俳優の役作りについての話
テレビや映画、舞台で活躍する俳優たち。
様々な役柄を演じる上でみんながやっている役作りについて、一体どのようにしているのかをご紹介したいと思います。
前提としてコレだと言う役作りの正解はないです。
俳優は自分自身にあった役作りを行っていたりします。
まず役作りは脚本が最初にあります。(中には脚本や台本がない作品も存在しますが、それは例外とさせてください)
脚本は役作りの設計図のようなものです。
しかし登場人物のバックボーンや他の人物との関係性がすべてが描かれている事はほぼありません。
そこで、俳優自身で脚本に描かれていない余白を埋めていく作業が必要になってきます。
なので俳優は
1.脚本を理解する能力
2.理解したものを表現する能力
が求められます。
この2つを合わせて役作り(演技力)と僕は思っています。
今回は2.それを表現する
を紹介します。
日本にも演技技法はいくつもあるのですが一番有名なのがアメリカで生まれた
メソッド演技法
です。
アメリカ合衆国の俳優養成機関アクターズ・スタジオで今も教えられていて、出身者をそうそうたる名優ばかり。
マーロンブランド、アル・パチーノ、ジャック・ニコルソン、ロバート・デ・ニーロ・・・・出身者を上げたらキリがない。
このメソッド演技法から派生して様々な演技法が生まれてきました。(沢山あるので割愛します)
印象的な役作りについてのエピソードを紹介します。
ロバート・デ・ニーロ
デニーロアプローチと言う言葉がある。デニーロは役に自分を寄せるために貪欲に肉体までも変えてしまいます。その後この様な役作りに対してデニーロアプローチと言うようになりました。
有名なエピソードとしてはボクシング映画『レイジングブル』です。デニーロは筋肉ムキムキのボクサーから引退後のブクブクな老人を演じました。それを短い撮影期間中に体重を25キロ増やしやってのけました。
日本では三国連太郎は33歳の時に『異母兄弟』で老人役を演じました。健康の歯を10本抜いて顔の輪郭を変え、世間を驚かせました。
ケビンコスナー
インタビューで役作りは外見から入ると発言しました。自分の演じる人物はどんな顔か?髪型か?服装か?姿勢か?クセがあるか?役作りのスタートが内面からではない良い例です。
ジョニーデップ
実在する特定のモデルから役に近付く俳優もいます。ジョニーデップは『パイレーツオブカリビアン』でローリングストーンズのキースリチャーズをモデルにする事であの魅力的なキャラクターを作りあげました。
また特定の職業を演じる際、例えば軍人の役や料理人の役になる為に実際に入隊したり調理場で働く俳優もいたりします。
『ラ・ラ・ランド』のライアン・ゴズリングはジャズピアニストを演じましたが、実はピアノ未経験。3ヶ月の集中レッスンで見事に演奏しアカデミー主演男優賞を受賞しました。
日本映画『苦役列車』での森山未来は日雇い労働で稼いだ金で酒とタバコとおんなをかう屈折した主人公を演じた。その際主人公になりきるために毎日タバコ大量に吸い、安宿に泊まり4.5日風呂にも入らず酔っ払って現場に入ったと言う。画面越しにでも伝わってくる迫力がそこにある。
また現在ではさまざまな演技方が開発されているので自分に合ったやり方を取り入れている俳優も多い。
人によっては相手役を自分の家族など身近な人に当てはめたり
役に一日中入り込んで家に帰ってもそのままキープし続けている
なんて人もいます。
よく「役が抜けない」と言うのも、こう言うケースの一種といっていいかもしれません。(恋人役で実際に交際が始まるのも同様)
その一方、大竹しのぶは映画『後妻業の女』でカメラが回る直前まで穏やかに会話してたりします。
しかしいざカメラが回るとガラリと顔つきが変わり演技が始まります。
そしてカットがかかるとまた穏やかな会話に戻っていました。
僕はそのメイキング映像を見てびっくりしました。
役作りは自分以外の他に相手との役作りもあったりします。
例えば敵対する役の俳優と距離を置いて話さなかったり会わないやり方をするパターンです。
勝新太郎は大河ドラマ『伊達政宗』で主役の渡辺謙とはカメラが回る直前まで会いませんでした。そしてリハーサルもやらないでぶっつけ本番。しかも台本に書いてないアドリブも加えることでシーンの緊張感をつくりあげました。
このように俳優は様々なアプローチで自分にも相手役にも役作りをしています。
今後ドラマや映画を観る時は
この俳優はどんな役作りをしたのかな?
などと想像するのもまた面白いと思います。
ぜひお試しあれ!
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