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恐怖は人を突き動かす 映画「ビヨンド・ユートピア 脱北」をみて

 

北朝鮮から脱北する家族を撮影したドキュメンタリー映画「ビヨンド・ユートピア 脱北」をみて感じたことを残しておきたい。


恐怖は人を突き動かす

人間は生き延びるため、恐怖の感情に強く反応するようDNAに刻まれている。
恐怖という感情は強烈で、美女や美男子よりも「猛獣」に注意が向くようにデザインされている。
恐怖は人を突き動かす。

恐怖の象徴 マスゲーム

一糸乱れぬ動きを披露するマスゲーム。
長時間の拘束、厳しい練習、トイレに行くことさえ許されず、下着の中に失禁するしかない状況と、映画の中で脱北者が証言していた。

大人でも難しいような動きを5歳くらいの子どもが涼しい顔でやってのける。
普段子どもとかかわっている私の感覚では「ありえない」
だが、子どもだけでなく、指導者も恐怖に突き動かされると、それが出来てしまう。見ている私も恐怖を感じた。

厳しいトレーニングに耐えきれず、脱落していった子ども、メンタルを病んでしまう子ども。甚大な犠牲の上の「マスゲーム」であることは容易に想像できる。

金正恩も恐怖を感じている

2011年アラブの春と呼ばれた民主化運動で、独裁国家が次々に倒されていったことが、金正恩総書記にとっても恐怖の対象であっただろう。

自国民を恐怖で支配し、他国に脅威を与えることで、政権は保たれている。
恐怖に突き動かされているのは、金正恩も例外ではないだろう。
いわば、国民全員が恐怖に突き動かされている。

知らないから生きていける

厳重な情報統制が敷かれている北朝鮮の国民は、自国がユートピアだと洗脳されている。
ユートピアと信じる自国の外に違う世界があることを知らないから生きていける。
「知らぬが仏」ということわざがあるが、命をかけて脱北を試みようとする人は、知ってしまった人なんだろう。
そんなことも頭をよぎった。

恐怖政治をしていないか? 今一度点検を

私は、教員であり、親である。
日本の学校は、「マスゲーム」に耐えうる人材育成を目指していた時代がある。
「足並みをそろえる」「理不尽に耐える」 学校現場にいるといまだに根強く残ってる価値観だと感じる。

教員も親も子どもにとっては、強大な権力者。
権力を振りかざし、恐怖や不安で子どもを動かそうとしていないか、今一度振り返ってみたい。


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