見出し画像

「よかれと思ってやったのに」超高齢社会☓テクノロジー

この記事はCivicTech & GovTech Advent Calendar 2022の9日目の投稿です。

「スマホの通知がこわい」

この夏、60代〜90代のシニアにスマホやパソコン、銀行やスーパーでの機械操作など、テクノロジーが利用されている場面での困りごとを聞いてみました。

電子決済が怖いとか、スマホが使いにくいとか、さまざまな回答がありましたが、実は一番多い声が「スマホの通知がこわい」でした。

「スマホの通知がこわい」といえば、フィッシング(詐欺・なりすまし)メールを連想しますが、実はこんな通知も同じく面倒に思っていることがわかりました。

・お得なクーポンのお届け
・バージョンアップのお知らせ
・朝夕に届くニュース
・SNS投稿通知 など

家の玄関チャイムがピンポンピンポンと四六時中鳴るようなもので、「でなきゃ」「また来た」「もう見きれない」「もう面倒」となるのです。

「通知を切っておけばいいじゃない?」と思うかもしれませんが、その設定ができない人も多いのが現状です。

シニアのインタビューをまとめた動画(You Tube視聴)

Code for Japan Summit 2022 セッション動画

「それって便利ですか?70代・80代・90代がホンネで語るシニア×テクノロジー」

”便利”ってなんだろう?

サービスを提供する側からの「もっと便利に」が、逆にシニアをテクノロジーから遠ざける要因になることがあります。

サービスを提供する側が考える”シニアにとっての便利さ”とは一体なんでしょうか?文字やボタンを大きくしたり、よく使うメニューをわかりやすく配置したり、イラストで表現したりすることでしょうか。

『情報を整理すること』と『情報を制限すること』は大きく違います。

「これは難しいだろうから触らせないようにしよう」とか「ここは外部とつながる危険があるから触らせないようにしよう」とか、サービス提供側が過保護になりすぎるあまり、「適した設定ができない」「情報を得ることができない」などの弊害を招いているケースが少なくありません。

知らなくていい(と勝手に判断した)機能を見えなくしたり、制限したりすることで、実はシニアの自由を奪っている可能性があるのです。

実際に、メッセージアプリLINEの友だち登録機能を制限しているシニア向けスマホがあり、知り合った人たちのグループに入ることができずに疎外感を抱いたという声がありました。

シニア側の”便利”とはなにか?をあらためて考える必要がありそうです。

シニアの集いの場 スマホ講座なども定期的に行われている

もっと声を聞いていこう

シビックテックの大切なステップは「課題に気づく」「課題をみんなで共有してなにができるか考える」「とりあえずつくってみる」だと言われています。

最初のステップ「課題に気づく」では、当事者の「これが不便だな」や「こんなのあったらいいな」からスタートすることもあれば、誰かのために「助けてあげたいな」や「こんなのがあったら便利になるかもな」がきっかけになることがあります。

この「誰かのために」「地域のために」「社会のために」に、『声をちゃんと聞く』が欠如しているのを感じることがあります。

シビックテックさいたまでは、今年から「小さなデジタル相談室」という申し込み無しで誰でも参加できるリアルの場を毎月もうけています。NPOの方や行政のDX担当者、市議会議員、学校の先生、毎月さまざまな方がふらりと訪れます。

所属や立場は違いますが、各々が“いち生活者”としての視点をもちながら、集まるひとたちの声に耳をかたむけることで、私も毎回新たな気づきを得ることができています。

合言葉は「テーブルforシビックテック」。同じテーブルに、さまざまな知識や知恵、経験をもつひとが集まって、お互いの声を聞くところからシビックテックがはじまります。

2023年1月15日には、シニアの声をきく「超高齢社会×テクノロジー 日常の「困った・使いづらい・怖い」をはきだして 解決策をみんなで考える日」というイベントを開催する予定です。

2023年1月15日イベント詳細
https://www.facebook.com/events/1833411980388965

『声をちゃんと聞く』を大切に、みんなでつくる・みんながつかえるオープンでフラットな仕組みづくりをこれからも目指したいと思います。

BABAlabで年一回開催するシニアの声を聞くイベント「ホンネ会議」

BABA lab 代表 シビックテックさいたま共同代表
桑原静(くわはらしずか)
プロフィール https://scrapbox.io/sizkababalab/

「長生きするのも悪くない」と思える仕組みをつくる 
BABA lab
http://baba-lab.net



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?