」
などであって、どうにかして妻に小学校受験を辞めさせる方法の検索履歴で埋め尽くされていた。しかし諦めさせるようないい情報はなかった。

「いや、めっちゃ色んな学校調べたけど、僕に似て優秀な娘に合いそうな大層な学校はなさそうかな!!!ガハハ。……おっと、”合いそう” ”大層” "なさそう" で思わず韻踏んじゃったよ!ガハハ」

とりあえず、死ぬ気で調べたアピールだけはしといた。実際に調べていたのは小受を諦めさせる方法だったけど。

「そう?私はあったよ」

「あ、そうなの?じゃあそこで決定でいいんじゃ……」

言い終える瞬間、僕は閃いた。

こんなに面倒な受験だ。小学校受験が終わったとしても、次は中学受験、高校受験、大学受験とことあるごとに受験という面倒くさいイベントがつきまとってくる。であれば、小学校から大学までの一貫校を受けさせるのが一番いいのではないか。一回の受験を終えることで、とりあえず大学までの切符が手に入る可能性があるのであれば娘のためにもなるのではなかろうか。まさに天才的な閃きだった。

「そうそう。いい学校は見つからなかったけど、目指すなら大学まである一貫校がいいんじゃない?受験なんてしんどいこと、何回もしてたら娘も大変だし。それにこれから訪れるであろう受験の時間を回避することで、別の何かに時間を活用できるってのも娘にとってメリットになるんじゃないかな」

もちろん、今後の受験を経験することによって得られることもあるだろう。学力はもとより、努力することの大切さだったり、忍耐力だったり、目標を持つことだったり。しかしながら、僕自身が中学受験を一回クリアしただけで大卒の切符を手に入れたという経験があるので、受験は生涯に一回でいいんじゃないかという考えが根深く突き刺さっている。だから小学校受験をさせるのであれば、受験はこれっきりにできるようにした方が娘のためになると思った。

「なるほど。確かにその方がいいよね」

妻も受験は一回こっきりの人である。そこの思考は珍しく一致したようだ。

「私がいいなと思った小学校は大学までの一貫校だから、そこは大丈夫だよ」

「じゃあそこでいいよ!めっちゃよさそうな学校だね、娘にもすごい合ってると思う!素晴らしい!」

「まだ校名すらいってないんだけど……」

***

そうして僕らはA校を目指すことになった。A校はキリスト教系の学校らしい。妻もキリスト教系の学校出身者であるため、そこに親近感が湧いたようだ。

僕はキリスト教についてはほとんど触れたこともないのでよくわからない。アーメン的な?そんな感じなんだろう。どんな小学校かよくわからないが、とりあえず大学まであるようなのでよしとしよう。

志望校は決まった。あとは勝手にやっていただければ……
そう考えていたが、僕は大きな勘違いをしていることにこの後気付く。小学校受験を許したことを後悔するほどの勘違いを僕はしていたのだ……

続く

【ダメパパ私立小受験記まとめ】

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