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書評 そこにある山 斬新な概念を駆使した一大傑作論考!

五十路のおじさん、ばっどです。

そこにある山 結婚と冒険について * 
角幡唯介

きっかけは新聞書評。書評で気になったものをかたっぱしから読んでいた時期があり、読んでみた本。

記事タイトルに挙げた「斬新な概念を駆使した一大傑作論考」とは、あとがきにある、著者の自賛の弁からひかせていただいた。
ばっどの読後感においても、そうだと感じており、読書好きの方であれば、是非読んで欲しい作品。
この本の論に腹落ちを感じる方であれば、人生の問題の8割がたは解決したも同然!という実に有益?な論考集であるといえます。(勿論、個人的には、ですが。)

よく雑誌やwebなんかの記事で「戸建てか賃貸か」、「結婚するか独身か」、「自動車は保有かシェアか」みたいな問題を、人生におけるパフォーマンス良し悪しとして比較するようなものが見受けられる。
で、そういう記事は自分のスタンスは取らず、比較だけして、場合によりけり、よく考えて選択しましょう、とお茶お濁した結論を取っているケースが多く、肩透かしなものが多かったりするものです。

著者の論に拠れば、そういう問題は一発で解決します。
それらは問題ですらないというのが結論、の方が近いかもしれません。
便利さにあふれているが故に、自己の能力で何かを選択的に勝ち取って生きてきてると現代人は思いがちですが、ホンマにそうなん??という問いかけは、一度はしておいた方がいいんじゃない?と気づける、そんなお話です。

哲学的で拗らせた文章であるにもかかわらず、「わからない」と思うことがない。
松井秀喜氏が長嶋茂雄元監督の言葉を、「独特だがわかりにくいと思ったことはない」語っているが、そんな感じかもしれない。

ものごとを考えたい、哲学的な思索がしたい、と思ったときに読んでみると何か発見があるかもしれない、そんな本じゃなかろうかと思っています。

* 2023年12月に文庫化されているようです。
文庫の副題は「人が一線を超える時」となっています。

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