書評 Winny 電子書籍がイイ本もあります
五十路のおじさん、ばっどです。
Winny 天才プログラマー金子勇との7年半
壇 俊光
電子書籍がイイというより、電子書籍のみですね。
ファイル共有ソフト「Winny」を開発したプログラマーが逮捕され、その弁護を担うことになった弁護士さんが著者。
結果無罪とはなったものの、必ずしもハッピーエンドではないお話です。
が、語り口は軽妙。
金子氏のキャラクターも相まって、面白く(英語のintrrestingの方)読むことができます。
しかしというか当然というか、中身は硬派です。
カルロス・ゴーンも逃げ出した日本の司法の問題点もしっかり描かれており、読みごたえがあります。
プログラマーが犯罪を誘発したかのように、また、くだらないことに使われているというようなことを印象付けようとミスリードして社会的な心象を悪くして、なんとか有罪にしようという検察。
当時のことを思い出すと、マスコミもまた検察の言い分に乗っかって、Winnyが如何に悪辣なソフトかというような論調が強かったように思います。
7年以上の時間を費やして結果的には無罪になるものの、裁判をやっていいる間、プログラマーとしての金子氏は存在しないも同然です。
欧米に先駆けて、P2P通信を実現する画期的なソフトだったはずのWinnyですが、もう保守的になりつつあった日本の企業はその「危険性」に気づいて、仮にこの逮捕がなくても上手く使い切れなった可能性はありますが…
ITにちょっとでも興味がある人ならご存じの事件とその後の成り行きかと思いますので、細かいことは今更ですが、ちょっと前に起こった大河原化工機の噴霧乾燥機の事件でも似たような(経過・結果はもっとひどい)ことが起きており、検察は何も懲りてないことがよくわかります。
悪いことしなければいい、ということではなく、いつ自分に災難が降りかかるかわからん、ということを忘れずに生きていくしかないというのは、なかなかメンドクサイことではあります。