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獏嬢
2020年8月11日 18:07
その人の描く絵は、いつもスクリーンに映し出されたつかの間の映画のようだった。あるはずの部分が切り取られて、それでいて最初からなかったかのように物語は進む。主人公が振り向いて相手役の顔に視線を向けた時、その途中で見たはずの部屋の調度品は画面には映らない。私はそのないものたちが気になって、「ある」に選ばれたものたちの世界に集中できなかった。私は絵の前に立ち、体操着を着た小さな子供の身体にも