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リアスが創りだす荒々しい海岸風景〜南三陸・気仙沼〜

こんばんは。BabyMintです。

昨日に引き続き、私と国立公園シリーズを書いていきます。本日からは、青森・岩手・宮城の三県にまたがる、三陸復興国立公園について、3回に分けて紹介していきたいと思います。私は、三陸海岸の北の端・八戸で育ち、今は宮城県の南三陸町をフィールドに研究をしています。三陸には非常に馴染みと愛着があるため、1度に紹介するには収まりきりません(笑)。景観も特色も異なる3箇所なので、別々に取り上げることにしました。今日は、南側・宮城県の風景を紹介します。

まず紹介するのは、志津川湾に面する南三陸町です。森と海に囲まれたこの町は、漁業や林業が盛ん。環境に配慮した養殖業・林業が注目されている場所でもあります。志津川湾の南端には、神割崎という岬があります。伝説によると、打ち上がった大きな鯨を取り合った二つの村の村人に神が怒り、岩を真っ二つに引き裂いたとか。それが名前の由来だそうです。文字通り、真っ二つに割られた岩の隙間から、荒々しく波が押し寄せる光景は圧巻です(写真1)。また、この岩の分かれ目から朝日が昇る様が美しいそうです。まだ目にしたことはありませんが、いつか見てみたいです。余談ですが、私は研究で志津川湾の調査に出向く際、神割崎から5kmほど離れた民宿に宿泊します。そのため、朝食前に少し早起きしたり、作業が早く終わった日の夕食前などに神割崎と民宿の往復ランニングをします。10km走れて、絶景も眺められて一石二鳥。大好きなランニングコースです!


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写真1 夕暮れの神割崎

この神割崎周辺はキャンプ場や遊歩道も整備されており、心地よい海をたっぷりと堪能することができます(写真2)。また、キャンプ場のすぐ近くにある神割崎レストハウスには、志津川名物を使った楽しい食事メニューがたくさんあり、必見です!名産のタコのぶつ切りが入ったタコライスや、ホヤアイス・メカブアイスなど...興味をそそられるものが盛り沢山。また、南三陸をイメージしたドリンクがインスタ映え間違いなしです(写真3)。

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写真2 神割崎周辺の遊歩道から眺める志津川湾

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写真3 オクトパチュ〜ドリンク(左)と神割ブルー(右)

南三陸町の中心部には、「さんさん商店街」という商店街があります。ここには美味しい海鮮丼やスイーツ、お土産などが揃っています。おすすめは南三陸キラキラ丼。志津川湾の恵みをふんだんに使った海鮮丼で、春夏秋冬・旬に合わせてレパートリーが変化します。本当にキラキラしていて新鮮で美味しいです。私は、秋のキラキラ丼をいただきました(写真4)。志津川湾の名産・銀鮭が贅沢に使われていて美味しいです!

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写真4 南三陸キラキラ丼(秋)

南三陸には、海だけでなく山の絶景もあります。田束山(たつがねさん)という標高500mほどの山です。古くから行者の道として巡礼されてきた信仰の深い山です。この山は5月になると、頂上付近にツツジが咲き乱れます。遠くからでも、山上がピンク色になっているのが分かるくらいです。頂上からは、満開のツツジと青い海を一緒に眺めるという、とっても贅沢な絶景を味わえます(写真5)。リアスの特徴は、海岸線から山の距離が近いことです。その地形がこの絶景を生んでいるのですね。

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写真5 満開のツツジと志津川湾を望む田束山頂上

続いて、気仙沼市の紹介です。南三陸町のすぐ北に位置します。宮城の最北端に位置する港町です。ここでの絶景ポイントを3箇所紹介します。

まずは、岩井崎です。気仙沼湾の南端に位置する岬で、遠浅な海岸線とゴツゴツとした岩が敷き詰められている景観が特徴で、澄んだ海の明るさの中にも奇岩の荒々しさがあります(写真6)。岩井崎灯台や潮吹岩など景勝地が多い場所です。また、震災の津波に耐えた松が龍の様な形に見えることから、強さや希望の象徴として「龍の松」と称され保存されています(写真7)。

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写真6 浅瀬と奇岩が続く岩井崎

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写真7 津波に耐えた「龍の松」

続いては、気仙沼大島です。岩井崎と唐桑半島に挟まれた島で、近年気仙沼大橋開通したことでアクセスが容易になりました。鳴き砂で知られる十八鳴浜のような砂浜や頂上からの眺めが美しい亀山など、見どころが多い島です。私はその中で、島南端部の龍舞崎に行きました。最南端へ延びていく遊歩道は、青く透き通った海の広がる絶景の道でした(写真8)。

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写真8 気仙沼大島最南端の龍舞崎遊歩道

最後に紹介するのは、気仙沼の最北端に位置する唐桑半島です。唐桑半島は、眼下に断崖が広がり決して水面まで近寄れないような、これぞリアス!という風景が広がります(写真9)。その荒々しさや迫力には息を呑みます。この地には、巨釜・半造という岩が創り出す景勝地があります。中でも有名なのは、折石という石柱です(写真10)。明治三陸津波の際、波に呑まれ先端が2mほど折れたことからこの名前がつきました。自然の造形物という言葉がふさわしい、奇岩と紺碧の海のコントラストに感動を覚えました。

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写真9 荒々しい唐桑半島の景観

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写真10 折石と紺碧の海

本日は、南三陸・気仙沼の海の景観を紹介しました。この地域は、震災による津波の被害も甚大な場所で、随所に震災遺構があります。私が行った中で衝撃的だったのは、岩井崎近くにある「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館(旧気仙沼向洋高校校舎)」と、南三陸さんさん商店街内の写真館「さりょうスタジオ」です。言葉を失うというのはこういう感情のことを言うのかと感じました。その日、何があったのか。過去の災害・悲惨な出来事から学ぶことはとても大事なことだと感じます。その中で、いや、その先に、「被災地」としてではなく、「観光地」として注目を浴びる三陸海岸が実現すればいいな、と個人的に感じています。そのために、三陸の美しいところを発信していきたいと思います。

本日も読んでいただきありがとうございました。

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