満月に吠えろ。カレーを食べ続けろ。
目を凝らせば、空のどこかに白い満月があったかもしれない時間に繰り出す。
もはや「地名+カレー」でグルメサイトを検索しているものの僕は冷静だ。何せ、点数だけでなくレビューを読み込んでいるのだから。冷静沈着。
今回足を運んだのは八王子の「カキノキテラス」という、古民家を改装した欧風カレーの提供店。
駅から遠いと事前に分かっていても、歩けば歩くほどの殺風景が不安を駆り立てる。グーグルマップだけがおれをたしなめる。
そんな工業団地っぽいところを練り歩き、これで間違ってたらなかなかクるな、結構クるものがあるなと思い始めたくらいで、それは突如、オアシスが湧き上がるように存在していた。
空間自体を楽しめそうなつくりである。着いた瞬間に目的の7割は達成したと誤解をしてしまいそうだった。
入店するとカウンターに案内される。カウンターといってもキッチンと対面ではなくて、圧迫感があったりもしない。
今日も外気は32度を記録していたのに、好んで屋外を選び食事をしている人の多さにも驚く。
僕は空調の効いている室内のほうがタイプだ。アイライク・クーラー。アイラブ・エアコン。空調への愛を囁いていると間もなくカレーが到着。
看板メニューの「山形米澤豚のカツカレー」。澤の画数が多い方をチョイスしてくる感じが、いかにもこの店らしい。
ルーはまろやかさと辛さが同時に来る。
日本人が適切な修行により、適切に作りこんだ丁寧な味だった。
カツはソースの味とカツだけで完成してる「カツ&ソース」状態なので、カレーを浸し過ぎるとむしろもったいないと思った。
あの名曲だって、これからそいつを殴りに行こうか?という提案をするのに二人じゃなくて三人だとだいぶ構図というか、勢力図が変わってくる。
箸休めは惣菜と漬物で3種類。色々な味覚で舌をくつろがせられる。どれもちょうどカレーのクッションになる味の濃さで、それぞれ食感が違うので飽きずにバランス良く食べようとする気になる。
ランチセットは「サラダor惣菜」「ライスの量」「ドリンクの種類」を選ぶんだけども、店員さんの行き届いた接客で煩雑さを十分にカバーしていた。
あとは空間の居心地が最高にいいから、食べてすぐ出る気にはなれない。ゆっくりしたくなる。古民家を改装した空間にはボサノバが小さく流れていて、くつろいでるとうっかりデザートまで伸びそうな手を何とか出さずに終えられた。
やみつきになる、というよりは、時々思い出して、駅からのあの距離を歩きたくなったら行きたくなるであろう。「古民家」「欧風」を全面に打ち出しているだけあって、ちょっと贅沢な店。
次は「アジアの国の人が、その国らしさを強烈に出してるけど日本人も食べられるようにさりげなく調整してる」みたいな店に行ってみたい。
今日は満月ということでこの曲を聴きながらお別れです。
この歌をとめるな。カレーを食べ続けろ。
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