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2017年5月の記事一覧
おはいりなさいの輪の中には
かつて
保健室と図書室は
生きにくい子のたまり場だった
真面目な子
そうでない子
教室では呼吸ができない子が
一息つける場所だった
今
頻繁に保健室に行くと注意され
図書室では授業はどうした自習でも教室に
といわれるらしい
「自習です」といって図書室にいた私
多分わかっていていさせてくれた司書さん
あの時間がなかったら
どう生きていけばよかったのだろう
時々手首に重ねたカッターナイフ
墓参り風も翔るか五月富士
亡くなった父の祥月命日は、毎回快晴です。
公園墓地の父の墓からは、正面に富士山が見えます。
父は、長距離陸上競技をずっと続けた生涯でした。
…っていいたかったのですが、難しいですね。
静寂という偽善の中に
夜は沈黙しない
風に揺れる雨戸の
隣家の風見鶏の
松林の葉擦れの
音を一枚ずつ剥いだ
レタスの芯のような
さらに奥の空洞のような
耳鳴りと区別がつかない音
ささやき
呟き
判然としない音で
死んでもいいことはなかった
この闇の中で私の母は
いつ息が止まってもおかしくない
脈々とした血のつながりが
夜の
夢の
意識の下で
聞こえぬ音で
鳴り続ける
この杭はひき抜きにくい
息子よ
母に似て他人(ひと)に傷つく息子よ
心の皮膚をむき出しにするな
風から身を守るコートを持て
それは他人との関わりで得るもの
世を捨てるには
お前は若すぎる
息子よ
母に似て一徹に孤高な息子よ
その生き方を貫けば
強さにすがられて荷を負うぞ
背負いきれなければ
誰かに渡す術を覚えよ
世に逆らうには
お前は若すぎる
息子たちよ
あまりに生きる道が違って
口もきかなくなった息子たちよ
この母