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副籍制度を体験してみて⑤


前回まではコチラ↓


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うまく関われなかった前回。

次年度の副籍をどうしようか悩んでいるところに副籍校から連絡が。

“今度、音楽集会があるのですが、手話で歌を歌います。手話の歌なら娘さんも参加できるかもしれないという子どもたちからの案です。ぜひ参加しませんか?”

という内容。


前回のことがあったので、娘の気持ちはどうかな?と、どうするか聞くと
「行く!」と意外に即決。


朝の集会なので、ほんの少しの時間なのですが、行くことを決めました。


当日。
昇降口で同じ学年の子が手を振ってくれたりして少し恥ずかしそうな娘。
友達が、教室までの窓ガラスにみんなの作品が飾ってあることを指差しで教えてくれていました。

教室に到着すると席まで案内され、荷物を置きます。

先生から、
“今日の音楽集会、交流に来ていることを皆の前で伝えても良いか?”
“学年の前に立って見本役をやるのはどうか?”
ということを母の私にも聞かれたのですが、今回初めて先生が大きな画用紙にその内容を書いて、娘に直接聞いてくれたのです!


読んで、理解した娘はウンウン(良いです)と頷いていました。

音楽の先生も挨拶に来てくださり、紹介をすることと、“おはよう”の手話を皆の前で教えてほしいということを言われました。
娘は、皆の前で…という緊張もあったでしょうが、自分にお願いされているということは嬉しかったようです。


音楽集会が始まるので体育館へ。

説明通りの流れで始まり、娘の1人だけが台に立って紹介されました。
先生は画用紙を持っていってくれて、台に立つ指示や座るタイミングなども書いて教えてくれました。

私は壁際から見ていました。
娘は、堂々としていました。
そして、予定通り“おはよう”の手話を紹介し、全校で挨拶。
拍手は手をひらひらさせるということは知っている子もいたようで、みんなで拍手。


音源が流れても、聞こえないので今どこを歌っているのかは分からない娘。
それでも、隣で友達が歌詞カードを指差ししてくれてそれを見ながら多少歌とはズレているけれど手話で歌えていました。

体育館の舞台ではなく、学年ごとに向かい合う形で並んでいたのでよりお互いが見やすかったです。
学年ごとに見せあったり全員で歌ってみたりして、最後は全員の拍手。圧巻でした。

ここまで、ものの20分くらいの話です。
でもこの20分は、前回の2時間とは違う濃い時間になったと思います。

朝の音楽集会を終えた後は、通常通り学校へ登校しなくてはならなかったので、急いでバイバイをしなくてはなりませんでした。
電車とバスを乗り継ぎ学校へ登校する途中、娘に感想を聞いてみると…


「筆談してくれたから、コミュニケーションが取りやすかった」


やっぱり、直接やりとりをしてくれるのは嬉しかったようです。

今回を通し、自分からアピールするのは難しいけれど、自分のことを見てほしいという気持ちがあるのは分かりました。


副籍校の先生は、聞こえないということはどういうことなのか?を最初は理解できないと思うし、どう関わるのが良いかも分からない中だったと思うので初めは母の私を介して娘の気持ちを聞いたりしてくれていたのでしょう。

画用紙に書いて知らせてくれたのは先生なりの、娘との距離を縮めたいと思ってくれたことの表れなのかな。

副籍交流。
娘にとっては、聞こえる世界を知るための経験になっているけれど、聞こえる側にとっても娘が関わることで新しい発見になってくれると嬉しいです。





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