指と君の間には ... ♫
手を持ち上げて、人差し指を立てて目線の高さに持ってきてください。立った人差し指が見えますね。その瞬間、あなたと人差し指の間には距離がありますか?
もちろん、常識的に考えたら答えはイエスです。ですが、ここでは「常識」というものは問題にしておらず、今、この瞬間に起きていることを直接的に(思考過程を介さず)観ていくことを重要視しています。
時間や自分といったものにも当てはまりますが、「それは直接的に体験できるの?」「そのことについて全く考えないとき、それは存在し得るの?」と問うことは、一つ有効な自己探求の手段となります。今、立てた指と自分との「距離」は、はたして距離というものに関して何も考えない場合、存在し得るのでしょうか。
もちろん、前から車が接近してきたとして、それと自分との距離感がつかめなければ、それを避けたりすることは困難になるでしょう。ただし、この状況で問題になっているのは自分がその車を(多くの場合は反射的に)「避ける」ということのみで、「距離」ということばや考えは、そこに用があるものではありません。極端な話、自分に向かってきたボールを避けるのに、距離という「考え」は必要ないということです。
さて、結局、距離というものはあるのでしょうか。ないのでしょうか。これは、実際に実験をしてみるよりありません。前回の記事で、目の前のものをじーっと(あるいはぼーっと)観てみるということを試してみました。今回は、目の前の指を対象に、同じことをやってみてください。
じーっ
じーっ
じーっ ...
どうですか?あなたと指との距離を、直接感じさせるような何かはあるでしょうか。ちなみに、「〇〇だから、距離がある」という思考は、そのままにして放っておいてください。
今度は、指を前絵後ろへと動かしながら同じことをしてみましょう。
また、今度はあなた自身を指差してください。あなたと指との距離があるとすると、「あなた」というものの位置がはっきりしている必要がありますが、「あなた」は、指が指している方向のどこにいますか?
この他、指を使っていろいろと試してみてください。
さあ、実験だ。
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