見出し画像

副籍制度を体験してみて①

こんにちは。ベビーシッターのアサミです。

さて今日は、耳の聞こえない次女についての話です。


“副籍制度”を知っていますか?


私は、娘が支援学校に入らなければ
この言葉は知らなかったと思います。


次女は生まれつき耳が聞こえないので、
地元の学校ではなく支援学校に就学しました。


“副籍“は、希望制ですが
希望すると、地元の学校との交流ができたりするんです。


我が家は高学年の姉がいるので、
姉が小学校にいるうちは、と副籍を希望してきました。
しかし世の状況で“交流”自体が難しい日々が続いたので、希望してから数年たって、今年やっと実現したのです。


うちは『直接交流』を希望しており、実際に学校に行って授業に参加したりクラスの子と交流するということを希望してきました。
何故かといえば、ただ単に、地元の学校はこういうところだ、多くの小学校はこういうところ、耳の聞こえる子はこうやって授業を受けたり生活しているとか、
ただ、視野を広げたいという思いでした。

間接交流と言って、学校には行かないけどお便りを交換したりする方法もあるようです。


副籍については、もちろん本人の意思を確認しました。興味はあるか、行ってみたいか、授業に参加したいかなど。
本人が行きたくなければ、その年は行かないと決めていました。
初めは「はずかしい…」と言っていた次女でしたが、“お姉ちゃんのいる学校“に行ってみたいという気持ちが大きかったようで、担任の先生や学校の副籍交流担当の先生に交流にあたっての希望を伝えたり、学校間でやりとりしていただき、夏休み前に打ち合わせをしに地元の学校へ。我が家にとっては、家のそばで、姉も通っているので学校公開などで何度も行ったことはありますが、そこに次女の学校の先生がわざわざ公共交通機関を使って来てくださるとは恐縮しました。

打ち合わせでは、日程や、どの授業に参加してみたいかなどを入るクラスの担任の先生と決めました。

結果、登校から朝の会、1時間目に参加することになりました。
副籍は保護者の付き添いが必要なので、授業は母の私が通訳するということで話が進みました。


そして当日。


初めて姉妹一緒に通学する姿を見ました。


就学前から、長女は保育園、次女はろう学校の幼稚部。
別々のところで過ごしてきたことがもう当たり前すぎて忘れかけていましたが、
「地元の学校に行っていたら、こうやって毎日一緒に行ってたんだな…」
と。

いいとか悪いとかではないし
○○だったら、△△だったのに…みたいな考え方でもないし
一緒に通学している姿を見て不思議な感覚にもなりましたが
ただただ、2人の姿が微笑ましかったです。

実際は、無言だったんですけどね。
お互いなんだか照れていたのかな。


学校に着くと
次女の緊張マックス‼️
いつもはおしゃべりなおふざけモードはどこへいったのやら、借りてきた猫という言葉を初めてここで使いたい気持ちになりました。
まぁ、外国の学校に来たようなものですから、そうなるのも分かります。


クラスに入ると
予想もしていなかったことが起こりました。



次女のもとに
たくさんの子どもたちが寄ってきて
手話や指文字で自己紹介をしてくれたのです


指文字表を持っていたので、先生が事前に話してくれて、覚えてきてくれたようです。



“手話を覚えて”
なんて事前の打ち合わせでは一言も言いませんでした。ただ、クラスに入って次女にとってまたひとつの新しい体験ができればいいな、と思っていました。


私は、涙がばれないように笑顔でありがとうを言いながら、ひとりひとりのかわいい手を見つめていました。
次女は緊張もあり驚きもあり表情が固かったのですか、歓迎されているということを感じて安心したようでした。


朝の会で、次女は作ってきた自己紹介の画用紙を広げて、30人の前で発表。
いつもは、5人しかいない教室ですが
今日はこんなにたくさん。

授業は、事前に内容をプリントで教えていただいたのもあり理解しながら受けることができました。お気遣いがありがたかったです。



あっという間の時間。
先生は早めに授業を終えて下さり、交流の時間に充ててくれました。
元気な子どもたちのグイグイの圧に、
うちの次女がアイドルにでもなったんじゃないかという感覚に襲わせてもらって、母にとっても嬉しい時間でした。


いつもの学校は遅刻で行くことになっていたので、いそいそと帰り支度をしなければならなかったのですが、全員で昇降口まで見送ってくれて、さらには校長先生副校長先生までも出てきてくださいました。


娘が支援学校に通わなければ
知らなかった世界。
知らなかった、世の中の見え方。

いいことばかりではなかったし
辛い思いも、不安も、ネガティブ思考も、たくさんやってきたけれど

この日ばかりは、言葉に表せないほどあたたかい気持ちになりました。


副籍制度は、自分の周りでは
受け入れ学校によっては、なかなか進まなかったり、受け入れ態勢も好意的ではなかったり、その学校、先生によりまちまちだそうです。


それでも
こんな学校もあるんだ、と

そしてその地域に住んでいること
そこに長女が通っていること
ありがたく思いました。


後日、
『来てくれてありがとう!』
という内容で、クラスの子からひとり1枚の手紙が束になって来ました。何枚も書いてくれた子もいました。
その日の授業中の写真も撮ってくださったものもいただきました。


「来てくれることで、この子たちも成長するので。」
と先生が仰ってくれた言葉。

自分サイドからしか見ていなかったのですが、地域の子たちにも、何か感じられるきっかけになっていたなら嬉しいです。

たった1時間ちょっとの時間だったのですが
こんなに色々な思いがあり
また新たな発見ができて
この年になってもまだまだ学ぶことがあるのだな、と感じます。

次の交流日程も決まり
次回は前回より長めに参加できることになりました。

また報告しますね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?