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ギターを通して知り合った人々〜高校時代

 私は音楽が大好きで、高校時代はギター部に所属していた。ギターと言ってもエレキでなく、アコースティックの方だ。高校時代に好きな子がいて、その子がギター部だったから入部した。至って単純な動機である。当時は長渕剛、尾崎豊な
どを歌っていた。少しずつギターとハーモニカを一緒に演奏し、だんだんと上達した。やはり恋の力は大きい。これでもかというくらい練習した。いまではあそこまではできない。ギター、つまり音楽を通してたくさんの人々に出会った。いろいろな思い出がある。まずはギター部に入部するきっかけになった当時好きだった女の子だが、ジョンレノンが好きで、私はまずジョンレノンの曲から練習した。指が切れて血が出ても練習をした。この曲を通して話をするきっかけを作りたいと思ったからだ。いま思えばアホな作戦である。ある日何気なく部室でその曲を演奏する。
*当時のセリフ:「   」  

私の心の中(    )
 彼女:「あれ、それってジョンの曲?」

 (おっ、作戦どうり話しかけてきた!!)
 私:「うんそうだよ。ジョンレノン好きなの?」(実は好きなの知ってるっつーの!!)
 彼女:「かなり好きだよ。毎日聞いてるよ。」
 私:「今度一緒に弾こうか?」

(どうだろう・・・)
 彼女:「あ、いいね。」

(ラッキー!!) 
 もちろんその会話がきっかけで、電話もよくするようになった。音楽の話や学校の話などいろいろ話した。話せば話すほど相手のことがわかってきて、以前よりも相手のことが好きになった。そして、今まで同級生だと思っていた彼女が、一つ年上だということも知ることになった。彼女と話していると、彼女のことをいろいろ理解することができた。

 高校一年の時重い病気で長期入院し、欠席日数
が多すぎて2年に進級できなかったこと。それでもそんなことは少しも周りに見せず、前向きに頑張っていること。話せば話すほど好きになった。 

 ある日、彼女がテープをくれた。彼女が好きなジョンレノンや、他のアーティストの曲を録音
してくれた。当時とてもうれしかったのを思い出す。1年くらい付き合った。しかし、恋の終わりは突然やってくるものだ。ある日突然ふられた。理由は、他に好きな人ができたらしい。

 「おまえそれはないやろ!!」と心の中で叫んだが、恋愛は一人ではできない。相手の気持ちがあってこそ成り立つものだ。彼女が「別れ」
を口にしたからにはそれは「別れ」なんだ。一緒に映画を見に行ったり、放課後に音楽について話したり、楽しい思い出がいっぱいだった。私は高校卒業後京都の大学へ、彼女は神戸で就職した。高校時代は別れた後も学校で少しは話をして
いたが、卒業して互いに離れるとあまり連絡を取らなくなっていた。私も京都で新しい出会いがあり、高校時代のことはあまり思い出さなくなっていた。17歳で別れ、あれから?×10年になるが、大学時代にただ一度だけ彼女とたまたま
連絡が取れ、会うこととなり、神戸の遊園地へ行ったことがある。ある日突然京都のアパートに彼女から電話がかかってきた。高校を卒業して2年経っていた。
 懐かしくて電話をかけてきたそうだが、久しぶりに話をして盛り上がり、今度会う約束をした。日曜日に私は京都から電車で1時間かけて彼女の住む神戸へ向かった。

 神戸の駅に彼女は車で迎えに来てくれた。車で来るとはさすがに社会人である。貧乏学生とは違う。彼女の運転する車で遊園地へ行き、いまの生活や高校時代のことについて話した。久しぶりに話すと、いまでも心のどこかで彼女のことを想っているような気がした。しかし、あの頃とはもう違う。そんなふうに楽しく話をし、一緒にたこ焼きを食べ、「互いに頑張ろう」と励まし合って別れた。
 それから何年か経ったころ、人づてに彼女が結婚したと聞いた。幸せに暮らしていれば・・・と思う。彼女はまさか私が仕事で北海道にいるとは思っていないと思う。

ギターを通して出会った大切な人の一人である。

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