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ゲイだけど幸せ

 ぼくはこの人生を、結構気に入っている。
 複雑な気持ちを抱えることがそこそこ多い人生ではあるし、もし来世があるならば次回はいろいろな場面でマジョリティの人生を送りたい。けれど、もしいま別のひとの人生ととりかえっこすることが出来たとして、ぼくはきっとぼくのこの人生を選ぶ。
 それでも、ゲイで生まれてよかっただなんてきっと一生思えない。苦しかったこと、苦しいことが山ほどある。呪いだと思う。

 「はやかわと言います、ほにゃほにゃ社でごにょごにょとして働いています。最近あった印象的な出来事は、同棲していた彼氏と別れたことです」
 先日、同じ村民ではない男女たちに自己紹介をする機会があった。咄嗟に思いついたぼくの説明が、職業とゲイであることが悲しかった。

 愛情、恋慕、性欲、その矢印が同性に向くこと、ゲイであることは、ぼくにとって大きなコンプレックスであり、大きなアイデンティティである。

 あれこれ言いつつ、ゲイだけど幸せだなと思う。
 そしてまるでゲイであることが不幸であるかのようなこの表現が、呪いが、きらいだ。
 それを乗り越えたい。この「ゲイだけど」がちっちゃくなって見えなくなるのか、もしくは「ゲイだけど」にこめた複雑な気持ちが晴れるのか、どういうかたちになるのかはわからないけれど、ぜったいに乗り越えられる。この世にぜったいとかないけど、これだけはぜったいだ。言いきってえらいよ、ぼく。


 はやかわと言います。ごく普通の会社員、今年30歳になります。
 毎日毎日ゲイであることを恨んで生きているわけじゃないです、なんだかんだじぶんの人生を気に入っています。
 仕事のこと、恋愛のこと、趣味のこと、日常のこと、これまでのことやこれからのことを、はやかわの名を借りて、みんなに聞いてもらいたいと思っています。整理のため、承認のため、交流のため、もやもやの正体はまだわかりませんが、よろしくお願い致します。
 


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