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アイドルは再び冬の時代へ

1980年代後半から1990年代を「アイドル冬の時代」と呼ぶことをご存じでしょうか。

70年代の男女アイドル、山口百恵、キャンディーズ、郷ひろみ、そして80年代の松田聖子、中森明菜、チェッカーズ、おニャン子クラブあたりまで続いたアイドルの流行が去った後の、10年ほどの空白期間を指します。

80年代前半にアイドルブームが盛り上がりましたが、80年代後半のバンドブーム、洋楽ブームの陰で消えていきました。
アイドルは80年代後半には「古い、ダサい」印象を持たれるようになり、その後一部のマニア以外には見向きもされませんでした。

ちなみに、光GENJIと初期のSMAPだけはその冬の時代にも売れていましたが、ファンは若い女性のみで当時の大人や男性からは冷ややかな視線で見られていました。

その頃の出来事を調べていて気がついたのですが、どうやら今とその頃がよく似ている気がして、もしかしたら今年から「アイドル冬の時代」がまたやって来るのではないかと考えました。


① アイドルの大スキャンダルが発生


去年、ジャニー喜多川氏の巨大スキャンダルによりあのジャニーズ帝国があっけなく消え去りました。
ただ思い返してみれば、SMAPの公開謝罪事件や他の芸能事務所への圧力など良くない話題は何年も前からあり、アイドルビジネスというものに対する疑いが世間に生まれていたのは事実です。

また女性アイドルでは、2010年代後半にはAKBの握手券商法やストーカーによる傷害事件等が問題視され、地下アイドルという無法地帯も同様に話題となりました。


80年代後半も、松田聖子結婚後の岡田有希子の自殺、中森明菜と近藤真彦とのスキャンダルなどで、人気アイドルが次々と消えていきました。
特に岡田有希子の自殺は社会問題となり、後追い自殺、犯人捜し、写真週刊誌の過激な報道等で騒がれ、アイドル人気に大きなマイナスとなりました。


それまで気づかれていなかった「アイドルを取り巻く芸能界の闇」が露呈し、世間が呆れて距離を置くという構図で、タレント個人がいくら頑張っても抗えない大きな波が来ていました。
その当時と今が良く似ていると感じるのは私だけではないと思います。


② 海外アーティストや音楽ブーム


今すでにK-POPは日本で大きなブームとなっていますが、音楽やパフォーマンスはアメリカ市場を強く意識したもので、国内の既存アイドルとは比べ物にならないほどハイレベルで完成度が高いです。

その人気を受けて、明らかにK-POPを意識した日本人グループがいくつも登場したり、日本人がK-POPグループの一員または全員としてデビューしています。


1980年代後半を思い返すと、マイケル・ジャクソン、MCハマー、ユーロビートの曲、海外ドラマや映画の主題歌などが大流行りし、その影響を受け、ユーロビートをインスパイアした小室サウンドやハードロックと歌謡曲を融合したビーイング系音楽が流行しました。

また「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「ジュラシック・パーク」のようなハリウッド映画が大ヒットし、マライア・キャリーのクリスマスソングがフジテレビのドラマ主題歌となりました。


日本ではなぜか国内の芸能に飽きて海外をもてはやす時期があり、1990年代に続いて2020年代がそのタイミングだと感じます。
おそらく国内勢が世界の流行をつかめずクオリティの差が大きくなった頃に若い人が一気に海外勢に傾倒しだし、何年かしたらまた飽きる、の繰り返しだと思います。


冬の時代のサバイバル


結局、80年代後半のアイドルは俳優・タレント・歌手に転身できた人以外すべて消え、90年代になると女性は何人かいましたが男性はほぼ誰もいなくなりました。

今回も同じようにグループアイドルは数年ですべて消え、世間に個人名が浸透している人、強い個性や芸を持った人だけが残るのではないでしょうか。


紅白で乃木坂46と櫻坂46を見ましたが、旧ジャニがいない今、いつの間にか日本のアイドルはこの2組だけになってたんですね。

しかし彼女らの平成を思い出す歌とパフォーマンス、お決まりの若者向けメッセージに目新しさは感じられず、人気もかつての勢いはありません。
がんばる素人を愛でたい、応援したいという平成アイドルのフォーマットが世間から求められなくなった証拠と言えます。

また男性アイドルは、「ジャニーズなら誰でも良い」といった上げ底された人気がなくなり、実力で勝負する普通の世界に戻りつつあります。

オタクの人の支持はまだ続くと思いますが、一般世間的には、ほんの少し前まで人気を誇ったアイドルでもよくて1グループから2~3人、悪ければ1人も生き残れないという厳しいサバイバルが今後繰り広げられると予想します。

これを書いている間に、「キンキ堂本剛とももクロ百田の結婚」「齊藤京子の日向坂卒業」という2つのニュースを知って驚きました。
今後もアイドル勢の動きに注目したいです。



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