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俳句・短歌など

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#短歌

二十首「遠くの風」

「遠くの風」

「水きらい」っていうきみの夢の手のひらに金平糖がころがる

ごめんなさい、恐竜の日だから意味のないことも言います笑って聞いて

恋人はぷかぷぱねむり網戸から落ちてきている夏の目覚めが

きいて・きみに・あうひ・こんな・ふうに・りぼん・うまれ・じゃんぷ

ゆれる・たんぽ・ぽから・はしる・りずむ・とんで・ぽかり・ぷはあ

さくら・しべは・ふるる・るるる・おちる・までの・そらが・いたい

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十五首「腐敗はそれから」

「腐敗はそれから」

眠くなるだけでも音楽は聞かれていてそんな春を拒否する

餃子定食のお店で待ってグミなら一個あげるのにって言う

イルカ(たぶん)が生ごみ入れでジャンプしてももの名まえ ひかって

ずれた音楽が耳から指へ指からまぶたへ暗ひ陽だまり

丁寧じゃなくててーねい想像のたねを取ってスプーンで刺す

春から春を引くシンクの光。大好きなドーナツがねばつく

「空きびんにひつじが住みついて嘘

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七首:過去作

降雪とともに天使は受肉する約束のこと光と呼ばず

天使の手から溢れゆく白桃は光らせている夜のすべてを

この夜をたどっていけばうみにつく魔女のかみさま傷がたりない

憐憫の速度を降る結晶の天使の伝う末期の真白

尖塔のいと高きに立ち陽喰って惑星の乙女に眼よ開け

天蓋を充満させよ薄き翅泉に祈る白き乙女の

純白の死
夜闇すら

遅延
  して
薄   れ
透明
に    なる
    ぼくらは

十首「神代から」

「神代から」

精神Geistの外の犬戎の沛艾の嗎の震えに風をはじめる

静かなる水に蛇巫の刺青の真円歪む正しき正午

絶滅の真神の聲を過ぎ昇りつづける風よあれがメトシェラ

千年の詩の傾きは一塊の大地と結び到来の地図

田園の「塔」と呼ばれるそれが、ただくだけていた くだけていた

冬の門とおりてEuclaceの城へその愛しかたで愛するとき

肋骨をひらきとりだす星々は星座にならずみずうみの霧

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五首:雑詠

討て、討て、討て天使を!七月の肉に半月蝕を棲まわせ

羽根を不要とするとき肉は真円に隣接するだろう

鳥が留まる 犀が歩く 快楽の絶滅に詩を書きこめ

速くはない生き物とその舌にいくつも切株をつくろう

天使に安らぐ詩を雀蜂が刺し、開かれたままのシオランとその天球