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書評 F1グランプリボーイズ F1ブームの曙、当時現役F1メカ異色のエッセイ

五十路のおじさん、ばっどです。

F1グランプリボーイズ 1~4巻
津川哲夫

なんと1970年代からF1のメカニックとして世界に飛び込み、メカ引退後の今も解説などでなお馴染みの津川さんのエッセイ集。
いまでも昭和な雰囲気を残しつつ今も続く自動車雑誌、「ベストカー」の連載。80年代後半~メカを引退した90年までのお話です。

87年から鈴鹿でF1レースが開催され、88年には故エヤトン・セナが劇的な戴冠をし、フジテレビや昭和シェル石油のプロモーションもあり、F1ブーム、セナブームが一番熱かった時代の本。
当のばっども89年から進学のため家を離れ、家族に遠慮なく深夜のF1放送を見られるようになり、のめり込み始めた時期。
そんな時期なんでホントに貪るように読んだ本であります。

ブームさなかに出版された本ながら、そういう熱気からは若干の距離を置いた内容。そこがまた非常に魅力的です。この時すでにF1メカとして10年のキャリアを積み重ねた著者は「変わっちまったぜF1・・・」。
1巻はそういう懐古的なセンチメンタリズムが一番強く出てます。

今、Super Formula挑戦中のJujuこと野田潤樹選手の父上、秀樹氏もちょっと登場。今Jujuアンチからは「大したことなかったF1レーサー枠」にいれられちゃってますが、英国F3で成績を残し、ラルトのテストまでやっていた、きちんとしたドライバーであったこと、アンチ界隈はご存じなのであろうか?

当代イチのレーサーであったセナがデビューした時、同じチームでメカをしていた著者。浅からぬ縁もあって手放しで褒めることはなく、ダメと思うところはダメと言っちゃいます。それもまた愛、なわけです。

4冊シリーズのピークは90年鈴鹿。
所属するベネトンの、悲劇を超えた鈴鹿ワンツー。そして、メカ引退を決めた著者は人生一番の後悔を吐露します。
普通の人はここで涙腺崩壊でしょう。

絶版だからということで、例外的に結構ネタバレしてしまいました。
もうしません。
自分ルールの字数も大幅超過。

このnoteを見て純粋に「読みたい」とお思いになられた方がいらっしゃったら、何らかの方法でお譲りしたいくらいおススメです。
(最低限のお足はいただきたいですが・・・)

文章中の「エヤトン」はいわゆるアイルトン = Ayrton。
本書中での津川さんの使われる呼び方に準じました。

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