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臨機応変という便利な言葉

「臨機応変」

いろいろな場面でよく聞く言葉です。

求人で「臨機応変にいろいろ対応できる方」とか、評価においても「臨機応変に行動できる面が評価できる」とか、どちらかというと「臨機応変な対応、行動」はデキルやつ。というイメージで使用される印象。

実は私、この「臨機応変」があまり好きではなく・・・。

どっかの記事で書いた記憶がありますが、私の嫌いなことの中に「不公平」「不平等」というものがあります。

確かに大事なことであるという考えに変わりありません。

だけど、あまりにこれに頼りすぎてしまうと、不公平、または不平等な状況を作ってしまうこともありうる、ってことを言いたいのです。

例えばわかりやすい例だと、病院などでは、老若男女の幅広い年齢層で、且つそれぞれ違った病気を持つ患者さんに対しての医師の方や看護師の方の対応は、「高度な臨機応変」が大変必要な環境ですよね。(医療関係の方には本当に頭が下がります。)

当然もっと「臨機応変」が必要な場面はたっっっくさんあることは分かっています。

では、私が気にしてしまう、「不公平」「不平等」な状況を作ってしまう状況とはどんな場面か。

それは、

ルール決めがされている、もしくはルール決めがされるべきことなのにないがしろになってルール化されていないような場面において、平等ではない状況を目にすることが多い。そんな場面のことです。

まず「ルール」=規則、規制、慣例、しきたり つまり、

「みんな、決めたとおりにやってね、規則を守ってね」

そして「臨機応変」=場合に臨み、変化に応じて適当な処置をする つまり、

「その時その時の状況ごとに合ったかたちで、柔軟に対応してね」

この二つの同時は不可能で、ルールがあるのであればどんな状況であろうとその決まりのとおりに対応するということだし、ルールはあるのだけれど臨機応変に状況に応じて対応を変える、というのはそれが結果良かれ悪かれ、もはやルールを無視した上での対応ということになります。

そして臨機応変は、考え・判断・対応がその人によって変わる。

例えばあるお店のサービスがあったとして、そのサービスを受けたお客さんのパターンが下記のようにあるとする。

・Aさんによるルールに従ったサービス

・Bさんによる臨機応変なサービス

・Cさんによる臨機応変なサービス

この三者の間で、まず不平等が発生しないでしょうか?

そのあるお店がどこかのスマホショップだったとしましょう。あるプランに入ってもらえればかわいいノベルティプレゼント!というキャンペーンをやっているというシチュエーションで、上の3人がそれぞれ以下の対応をしたとします。

お客さん「このノベルティ欲しいな!」

スタッフ「このプランに入ってもらえればプレゼントさせていただいております」

Aさんは、お客さんにしつこく粘られても、プランに入らないとプレゼントしないという案内をし続けます。結果、プランに入らない選択をしたお客さんはノベルティをゲットすることができませんでした。

Bさんは、お客さんにしつこく粘られた結果、面倒なのでノベルティをあげてしまいました。お客さんはプランに入らずノベルティをゲットすることができました。

Cさんは、お客さんにしつこく粘られましたが、プランに入らないとこのプレゼントはあげられない案内をし続けます。ですが、こっちのノベルティなら差し上げてもいいですよ、と、上司に確認もせず、余っていた違うノベルティをプレゼントして場を収めました。

どうでしょうか。これだけでも得した人、損した人(=サービスの差)が出てくるわけですよね・・・。

こういう事態が私は大嫌いなのです(笑)

さらに、この3人のサービスにより他のお客さんからクレームがあったとしましょう。

Aさんの対応したお客さん「他の人はプランに入らなくてもノベルティ貰ってるの見た!どういうこと!?」

Bさんの対応したお客さん「他の人がもらってた違うノベルティの方が欲しかった!それに変えてほしい!」

Cさんの対応したお客さん「古いノベルティをもらったけど、古くて壊れてた!変わりのものをほしい!」

まぁ、クレームというものはどんな状況でもクレームをする人たちというのが一定数いますし、どんなに誠意のある対応をしても腑に落ちないクレームをつけてくる人や本当にいろんなクレーマーさんが多数存在します、そのことはとりあえず置いておくとします。

これらのクレームについて、例えばAさんなんか、Bさん、Cさんのルール外の対応がなければ本来はクレームをもらうことのない対応だったと思います。この場合は、Aさんは上司に「気にするな」とフォローが入るでしょうね。

Bさんに対するクレームは、「Cさんがノベルティをあげなければ」なかったかもしれません。でも、BさんもノベルティをあげなければAさんにクレームはなかったかもしれません。

Cさんに対するクレームは、「Cさんがノベルティをあげなければ」なかったかもしれませんし、Bさんのお客様をもし見ていたらクレームが来たかもしれないという可能性を考えれば、Bさんもノベルティをあげなければクレームにならなかったかもしれません。

理由はなんでもいいからとにかくいちゃもん付けたいっていうクレーマーはいます、ですがそれは置いておいて、「提供したサービス内容」という点を見た時にとても同じとは言えない内容であることはわかります。

ルール作りがめんどくさいという組織の上の方へ。めんどくさいから「臨機応変に頼むよ」で終わらせないでください、と言いたいです。

臨機応変は大切。ルールではおさめられない状況、個々に対して個別に対応が必要な状況はたくさんあるし、そんな何パターンもの対応方法、経験、知識が必要で、それらを持った人の臨機応変は本当に素晴らしいスキルだと心から思います。

ですが、ルール作りを怠るという怠惰からうまれた「その人まかせの安易な臨機応変」は好きじゃないんです・・・っていうお話でした。

めんどくせーなって言われるような、いつものこの悶々とした私の思い、これを読んでくださってる方はどう感じてくださるでしょうか・・・?

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