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「学部主事(部主事)」とはーあまり知られていないその仕事内容ー

 以前特別支援学校に置かれている「学部主事」の役割について何度か書いてきた。今回は改めて学部主事としての仕事とは何かを具体例をあげながら書いていきたい。また学部主事として大切な点も示していきたい。(自治体によっては「部主事」「学部主任」「部主任」と呼ばれることもある)

学部主事とは?

 学校教育法施行規則第百二十五条によれば「特別支援学校には、各部に主事を置くことができる。」また、「主事は、その部に属する教諭等をもつて、これに充てる。校長の監督を受け、部に関する校務をつかさどる。」とある。小学部主事であれば小学部に関する校務をつかさどるわけである。
 では校務とは何なのだろうか?それは「学校の仕事全体」を指すぼんやりとした使い勝手の良いのか悪いのかよくわからない言葉である。成績処理や教育課程の編成・実施、報告書の作成、学校の設備や教材の点検などなどである。(一応教職員人事も含まれる。)実際に学部主事という立場にいても自分が校務の何を行っているのかを意識して働くことはあまりない。学部で起きること、学部内のこと全てをやるといった仕事自体が非常にぼんやりとしたものである。いわゆる「何でも屋」であろう。

 校務の中でも教育課程の編成や、成績処理、時間割の作成などは教務とよばれ、教務主任がその仕事の中心を担う。(学校教育法施行規則44「教務主任は、校長の監督を受け、教育計画の立案その他の教務に関する事項について連絡調整に当たり、及び必要に応じて指導、助言を行う。」)
 教務主任は基本的にどの学校にも置かれているのでこの記事を読んでいただいている先生方もその仕事のイメージは付きやすいだろう。

 

規模や自治体によっても違う学部主事の仕事

 学部主事はその部に属する教員をもって充てられる。学校規模によっては一つの学部が子ども10人程度、教員10人程度のこともあれば、子ども30人程度、教員30人程度の学校もある。いわゆるマンモス校となれば(特に高等部に多い印象であるが)部の子どもの在籍が100人を超え、教員の配置もかなり多くなる。こういった一つの部をまとめるのも学部主事の重要な仕事である。学校の規模によって部の校務の量に多くの違いがある。当然部の人数が多い方が細々した仕事は増えるだろう。ただし、部の教員配置が多くなれば学年主任や学科主任といった小グループをまとめる役割を担う先生がいるので仕事は分散できる。
 自治体によっては学部主事の仕事を「教諭」ではなく「主幹教諭」が担っていることもある。また、授業をあまり持たず、スーツを着て職員室で多くの仕事をこなしている先生もいるようだ。いわゆる「職員室の先生」である。一方「学部主事兼学級担任」といったプレイングマネージャー的な仕事をする先生もいる。(かなりハードだと思う)私は一般教員で小規模な聾学校の小学部主事である。所属部員・児童はそれぞれ10人程度である。昨年は副担任を担当したが、今年は学部付きと言われる立場である。授業時数は平均週18コマ。T1が多いので正直きついなと思う時もある。私の場合は教務主任を兼務しているので上に書いた部に関する校務のほとんどを先生方と協力しながら進めている。児童や職員の数が多くはないので細々した書類作成やチェックなどが少ないのは自分としては助かっているが、いわゆるプレイングマネージャー的に動き回る日々を送っている。小規模校の学部主事は今の私と似たような仕事なのではないだろうか。

 

学部主事の具体的な仕事(私の場合)

・部の運営計画の立案・作成・見直し(学部としての指針・目指す子ども像)
・グーグルチャットを使って所属部員へ指導に関する情報や児童の配慮事項等に関する情報の発信
・定期的に小学部の授業を参観して学級の様子や先生方の良さを確認(何かあったときに子どもの様子を具体的に保護者に伝えられる)
・定期的な小学部の先生方と1対1のミーティング。場合によっては1対3などのミーティング。(プライベートな相談にものる)
・小学部の先生方との細めなコミュニケーション(仕事というよりも興味が大きい)
・初任、若手教員の指導や研修に関する業務
・学部研修の企画・運営
・各学級通信の確認
・学部行事の企画立案
・日々の授業(社会科を持つことが多い)
・学部会の議事進行
・掲示物の整理、物品の管理(←とても苦手)
・保護者とのコミュニケーション(仕事というよりも興味が大きい)
・保護者や関係機関との相談業務(クレーム対応も含む)
・支援員、学習指導員のマネジメント(←教務主任との仕事ともリンクする)
・主に教頭への業務進捗の報告や児童の様子についての報告
・各学部主事との連絡調整(ある程度学校全体の動きを掴んでおく)などなど(その他教務主任として、教育課程や時間割作成、個別の指導計画・個別の教育支援計画の確認や全校行事、他学部との授業調整を行う。)
高等部主事になると入学選考業務が入ってくることが多いだろう。

 

学部主事として大切なこと

 あげればきりがないのだろうがあえて5つに絞る。それぞれの詳しい点は過去の記事を読んでいただければ幸いである。(何点か貼っておく)

https://note.com/babybaby7010/n/n316080fba404

https://note.com/babybaby7010/n/n44f74023474c

1  プレイングマネジャーとしての学部主事と、ほぼマネジャーとして仕事をする学部主事でも共通するのが「マネジメント意識」を持つこと。
2 学部の先生と必ず1日に一回は話をすること。コミュニケーションをとること。
3 情報共有を速くすること。出し惜しみしない。特に子どもの指導に関する情報は優先的に共有する。また共有しやすいシステムを作ること。
4 人と人が密に関わり合う職場なので考えが合わない先生もいるだろうが、学部の先生の良いところを認めて口にすること。逆に悪い点にフォーカスせず解決思考でいること。
5初任若手教員を人財と捉え、一緒に成長していく気持ちを持つこと。

 学部主事の仕事は難しい。だが難しいからこそやりがいもある。仕事内容がぼんやりしているからこそ自分で考え、自己裁量できる部分も多い。幸い今の教頭校長が現場を信頼してくださっているということもあり本当に楽しく働けている。今後も不定期で「学部主事」に関する記事を書いていきたい。


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