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子育てとお金のリアル

子育てにはお金がかかります。
これは紛れもない事実なのですが、では総額いくらなのか?という話は意外と見つけることができません。

結婚にいくら、保育にいくら、学校にいくらという個別の試算はあっても、総額が分かりづらいので、ざっくりですがまとめてみることにしました。
すると、かかる金額も相当なものですが、それ以上に子育て世帯を苦しめているいくつかの要因が見えてきました。


具体的にどれくらいかかる?


では実際どれくらいお金がかかるのか、日本の平均的な男女の恋愛から結婚、出産・子育て、子供の大学卒業までにかかる費用を分かる範囲で算出してみます。

[恋愛] 3年で約120万

結婚までの平均交際期間は3.6年、ひと月にかけるデート代は男女合わせて2.7万だそうですが、人により大きく異なるので参考程度でお考えください。

[結婚] 式と披露宴に300万、半分ご祝儀で、計約150万

最近は豪華な式を挙げない人が多いのでもっと少ないかもしれませんが、婚活サービス系の調査では平均このようになっています。

[出産] 約10万

出産は補助金が出るのでそれ以外の通院等の費用概算です。
無痛分娩や設備の充実した病院の場合はもっとかかります。

[子育て]
・妊娠出産前後 休んで失う収入(3か月は2/3の補助あり) 想定1年292万
・保育園(1~2歳) 保育料月2万 2年24万
・保育園・小学校(1歳~小3) 時短で失う収入(月10万) 8年960万
・小学校(小4~) 時短で失う収入(月5万) 3年180万
※女性の平均年収350万で計算

こちらは個人の体力や体調、大企業や子育てに理解がある会社とそうでない会社、または自営やパートなど仕事内容でも大きく異なります。
仕事をしていない方やパート等の方は失う金額が少なく、キャリアを持って働いている方は多いです。

ちなみに男性の育児休暇取得率は2割以下とまだまだ低いので、今回は女性側の負担のみを試算しました。

・中高学費 公立6年300万
・大学学費 私立4年500万
・児童手当 3歳まで1.5万、4~15歳まで1万 約200万補填

この時期になると手はかからなくなりますが反比例してお金がかかります。
大学が国公立ならこれより数百万安くなり、逆に私立中高で塾や予備校に行けばさらにかかります。

児童手当以外に各種の補助が得られる場合も多々ありますが、人により状況が異なるため今回は割愛しています。


では総額はいくら?


子供1人の場合、結婚前から子が大学卒までの期間で夫婦が支払った額と失った額の合計は2360万となりました。
1人目から3年後に2人目を出産した場合は、乳幼児期・幼稚園・小学校期が重なるため損失額の一部が減り、追加で1200万程度かかると考えられます。

各項目の平均と思われる額の単純な合算ですが、具体的な数字を目にするとちょっと引くレベルですね…

今回、こういった子育てとお金の話題ではあまり出てこない、「子育てにより失う収入」も計算してみました。
支払う額は目に見えやすいので気になりますが、失う額は見えづらいのでなかなか話題になりません。

しかし女性も仕事をするのが当たり前で、その収入を見込んで将来の計画を立てる家庭が多いのであれば、それが失われる可能性があることもちゃんと把握する必要があると考えました。


結局何が大変か


時系列で支出を分析することで、子育てでいつ何が大変なのか?のポイントが見えてきました。

① 妊娠出産で、女性の体力や働くための時間がなくなる
② 子育て前半は手間がかかり、夫婦が時間を取られて収入が減る
③ 子育て後半は学費がかかり、貯蓄が減る

これの何が大変かというと、次のイベントに備えて力とお金を貯める準備期間が作れないということです。
子供は成長を待ってくれないので、気力体力を貯める間もなく子育てに奮闘し続け、お金を貯める余裕がないまま支払い続けるという綱渡り状態がずっと続きます。

要するにバッファがないままの20年間であり、実家が太い人以外はひとつ間違えたら貧困に転落する危険を常に感じたまま子育てを続けます。
実際に転落する人もいるので気が抜けませんし、20年は本当に長いです。


結局単純に考えれば、金額の大きい
「妊娠・出産・子育てによる解雇・退職勧奨・給与大幅減を禁止する」
「高校以降の学費無償化または大半を国が補助する」
の二つが保証されれば相当な安心感があります。

言い方を変えれば現在、女性が子育てと仕事を両立することと、子供に高度な学問を学ばせることの二つは、各家庭の自己犠牲的な努力に支えられているに過ぎません。

そんな余裕はないと子育ての希望者が次々と脱落していっているというのが、現在の非婚化・少子化の直接の原因だと私は思います。

「したいなら自腹で勝手にすれば」と傍観し続けた結果、もはや家計に余裕のある層か、出来るだけ安く済ませる覚悟を持った人だけしか残っていないのではないでしょうか。


最後に、この私の試算と提案がすべて正しいわけではありませんが、こういったエビデンスをもとに議論を進めていくことが大事だと思います。



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