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BTSとSMAP

K-POPの代表的なアーティストであるBTSが無期限活動停止というニュースが流れてきました。
でも別のニュースではそうではないという話もあり、実際の状況はよく分かりませんが、ファンの方は非常に驚かれたのではないかと思います。

BTSは多くのヒット曲を出していますが、特に2020年9月、アジアの曲として「上を向いて歩こう(スキヤキ)」以来57年ぶりにアメリカのシングルチャートの首位を獲得しました。

BTS / ダイナマイト

実際にBTSのサウンドは、アメリカだけでなくグローバルチャートの上位の曲と聞き比べても遜色のない仕上がりで、多数のサウンドクリエイターが参加する一大プロジェクトとなっているようです。

おそらく日韓の男性アイドルグループのほとんどが何らかの形でBTSを意識したサウンド、ビジュアル、パフォーマンスをしていると思います。

何がここまでの大きな進化を生んだのでしょうか?


K-POP飛躍の理由


K-POPの楽曲が格段にレベルアップしたのは2010年ごろからで、1990年代に世界で流行したニュージャックスイングという音楽ジャンルの第一人者である、テディ・ライリーというアーティストがK-POPにプロデュースで関わったことが発端と言われています。

テディ・ライリーが1991年にプロデュースした
マイケル・ジャクソン / Remember The Time

私は1990年代にテディ・ライリーの関わった曲を非常によく聞いていたので、韓国がこのビッグネームを利用してどうしても世界進出をしたいんだ、という気合の入り方に驚きました。


かたや日本のSMAP


SMAPは平成26年に解散しましたが、それまで28年間も継続して活動し、平成のほとんどの期間で非常に高い人気を誇りました。

SMAPの登場から活躍、解散に至る経緯は今さら語るまでもありませんが、国民的な人気を長い間誇ったグループだったと思います。

SMAPの音楽は有名なアーティストからの楽曲提供が多く、槇原敬之、スガシカオ、山崎まさよしなど、多くのアーティストが関わって多くのヒット曲を輩出していました。

しかし純粋に音楽だけに注目すると、彼らの歌唱力に合わせた簡単なメロディーラインで十分な音楽リテラシー層向け楽曲が多く、あくまでドメスティックなファン向けの音楽だったと思います。


ちなみに最近、日本も男性アイドルグループのサウンドの質が非常に上がっていることをご存じでしょうか。

BE:FIRST / Shining One

BE:FIRSTのこの曲は、m-floのTAKU TAKAHASHIが参加していることもあり非常に力の入った作品で、最初に聞いた時思わず、これ誰がプロデュースしてるの?とネットで探してしまいました。

INI / AMAZE ME

またINI(アイエヌアイ)という日本のグループは、確か韓国のサウンドクリエイターが関わっていて(違ってたらすいません)、クオリティの高い楽曲になっています。

みなさんも偏見なしに聞いていただければ、かつてのアイドル歌謡曲とはあまりにも異なる音に驚かれると思います。


ユニゾンの限界にある日本のグループアイドル


SMAPだけでなくジャニーズのアイドルグループの歌には共通する特徴があり、それはユニゾンというハーモニーのない歌唱法です。

ユニゾンは「斉唱」という意味で誰でも歌える簡単な歌い方であり、大衆に分かりやすい曲を作るべきというジャニー喜多川氏の方針で採用されたと言われています。

また演者側も高い歌唱スキルが要求されないメリットがあり、ルックス優先のアイドルでも歌えて、ダンスしながら歌うというパフォーマンス時の制限にも合っています。

モーニング娘、AKB、坂道と続く女性グループアイドルも基本は同じです。

そのようにユニゾンは誰でも覚えやすく歌いやすいのですが、ハーモニーの美しさや個性的な歌い方ができず、単調な曲になるのは避けられません。
これが従来のアイドル楽曲の限界と言えます。


洋楽が入ってこなくなった時期がある


そしてそのような楽曲を支持するファン層に大きな影響を与えたのは、日本以外のアーティストの音楽作品に触れる機会が、平成の前半ごろから非常に薄れてしまっていたという、あまり知られていない事実です。

1992年(平成4)ごろから、著作権法の改正に伴い洋楽の新譜が1年間レンタル禁止となりました。海外のレコード会社が日本での新譜売り上げ低下を防ぐために取った策と言われています。(諸説あり)

これによって当時のレンタルCDから最新の洋楽が締め出され、ライトな音楽ファン層に海外の新しい音楽が届くことが大きく減りました。
それにより、その対極に位置するアイドルの代表であるSMAPの人気に追い風をもたらした可能性があると思います。


平成の前半から中頃まで、そのような洋楽レンタル制限政策に加え、先日音楽評論家の湯川れい子氏が書いて炎上した、AKBから続く女性グループアイドルの握手券CD商法によるチャート独占がありました。

私は湯川れい子氏の主張にすべて賛同するわけではありませんが、握手券CD商法で同じような曲が上位を独占し、音楽の多様性が失われたのは確かだと思います。

その時期に活躍した国内向けのSMAPと、世界を見据えてチャレンジしているBTSという、同じ男性アイドルでも大きな時代の違いを感じます。



[マガジン] 平成って何だったの? こちらからもぜひお読みください!


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