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【ゲームとか翻訳話】フリーが干されないように食ってくには

ほ、ほ、干されるうううー! うあああああっ!

取り乱してすみません。仕事が急にパタっと途絶えるという、おぞましい悪夢を見ていました。

フリーランスにとって“干される”ことは何よりも恐ろしいものです。それは真夏の夕立のように突然やってきて、それまでコツコツと貯めてきた自己肯定感を吹っ飛ばしていきます。そして「おれは誰にも必要とされてないのでは?」「なんかやらかしたのでは?」「もはや生きている価値なんてないのでは?」と疑心暗鬼に陥り、精神衛生上とてもよくありません。

では、どうやって防ぐのか。

私は翻訳びとなので翻訳業の話になってしまいますが、“フリーランス”という大枠の中では他業種でも重なる部分はあるんじゃないかと。

王道的なのは「人脈」です。特定のクライアントさんと懇意になったり、業界内の知り合いを増やしたり。仕事は結局のところ人間同士がやるものなので、他人に好かれるフリーランサーになることで、干されるリスクはある程度減らせます。同じスキルの翻訳者がいたら、普通はより気心が知れているほうを選ぶものです。私もヘルプを頼む時はそうします。いくら実力があっても知られていない人は、どうやっても候補者リストにすら載りません。

ただ、大人の世界とは怖いものです。“一寸先は闇”を地で行くフリーランスの世界では、マジでいきなり切られます。大人は何も言いません。誰しもそれぞれの守るべき人生があり、それぞれ忙しいので、特に時間を奪っていく輩は無言で切り捨てられます。前兆はほとんどありません。これが大人の付き合い方です。怖いですね。

そこでリスクヘッジを考えます。取引先を増やして、そもそも閑散期が生じてしまう割合を減らすわけです。

取引先が増えれば干されるリスクは減りますが、今度はスケジューリングが難しくなります。スケジューリングは見逃されがちですが、とても重要なスキルです。柔軟なスケジューリングが可能な体制を作っておくことは、干されない働き方を考える上で、個人的にはかなり大切だと思っています。

それには小さな案件のサポートが欠かせません。それも長く続いて、ストレスなくこなせるもの。

こうした案件は大型プロジェクトと並行して取り組みやすく、柔軟なスケジューリングを大きく後押ししてくれます。大型案件はまとまった収入を確約してくれる反面、入金までの間が開きやすいデメリットがありますが、そこへ手慣れた小案件を挟んでいけば、それなりの収入を得られるので、銭が入ってこない不安も減らせます。

こういった細く長く続いていく小さめの案件は、私がメインでやっているゲーム翻訳系のエージェントではあまり見かけず、産業翻訳系の大手エージェントのほうが遭遇しやすい気がします。

小さな案件は、たいていの翻訳者さんは嫌がるもの。なので逆に開発の余地があります。長い目で見て育てていけば、こうした案件はじきに慣れ、ストレスなくこなせるようになります。一旦ポジションを確立させたあとなら、働き方やレートのリクエストにも応じてもらいやすかったり。

野球でもホームランを打つだけでなく、打率を維持するには一日一本のヒットが欠かせません。

まあ、しょせんは私という一人のフリーの経験談でしかないので、話半分に聞いといてくださいませ!

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編集長の翻訳のお仕事も。世紀末ゾンビサバイバル『ラストスタンド:アフターマス』が、PS5/PS4/Xboxでリリースされました! 武器、クラフト、突然変異などを駆使して、ゾンビ禍の終末世界を孤独に生き残れっ!

これもう猫めっちゃ喜びます!