見出し画像

21日目 サンタクロース

子供たちの寝室に、毎晩鳩時計のスイッチを切りにいくのは僕の仕事だ。

娘は極度の怖がりで、妻の両親から贈られた鳩時計から夜中に鳩が出てくるのが怖い、と言う。真っ暗闇も怖いと言うので、いつも電灯の豆ランプを点けておいて、豆ランプが切れたら夜中でも取り替えに行くのも、僕の仕事だ。

夕食にししゃもが出ると、ししゃもの顔が怖いから取って、と言う。顔なんて言うから怖いんじゃないか、と思って顔じゃないよ、と僕が言うと、じゃあ首取って、と言う。余計に怖くなっているじゃないか。ちゃんと頭、と言えるようになってからも、結局毎回僕が取ってやっている。

そのくせ、サンタクロースは怖くないようで、今年はドアノブのところから昼間お兄ちゃんと一緒に作ったらしいブロックのロボットを紐で結びつけた罠が仕掛けられていて、危うく倒して子供たちを起こしてしまうところだった。

でも簡単だ。子供たちが起きたら鳩時計の様子が気になって見にきたと言えばいい。

子供たちは知らない。サンタクロースは時々昼間に豆ランプを買い置きし、毎晩この部屋に来ているということを。

.
.
.
.
.

このお話を最後まで読んで下さった方は、もしよかったら微妙につながっているこちらのお話もどうぞ。

.
.
.
.
.
この物語はヤヤナギさんが企画されている #100日間連続投稿マラソン に参加しています。

毎日ひとつずつ、少しずつずれながらどこか重なっているような物語を綴っていこうと思います。

企画の詳しい内容は、ヤヤナギさんのnoteのこちらの記事 に掲載されています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?