2023/10/22 まだ何にもできていない。たこすけ

今日は11時に起きた。起きた瞬間にもうあれである。ウーバーである。
注文が少ないと言われるこの時期に残るところ22件をこなさなければいけない。危機的状況だ。
昨晩、床に着く前、どれほどウーバーをやらないでおこうかと思っただろう。そこでひと踏ん張りできるのが私の凄いところである。あまりに有名すぎて、あらためて書くことも恥ずかしい言葉だが、不思議の国のアリスに登場した言葉はなんとも的確な表現であると思う。
「その場にとどまるには全力で走り続けなければいけない。」

ひゃー、しびれるねえ。社会に生きるというのはそれだけ大変なことなのだ。皆さんは頑張って生きて、こんな日記を読むことができている。自信を持っていただければと思う。全力で走っているからこそ、こんな文章を読む時間も確保できているのだ。

お笑いであることは最高に楽である。別に舞台に立っていようがいまいが、ネタを作っていようがいまいが、自分はお笑いです。と言えばお笑い芸人の仲間入りである。
私はそれをいちいち怒ったり、もっと全力で取り組めと言ったりはしない。バイトだろうがなんだろうが、自分の力でお金を稼いで生活したうえで「私はお笑いです」と言っているなら、それで十分な権利を持っていると言える。努力しているかどうかなんて、みんな自分なりに努力しているはずだから とやかく言う権利は誰も持っていない。

ただ、自分の生活費も稼ぎもせずにお笑いを語るのは最高にださいのでやめたほうがいい。まずは自分の生活をなんとかできるようにしてからお笑いを名乗るべきだ。
この日記に何度も登場している めろんぱん稲倉さんもかつては最悪人間であった。バイトをあまりせず、親からの仕送りをじゃんじゃんもらいながら良いアパートに住んでいた。現在、めろんぱんは活動休止中であることから、稲倉さんは仕送りを断り、自分で稼いだお金で生活しているそうだ。すばらしい。ようやく人間になれたんじゃあないか。
バイトをめちゃくちゃ頑張ることで、お笑いへの取り組み方も変わったように見える。現在、稲倉さんはフルーツをもって気持ち悪いことを話すという漫談をやっている。
これもアルバイトで自分のお金を稼ぐことができるようになったからこそ生まれた漫談スタイルであると思う。自分で稼いだお金をどこでどのように使うのか、これによって本当の自分らしさが見える。漫談も良くなっていく。
はなまるあげよう。

親からの仕送りをもらいまくるダメ人間というキャラクターで生きていくと決めたなら、それも尊重したい。実際に親からお金をもらって生きているならば、それも自身の個性としてお笑いにしたほうがいい。舞台上で嘘をつくとお客様にはバレるもんである。だらしないのにちゃんとした振りをするのはよした方がいい。うちの田川くんも開き直り始めて、ようやく良さが出てきたと思う。どうしようもない自分を認めなければ漫才なんてできません。

お笑い芸人で売れるためにあったほうがいい要素として実家に住んでいることではないかと、ときたま議論される。アパートに住んでいる時点で最低でも月5万円くらいはかかる。そこに食費やライブ移動の交通費など諸々が積み重なって、だいたい10万円くらいはかかる。時給1200円で働いたとしても83時間は働くことになる。この時間が大幅に減らすことでネタを考えたり、本を読む、旅行に行くことで見聞を広げることにもなる。なるほど確かに実家に住むことだけで売れることへは近づきそうな気がする。東京に実家があればどれだけよかっただろうか。

皆さんが絶対に興味がない話をしようと思う。いや、毎日誰も興味がないことを書いているが、輪をかけて興味がない話をする。
私は東京にずっと憧れて育ってきた。高校の美術の授業で、レタリングの時間があった。レタリングをどう説明すればいいのかわからないが、定規なんかを使ってきれいな文字を書くという今思えばなんなんだという授業だ。
生徒が各自、好きな漢字二文字を書き、そこに水彩絵の具で色を塗るという課題が出た。
野球部の子であれば野球と書いてみたり、陸上部の子であれば陸上と書いてみたりしていた。悩んだ私は東京の二文字をレタリングした(レタリングするという言葉があっているのかはわからない)。東京という文字を夕焼け色、オレンジ色でぬってみた。東京という文字が、あこがれの東京、東京タワーの形に似ているなあと思ったからだ。なんとも自分で納得いくレタリングができたと思う。とくに褒められも責められもしなかったが私は東京に憧れていたんだな、と思い起こすことができるエピソードだ。

東京にいってみたいという気持ちは日々高まった。どれだけ親に言っても、いつかねと返事をするだけで終ぞ旅行することも無かった。今思えば、行きたいところややってみたいことがたくさんあったが、私の希望でどこかに行くということはなかった。
もし、これを読んでいる人に子育て中という方がいれば、子供がやりたい、行きたいと言ったときは叶えられそうなら叶えてあげたほうがいい。そうしなければ私のようなお金のことも気にせずに暴れまわる大人に育ってしまうことだろう。

東京へ行きたい、将来は東京でお笑い芸人になりたいと思っていたし、家でしゃべってもいた。
ある日、母が言った。私は東京で暮らしてみたかった。
父は割と大きな会社で働いていた(いる)。やりようによっては転勤などで東京に住むことはできただろう。ただ、父は何とも地元広島から離れる気は無かったそうだ。母から、県外で暮らしてみたいという提案をしたこともあったそうだが、それでも広島からでることはなかった。
あの頃の父と比べてまだまだ若い今の自分には理解できそうで、まだ理解できない。そこまで広島にこだわる理由はなんだったのだろうか。
私は東京に移り住んで、最高な日々を暮らしている。電車はどこにでも向かって走っているし、すべての電車は東京に向かって走っている。飛行機も世界中に飛び立っているし、飛んでも来る。徒歩10分もないところにスーパーやコンビニはあるし、大きな図書館もいっぱいある。東京ほど良い街はない。うーん。
これはいつか理解できる日が来るのだろうか。私はまだわからない。

あのとき、父が家族を連れて東京で働く決心をしていれば、私はお笑いをやることもなかったかもしれない。これは責めているわけでも感謝しているわけでもない。どの道を行こうがその道が続いているだけで、ただ仮定を想像して楽しんでいるだけである。なんかいいこと言ってるっぽいけど意味はわからんな。

なんの話をしていたのか忘れた。お笑いは楽だぞ~みんなやれ~。という話であってましたっけ。
世の中の大人たちを見ていれば、お笑いの人が辛いと言っていることなんてへのツッパリはいらんですよ、と言いたくなる程度のもんだ。言葉の意味はわからんが、とにかくすごいことはよくわかる。
もうええわ。

とりあえず、今日も頑張って働いたとさ。11時過ぎに出発して、16時ころに帰宅。2時間ほど休んでもいちどウーバーに出発。22時前に帰ってきた。お陰様で22件を達成した。日記も0時を回る前に書き上げた。そして現在、午前4時。22日分の日記も書き終えそうである。えらいねえ!
ただ、明日のライブのネタをもう一本書かなければいけないのだが、一文字も書いていない。
やっぱ、お笑いはなかなか辛い職業でもあるな!はっはっは!

今日面白いと思ったことは「こんな状況でも、なんだかんだライブまでに面白いネタを作ってくるんだから、やっぱり私は天才かもしれない。」

こんなつらい人生。ここに空き缶を置いておきます。