不登校を図にしてみる
不登校という言葉は、学校に通ったことのある人なら一度は聞いたことがあるでしょう。
かつては登校拒否と呼ばれていたのを知っている方もいるかもしれません。
不登校はよく社会の問題として捉えられます。なぜでしょうか?図にあらわしながら考えてみたいと思います。
不登校の定義
文部科学省によると、「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により登校しない、あるいはしたくともできない状況にある為に年間30日以上欠席した者の内、病気や経済的な理由による者を除いた者」と定義されています。
2018年の調査ですと、不登校の子どもの数は14万4031人。小学生の不登校は3万5032人、中学校は10万8999人。小学生ですと全体の0.54%、中学生ですと、3.25%が不登校ということになります。
小・中学生合わせて14万人も不登校の子がいるんだなと思った人が多いでしょう。ちなみにですが、この統計の取り方に若干問題がある(病気と不登校の違いが曖昧であるため)ものの、かなりの数の子どもが学校に行ってないということは言えるでしょう。
統計の取り方に興味がある人は、山本宏樹(2008)「不登校統計をめぐる問題」『教育社会学研究』第83集 129〜147頁
不登校とリンゴの木?
不登校はなぜ起こるのでしょうか?もし経済的な問題であったらこれは、貧困の問題です。しかし、定義からは経済的問題を除外しています。
ではこの社会と学校と児童・生徒の関係をリンゴの木で表してみましょう。
児童・生徒がリンゴ、木が学校、生徒は軽トラを通じて社会へと出て行きます。
学校で育って社会に出ていくという仕組みには皆さんも納得してくれるでしょう。
逆に言えば学校を通らずに社会に出ていくという仕組みは今のところ想定されてないと言えます。つまり、不登校はこういうことです
学校という木からなんかしらの要因があって、リンゴが落ちてしまいました。
カラスが襲ってきた(いじめにあった)のかもしれませんし、木が揺れて(学級崩壊して)しまったのかもしれません。
要因はたくさんありますが、それに対して学校を通ることで社会に出る仕組みを作っているので、落ちてしまったリンゴは困りますね。
スクールカウンセラーの導入
しばしば、不登校が起こると本人の心の問題と捉え、学校にスクールカウンセラーが導入されるなど、不登校やいじめを減らそうとしました。それを図にするとこうなります
不登校を心理的問題と捉えて、スクールカウンセラーを導入するのは、リンゴに袋のようなとのを被せるということです(絵は袋のイメージです)
こうすることによって、カラスや虫の攻撃から守ることができます。
これで安心ですね。
と思う人はいないでしょう。
では不登校とはそもそもなんで起こるのでしょうか?
不登校はなくなるの?
リンゴが落ちるのはなぜか?
それは重力があるからです。
そもそも、一定の学校という枠組みがあれば、合わない子も出てきます。
人が集まればいじめも出てきます。
すべての要因に対応しようと考えたり、心理的な要因で原因を説明した気になっても、実際には何も解決していません。
重力がある限り、りんごは落ちます。それはどんなに木に栄養を送っても、ガチガチにリンゴも守るように囲んでも、落ちる時は落ちます。
このように落ちる時は落ちてますね。
この場合の重力というのは、現実世界にひっぱる力です。学校というのは、人が作った擬似的な小社会です。実際のどこに、同じ年齢の子どもを30人も集めて、同じ勉強をしてという空間があるでしょうか?
なので、学校はそもそも仮想的な空間です。
当然そことは合わない人が出てくることは、当たり前ですよね。
ここまで聞くと不登校ってそもそも問題じゃないんだなと思う人も出てくるでしょう。
実際に問題があるのは、学校以外のルート選択がないことです。(つまり木にくっついていないと、社会に出れないことが問題なのですね)
不登校を無くす方法は非常に簡単です。学校に行く義務がなくなれば、自動的に不登校はなくなります。
しかし、現代の社会で「子ども」の時期があるため、やはりなんかしらの形で育てないといけません。
様々な選択のある社会
学校というルート以外が認められれば、リンゴが落っこちて困ることもなくなるわけです。
色んな学校例えばフリースクールやオルタナティブスクールを作れば、より多くの子どもが少なくとも合わないところで無理をして、命を落とすなどということは減るでしょう。
(これは次回にしようと思いますが、この考え方には致命的な弱点があります)
もちろん、これはスクールカウンセラーは必要ないということや、学校が必要ないということはありません。
基本的には学校は多くの子どもにとって必要であるというのは前提であります。心理学的な考えを学校に導入するのも、全く効果がないとは思いません。
しかし、だからといって、学校が悪いから不登校が起こるんだという思考になったり、最近の子は我慢が足らないという思考になるのは誤りです。
大切なのは、学校に行かないと社会に出れない(実際に出れないわけではありませんが、そう思い込んでる)問題なのではないでしょうか。
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